あらすじ
海兵上がりのトラヴィス・ビックルは、不眠症のためマトモな職業に就くことができないという理由で、タクシーの運転手に就く。
同僚とも打ち解けず、趣味はポルノ映画の鑑賞だけという孤独な日々。真夜中のマンハッタンにはびこる性、ドラッグ、犯罪を見るにつけ、トラヴィスの中で鬱憤がたまっていく。
そんなトラヴィスも恋をした。次期大統領候補パラダインの選挙事務所で働くベッツィーという女性事務員に一目ぼれをしたのだ。積極的なアプローチでデートにこぎつけるトラヴィスだったが、いつもの癖でポルノ映画を観に連れて行ったため嫌われてしまう。
ある日、トラヴィスのタクシーに少女が乗り込むが、屈強な男にすぐ連れ戻された。そのアイリスという少女は、家出をして売春婦になり、ヒモにいいように使われていた。
この腐った街を浄化してやる、という衝動に動かされ、トラヴィスは犯罪の計画を立て始める。
概要
1960年代後半から70年代にかけて起こった《アメリカン・ニューシネマ》という現象の最後の代表作と言われている作品。
第26回カンヌ国際映画祭パルム・ドール(最高賞)受賞作品。
監督のマーティン・スコセッシと主演のロバート・デ・ニーロは、今作でゴールデンコンビとして知られるようになり、これまで8作品を手がけている。
家出少女アイリスを演じたジョディ・フォスターは、当時13歳だった。
原案は『暗殺者の日記』。州知事の暗殺未遂事件を起こしたアーサー・ブレマーという男の手記で、孤独の中で鬱屈していく心理に共感したポール・シュレイダーが脚本化。同じく非モテであったスコセッシを紹介され、映画化に至った。
ちなみに、ブレマーは『時計じかけのオレンジ』に触発されて暗殺未遂を起こしたが、それを基に製作された今作はロナルド・レーガン大統領の暗殺未遂事件やバージニア工科大学銃乱射事件(32人死亡)の引き金になったといういわくがついている。
さらに言うと『時計じかけのオレンジ』の原作小説は、犯罪被害に遭った作家の経験に基づいているため、犯罪と作品化の皮肉な連鎖が続いたことになる。
有名なシーンに、モヒカンにしたトラヴィスが人差し指を銃に見立て、自分のこめかみにつきたてるさまがある。ただし、トラヴィスがこの髪型にするのは劇中の終盤である。
キャスト
役名 | 配役 | 日本語吹き替え(TBS『月曜ロードショー』/DVD) |
---|---|---|
トラヴィス・ビックル | ロバート・デ・ニーロ | 津嘉山正種/宮内敦士 |
ベッツィー | シビル・シェパード | 田島令子/井上喜久子 |
アイリス | ジョディ・フォスター | 冨永みーな/木下紗華 |
スポーツ | ハーヴェイ・カイテル | 日高晤郎/東地宏樹 |
ウィザード | ピーター・ボイル | 寺島幹夫/浦山迅 |
トム | アルバート・ブルックス | 野島昭生/村治学 |
スタッフ
脚本 - ポール・シュレイダー
製作 - マイケル・フィリップス / ジュリア・フィリップス
音楽 - バーナード・ハーマン
撮影 - マイケル・チャップマン
編集 - トム・ロルフ
配給 - コロンビア映画
データ
公開 - 1976年2月8日(アメリカ) / 1976年9月18日(日本)
上映時間 - 114分
製作国 - アメリカ合衆国
言語 - 英語 / スウェーデン語
関連タグ
映画 / 洋画 / アメリカ映画 / ニューシネマ / 映画の一覧