※警告:このタグがついている作品は全てシリアスな作品です。
物語はマリオがルイージの前から失踪し1ヶ月が経過したところから始まる。
いつものようにピーチ姫がさらわれた報せが入る。
自分一人ではとても無理と半泣きになるルイージだったがマリオの居所が分かったとヨッシーに知らされる。
マリオを迎えに行くルイージとヨッシーだったがなんだかマリオの様子がおかしく……?
ネタバレ及び閲覧注意!
マリオはどういうわけか病院にいた。
病院でルイージとヨッシーを待っていたのは別人のようにくたびれ、無気力になっていたマリオだった。
ピーチ姫がさらわれたことを聞いてもまるで無関心。いつもならそれを聞いただけでボケてるのに!
25年間に渡るヒーローと芸人としての日々は確実にマリオを疲弊させていたのだ。
ヨッシー「相変わらずおバカ線とアホ線はくっきりと…。」
マリオ「手相見てんじゃないよ。なんだよ!?アホ線って…。」
手はボロボロ。肩も腰もガタガタ。その治療のために病院にいたという。
しかし、本当に疲れていたのは体以上に心だった。
ルイージ「はぁ!?」
ヨッシー「歯ぁ!?」スパーン
25年の連載の中で、笑っていられない状況はいくつもあったが、それでもボケ続けなければならなかった。
父親が大病で倒れた時も、その父親が亡くなった喪失感から体調を崩した時も……。
「そんな時くらい、シリアスにさせてくれよ。」と思い切り叫びたい気持ちをアホ面で隠して、マリオは時に点滴を打ってまでボケ続けた。
コロコロの看板として、いつも元気で明るい存在でいなくっちゃいけない……そんな思いがどんどんマリオを追い詰めていたのだ。
ヨッシー(サクランボ)「錯乱していますね。」
ルイージ「それはサクランボだろー!!」
ルイージとヨッシーがどんなに励ましてもボケても「もうたくさんだ」「二度とボケたくないんだ」と落ち込む一方……。
そんな中、突如ドクターマリオが現れる。
マリオが二人いると驚くルイージたちをよそにドクターは人の頭ほどはあるカプセルを無理やりマリオに飲ませる。
ルイージ「兄さん!!そんなので治るわけがないよ~!!」
しゃきーん
治った。なんでや。
マリオの25年間はつらいことばかりではなく、いいこともたくさんあったのだ(具体的に思い出せなかったけど)。
実はドクターマリオは自分を助けるためにドラちゃん丸パクリのタイムマシンで25年後つまり連載50周年を迎えた未来から来たマリオ自身だった。
……25年後は沢田先生87歳だけど大丈夫?
自分が元気になったことを見届け未来に帰っていくドクターマリオ。
そして今のマリオはピーチ姫がさらわれたことを露骨に嫌そうな顔で思い出したあと、くっだんねえ(褒め言葉)大ボケをかまし、元に戻ったその姿にルイージとヨッシーは涙するのだった。
最後のボケは君自身の目で確かめよう!
余談
当初は「25年で年を食ったマリオが体中ガタがきて苦しむ」ぐらいの内容にする予定だったらしい。
……が、コロコロアニキ第3号での本作の予告に「25年経ったマリオは何を思う?」「この衝撃作に日本中が震撼する」なんて煽りがついてしまったため、沢田先生が「何か衝撃的なことを描かなきゃいけない」と思ったため本作につながったらしい。
1回目のネームはもっと衝撃的だったとか。(下記を参照)
煽り文に「よく任天堂許してくれたな」なんて書いてあったりする。
気付いた読者も多いと思うが、マリオの語る「父親」や「点滴」のセリフは作者の沢田先生自身の実体験である。
コミックス25巻の第7面、第8面あたりに言及がある。特に8面は父親ゲッソーが頑張る話……。
この辺は公私混同ではないかという意見もあるが、沢田先生はどんな時でも『マリオくん』を描き続け、このような機会が訪れるまでは辛さなどおくびにも出さなかったことは留意すべきである。
作中のマリオ=沢田先生の悩みはギャグ漫画家の悩みそのものである。
実際ギャグ漫画家というのは行き詰まる確率が高く、病んでしまった人がかなり多い。有名どころでは吾妻ひでお、江口寿史、相原コージ、桜玉吉など。
単行本収録はどうなるのか心配されていたが2017年10月に「スーパーマリオくん傑作選」に収録された。
同時に裏話も収録されており、最初のネームでは「父親の病気は膵臓癌」「沢田先生は強い喪失感から顔面神経麻痺になった」などの詳細が書かれていたらしいが、重すぎるという事で少しソフトに手直しをしたという。
少々重苦しい部分もあるが全体的なノリは変わらない、いつものマリオくんである。これを機に久しぶりに読んでみてはいかがだろうか。
マリオッさんなんて言わせない!
「マリオくん」はまだまだ続きます!!
がんばれマリオ!!がんばれ自分!!