概要
江戸時代中期にあたる1780年に、方郁によって描かれた『百物語化絵絵巻』で紹介された妖怪。
象の鼻のように伸びた細長い口を持つ老人のような姿をしている。
名前の由来は「思いがけないさま」「意外な」「妙な」状況を示す連体詞と、ひょっとこ(火男)に対する「火女」からではないかと考察される。
同年に刊行された鳥山石燕の『今昔画図続百鬼』には、口から吹いた風で燈火を消してしまう火消婆(吹消婆)という妖怪が紹介されており、この姿と設定は江戸の人々にはよく知られた意匠であったのかも知れない。
なお、同じ姿のものとしては松井文庫所蔵の『百鬼夜行絵巻』に記述される火ふき(大ふき)という妖怪が知られている。
ちなみに火を吹くほうの火吹き婆という妖怪は、1968年と1969年に公開された大映の怪談映画『妖怪大戦争』『東海道お化け道中』において創作されたものである。