概要
江戸時代中期にあたる安永8年(1779年)に、鳥山石燕によって描かれ刊行された妖怪画集。
「雨」「晦」「明」の上中下3巻があり、石燕の妖怪画集の中では2番目に刊行されたものである。
なお3年前に刊行された『画図百鬼夜行』の各巻に前篇と記述されることから、この画集は後篇として描かれたものであると考えられている。
今作から妖怪画には名前だけではなく、表面上はそれぞれの妖怪がどのようなものかの解説と読める文が記載されているが、その内容には古典からの引用や言葉遊びなども含まれており、読み手にそれなりの知識があることが前提となっている。
この画集に掲載されている妖怪は、古典芸能で広く知られていたものや、怪談集『諸国百物語』、説話集『伽婢子』などに記載があるもの、当時の百科事典である『和漢三才図会』にある中国の伝承を含めたものから選抜されている。
ちなみに百々目鬼、天井下、大禿などの一部の妖怪については、この画集以前の書物の記述や伝承が確認されていないため、石燕による命名および創作である可能性が大きいといわれる。
掲載妖怪一覧
上之巻 雨
逢魔時(おうまがとき)
- 鬼(おに)
- 山精(さんせい)
- 魃(ひでりがみ)
- 水虎(すいこ)
- 覚(さとり)
- 酒顛童子(しゅてんどうじ)
- 橋姫(はしひめ)
- 般若(はんにゃ)
- 寺つつき(てらつつき)
- 入内雀(にゅうないすずめ)
- 玉藻前(たまものまえ)
- 長壁(おさかべ)
- 丑時参(うしのときまいり)
中之巻 晦
- 不知火(しらぬい)
- 古戦場火(こせんじょうひ)
- 青鷺火(あおさぎび)
- 提灯火(ちょうちんのひ)
- 墓の火(はかのひ)
- 火消婆(ひけしばば)
- 油赤子(あぶらあかご)
- 片輪車(かたわぐるま)
- 輪入道(わにゅうどう)
- 陰摩羅鬼(おんもらき)
- 皿かぞえ(さらかぞえ)
- 人魂(ひとだま)
- 船幽霊(ふなゆうれい)
- 川赤子(かわあかご)
- 古山茶の霊(ふるつばきのれい)
- 加牟波理入道(がんばりにゅうどう)
- 雨降小僧(あめふりこぞう)
- 日和坊(ひよりぼう)
- 青女房(あおにょうぼう)
- 毛倡妓(けじょうろう)
- 骨女(ほねおんな)
下之巻 明
- 鵺(ぬえ)
- 以津真天(いつまで)
- 邪魅(じゃみ)
- 魍魎(もうりょう)
- 狢(むじな)
- 野衾(のぶすま)
- 野槌(のづち)
- 土蜘蛛(つちぐも)
- 比々(ひひ)
- 百々目鬼(どどめき)
- 震々(ぶるぶる)
- 骸骨(がいこつ)
- 天井下(てんじょうくだり)
- 大禿(おおかぶろ)
- 大首(おおくび))
- 百々爺(ももんじい)
- 金霊(かねだま)
- 天逆毎(あまのざこ)
日の出(ひので)