概要
江戸で猫を襲い血を吸ったという獣の妖怪。
見かけた者がその獣を打ち殺したところ、イタチのようで腕には翼のようで翼でないものをつけた姿をしていたという。
近所にその獣のことを知っていた者がおり「野衾(のぶすま)」という名であることがわかった。
人や動物の生血の他に、火や木の実も食べるといわれる。
また「飛倉」や「晩鳥」とも呼ばれ、木の上から飛んできて人の目口を覆ってしまう。
「絵本百物語」によれば歳老いた蝙蝠が化けたものだとされる。
鳥山石燕の「今昔画図続百鬼」にある「百々爺」、「絵本百物語」の「山地乳」は「野衾」がさらに歳老いて化けたものだといわれている。
さらに、口から蝙蝠をはいて人の目口を覆う「野鉄砲」と呼ばれる妖怪は「野衾」と同一視され、「猯(まみ)」と呼ばれる獣が歳老いて化けたものであるともいわれた。
土佐(高知県)では「塗壁」のように道をふさぐ妖怪の名として伝わっているが、漢字表記は「野襖」で異なる伝承であるとも言われる。
創作での扱い
ゲゲゲの鬼太郎
漫画作品『新編ゲゲゲの鬼太郎』で逆柱の手下の野衾軍団として登場した。
超神ビビューン
第26話「妖怪城に地獄が?! 見たぞガルバーの正体」に登場した妖怪。ムササビのような姿をしているが、皮膜が襖絵という解釈のデザインだった。
続巷説百物語
「野鉄砲」に登場。京極夏彦による江戸時代の怪事件を扱った小説。
サクラコード
みなぎ得一作の『足洗邸の住人たち。』と同一世界の漫画。山の怪をテーマとしている。