概要
ダレン・シャン著の児童向けのファンタジー小説。
作者としては珍しい架空世界を舞台とした、世間知らずで自分勝手な少年と妙に悟りきった奴隷の殺伐とした旅物語。
一応児童向けではあるが、人間の汚さや狡猾さ、残酷な描写が数多く登場する。
奴隷・差別・宗教の違い・死刑制度などを考えさせられる物語になっている。
物語
主人公ジェベルの国ワディでは有罪とされた罪人は死刑になる。そして、罪人の首を落とす死刑執行人は尊敬されており、首長の次の権力者である。また、ワディでは ”強さ” が重視されていて、男は戦士になるのが当然で商人や教師になるのは弱い=恥ずかしい事とされている。
死刑執行人の三男のジェベルは兄ふたりに比べると、小さくてやせっぽちで、父の地位は継げないであろうと言われている。
しかし、ジェベルは強さに憧れ、死刑執行人になるため、”火の神サッバ・エイド”に”無敵の力”を授けてもらうためのに「試練の旅」に出ることを決意する。この400年、誰も成功したことがないと言われる困難を極める「試練の旅」には、道連れとして誰かを連れていき、最後にその人間を生贄として自らの手で殺さなければならない。
ジュベルは、奴隷のテル・ヒサニを道連れとし、「試練の旅」に出発する。
奴隷のテル・ヒサニと冒険の旅を続けるうち、ジェベルは「人間とは何か」と考えるようになっていく。
はたして火の神サッバ・エイドの元にたどりつけるのか、非情に徹して無敵の力を得ることができるのか…。
登場人物
ジェベル
主人公。死刑執行人の息子だが、体格に恵まれずやせっぽち。奴隷が処刑される涙を流すバスティーナという”変わり者”の幼馴染がいる。プライドが高くて身分を鼻にかけ、テル・ヒサニの忠告に耳を貸さない。しかし、旅での経験を通して、自分の信じてきた世界、常識、教えは全てが正しいとは限らないことを知り、成長していく。
テル・ヒサニ
奴隷だが、いろいろ旅をした経験を持っているため教養があり他の国についても詳しい。
妻子持ちで、妻と子供たちが自由になることと引きかえに、生贄になることを承知し、旅に同行する。