『お母様』
それぞれがリコリス=○=インサニティ(ミドルネームは各自で異なる)と名乗っている、アウターワールド各所で活動している神々。
纏っている雰囲気や発育度合などの身体的特徴が異なっていても、顔立ちや力の気配は非常によく似通っており、麦藁色の髪に整った顔、爬虫類の様に縦長な瞳孔と禍々しい金色の虹彩、細部は違えど蘇芳色の衣服を身に着けていることが共通点。『神喰らい』によれば「どのお母様も頑固者で困る」らしい。
なお多次元間貿易会社コンプレックスでは「この瞳を持つ者と仮に出会った場合はすぐにその子細を社長に伝えろ。そして万が一にも敵対した場合は一目散に逃げろ。」という指令が出ている。
チーさんが『神喰らい』について語った中にあった『母親が20人以上いる』という情報から、ミドルネームはAからZの26柱ではないかと推測されていたが、『無意識アンカンシャス』の領域にあった円卓の椅子は25脚しかない。
これはZ(『虚無ゼロ』)がA(『箱舟アーク』)と一体化し環にしている為である。
またこの一連の物語が始まる前など描写されていないところで滅んでいる存在がいる可能性も考えると、今現在何柱いるかは不明である。
彼女達は一柱の強力無比な神が分かれた存在である。
間柄としては基が同じと言う点から「もう一人の私」でもあり、異なる能力や性質を受け継ぎ独自の行動原理で動いていると言う点から「双子の姉妹」でもある。
実際各自の目的が異なる事から敵対関係になったり、中には相手を滅ぼしたという例すらある。
また、同じ『お母様』である『死神』が竜に変身した事*3や、竜であるアンマが『輪廻』を指して「我が祖」と発言していた事から、『狂正者』を含む『お母様』達は竜の形態を取る事が出来るか、その因子を保有していると考えられる。
ちなみに『お母様』たちの素の戦闘能力だが、戦闘以外に能力を割いている部分が多い為、『狂正者』のような例外を除きほとんどが戦闘系神基準で中級から下級相当どまりだそうだ。
インサニティ(insanity=狂気)の名からも想像出来るように、『森羅狂象』は本来彼女達の基になった神の能力だった。
しかしその神もこの力の制御に苦労していた事から、少しでも制御しやすくすると同時に万一暴走させた際でも被害を抑えられるようにと自らの存在ごと力を小分けした上で、各々が神としての個を確立出来るよう権能や性質を割り振った……というのが『お母様』たち誕生の経緯らしい。
それ故に『お母様』達は全員『森羅狂象』(に類する能力)を所有してはいるが、「これを使うくらいなら死んだ方がまし」レベルの本能的な忌避感を抱いているとの事。事実『模造品』や『死神』は結局使わず、絶望し自棄を起こして自らの世界を滅ぼそうとした『軍』ですら追い詰められるまで使わなかった上に、結局はその忌避感からその力を完全に開放するには至らなかった。
小規模とは言え、アキラへの特訓の一環として自分から使用して見せた『狂正者』は、二つ名や「『狂正者』の宝玉」の効力を考えると、耐性がある、あるいは制御に関する能力を所有しているのかもしれない。
なおチーさん曰く、分割した時の経緯はこうなのだとか。
・まず『破壊者』という人格を作り、その人格が離れていく勢いを利用して『お母様』自身もどこか遠くの世界へ射出。自らを砕きながら移動を開始する
・血のように紅い彗星となって数多の世界を渡りつつ、砕けた自分を落としていく
つまり「氷像のバジリスク」でヒムロノユミルの世界が滅ぶ直前に現れた『血の彗星』や「瘴海征くハルハノイ」の『禍星』の正体は、この時の『お母様』である。
最後に『狂正者』と『狂悪者』が離れた後、残った『守護者』『箱舟』『虚無』の人格ごと「瘴海征くハルハノイ」の舞台クラーレへ辿り着いたようだ。
因みにオリジナル『インサニティ』だが、元はちょっとだけ天然気味な普通の農家の娘だった。円卓会議場の建物や周辺の景色が農家や農村っぽいのはそのせい。各『お母様』がたまに抜けた言動をするのもそのせい。
人間(笑)ではなく本当にただの一般人だったが、何の偶然か理由は不明ながら、(総量から見れば極一部とはいえ)世界創造の根幹をなす"変化"という概念そのものの力をその身に宿してしまった結果神になったのだとか。
『お母様』の多くが少女の姿をしているのは、神化した為に成長が止まった姿をそのまま踏襲しているかららしい。