曖昧さ回避
『仮面ライダーガッチャード ザ・フューチャー・デイブレイク』に登場するキャラクターはこちらを参照。
概要
新世紀GPXサイバーフォーミュラSAGAに登場するサイバーマシン。
マシン概要
型番はNP-1。名雲京志郎のチームが 兄 名雲征が制作した機体を雛型に アオイの研究開発部門で製作したサイバーマシン。
凰呀と同様の多段変形機構を持ち、サ-キットモード、エアロモード、エアロブーストモード、3モードの変形可能。変形機構についてはレアメタルを使用し、高速度での変形が無理なく行える。
車軸配置は、前4輪・後4輪の8輪仕様であり、エクスペリオンなどの過去のアオイのCF車と共通性は少ない。
これは、元々が旋回性能が過敏で扱い辛いスーパーアスラーダ系から派生した試作車両をベースに後輪2輪を追加する事で、ややおとなし目の方向にデチューンを施す改修が行われて誕生した事に由来する仕様。
サイバーシステム概要
搭載サイバーシステムは フィル専用車がバイオコンピューター、加賀専用車が従来型ハイパーニューロコンピューターと、搭載システムだけでなくマシンの外観も大きく異なっていた。
レースでの実績
導入された2022年は、残留したブリード加賀に加え、ルーキーのフィル・フリッツが新庄直輝に代わってチームに加入し。
フィルはシーズン開幕当初から他のマシンを圧倒する速さを見せ開幕5レースで4勝を記録した。
一方で加賀はアルザードになかなか上手く適応できずにいたため、フィルどころか、グーデリアンやランドルにも先行を許すレースが続いていた。アルザードは加賀をしても「ここまで運転しづらいマシンは初めて」「このマシンはドライバーのことを考えて作られていない」と不満をこぼす程にピーキーなマシンだったのである。
後継車
アルザード NP-2
同車の直接の後継車両。2023年に投入。
バイオコンピュータ未搭載の加賀車のアップデート版で、外観上は前作前モデルと同仕様の8輪仕様車。アニメ作品にはsin最終話のエピローグから登場。
イグザード(EX-ZARD) Z/A-11
アルザードNP-2に代わって2023年途中で投入された新型車両。名称の「EX-ZARD」はアルザード(AL-ZARD)を超える物、の意。
空力デザインで前モデルのイメージを引き継ぎつつも基本の車両仕様は前モデルの8輪仕様から一転、前部2輪+後部4輪のスペリオン系に近い仕様となった。アニメ作品には未登場でゲーム『Road to the Infinity 2』以降に登場。
関連タグ
以下ネタバレにつき、観覧注意
アルザードの真の姿
ベテランの加賀ですら乗りこなすのに手こずっていたアルザード。そんなマシンをサイバーフォーミュラの新人だったフィルが難なく乗りこなし、驚異的な成績を残せたのは一体なぜなのか?
その理由は、フィルのマシンのみに搭載されたバイオコンピューターのCSとαニューロという薬物にあった。
これらは、サイバーフォーミュラを、引いていはモータースポーツの在り方を根底から揺るがすとんでもない代物だった。
神経薬αニューロ
フィルがアルザードに乗り込む前にいつも服用していた薬物。名前の通り飲んだ人間の神経に作用するもので、多く分けて2つの効能がある。
まず、スピード感覚を麻痺させること。車を運転しているときなどの景色の流れが遅くなり、600km/h以上のスピードを出しても、恐怖心を感じなくなる。ただし、リバウンドを起こすと正反対の効果が現れるようになり、実際の何倍も速く景色が流れるようになる。
このドリンクを誤って飲んでしまったハヤトはその後乗用車を運転する際に大幅なスピード違反を犯し、見かねて運転を変わったあすかが60km/h以下のスピードで乗用車を走らせている際にリバウンドが起きたことから、あすかが乗用車を暴走させていると勘違いするパニックを起こした。
もう一つは、神経と全身の間で送られる信号の伝達速度を飛躍的に上げるというもの。レースで考えれば、マシンの動きを感じ取ってから、ステアリングやペダルの操作、あるいはシフトチェンジをする間のロスが少なくなるといった効果が見込める。
とは言っても、向上するのは身体能力だけで、ドライビングテクニックそのものが上がるわけでもなければ、ゼロの領域ような予知能力を得られるわけでもない。しかも、こんな薬物を服用し続ければ、当然身体に大きな負担がかかり、医学に明るいあすかが言うには、最悪の場合命に関わる。
これらを考えると、αニューロではデメリットに見合ったアドバンテージを得ることは難しいように感じる読者もいるかもしれないし、これだけではフィルの圧倒的な成績に対する説明としては十分ではないと感じる読者もいるかもしれない。
それもそのはず、フィルは自身の運転技術を底上げするために、αニューロを使っていたわけではないのだから。
アルザードのバイオコンピュータCS
神経薬αニューロを投与した専任ドライバーのためのサイバーシステム。
最大の特徴は、レース中の一切の判断をサイバーシステムに委ね、マシンだけでなくドライバーまでもを制御する機能を搭載しているという点。
ドライバーの神経とCSのバイオコンピュータを電気的に繋ぎ、本来ならドライバーが自らの判断で行っている、ステアリングやペダルの操作、シフトチェンジなどの操作を、バイオコンピュータから送られてくる電気信号に従って行うというもの。神経とCSが直接繋がっているため、ドライバーの肉体はCSに操られたような状態になっていて、当然ドライビングにドライバーの意思は全く介在しない。
これにより、ドライビングミスを排除でき、人間では不可能な、ムダやミスが無い最高の走りを実現することができる。
これらは、アルザードのオリジナルマシンが高性能ではあったものの、いかなるドライバーも対応出来ずに事故を頻発させた経験から「ドライバーがマシンに対応出来ないのであれば、マシンがドライバーをコントロールすればいい」という方針に至ったことによるものである。
即ち、アルザードのマシン自体もバイオコンピュータのCSを搭載して、CSに操られたドライバーが乗り込むことを前提に設計や開発をされていたということであり、従来のCSを搭載し、ドライバーが自らがドライブする仕様のアルザードを駆っていた加賀が思ったようにマシンを操れなかったのは当然と言える。
αニューロがこのシステムで必要とされる理由は、バイオコンピュータからの信号を神経を通じて肉体へ送られる速度が常人並では不十分であったことと、ドライバーが感じるバイコンピューターに肉体とマシンを操られていることに対する恐怖心を和らげるためだったと思われる。
ただし、バイオコンピュータのCSも万能ではないらしく、そんなアルザードですら「走るシケイン」ことレオン・アンハートのクラッシュは回避出来なかった。
また、フィルがαニューロのリバウンドでパニックに陥った際は、マシンに大きな問題がないにもかかわらずレースの続行が不可能になる(おそらく、リバウンドに伴ってフィルの神経異常をきたし、バイオコンピュータの信号が正常に肉体に伝わらなくなったため。表向きは電気系統のトラブルということになっている)など、やはり機械らしく想定外の事態には弱いようだ。
しかし、このシステムにおける最大の問題は別にあった。それは、人間がマシンを操るというサイバーフォーミュラひいてはモータースポーツの原則が完全に無視されているということである。
なにせ、CSによってドライバーがロボットや操り人形のような状態になったときにのみ真価を発揮する代物なのである。実際、ドライバーへのドーピング処置及びCSがドライバを支配する傀儡システムは明確なレギュレーション違反。
アルザードにとっては、もはやドライバーはレースマシンとしての体裁を整えるための存在でしか無い。サイバーフォーミュラにはドライバーズチャンピオンシップという、最も優秀なドライバーを決める選手権がある以上、それを無意味にするこのシステムは到底許されざる物であった。
不正の発覚
第11戦で日本GPでの暴走(実際はCSの指示による意図的な物)で不正が発覚。発覚後はフィル・フリッツは失格処分と全ポイント剥奪 (加賀は傀儡システム非搭載&ドーピング未処置だったためポイント剥奪を免れる)。
この前代未聞のCF界始まって以来の一大不祥事は、以降アルザード事件と呼ばれるようになる。
アオイは1年間の出場停止処分となり、復帰後は親会社の意向もあって新型マシンの開発が認められず、型落ちしたマシンでの参戦を余儀なくされた。
原型機
凰呀 AN-21
当機の原型となった前4輪後2輪の6輪車両で、名雲京志郞のチームが京志郞の兄 名雲征が制作した試作車両の3号機を改良して完成させたもの。バイオコンピュータCS搭載により圧倒的性能を誇ったが、非常に不安定でコースを安定して走らせることすら困難なため完成当初は実戦投入を見送られる。
しかし、2022年にアルザード事件の制裁が解かれて復帰したアオイは、親会社の意向でマシンの新規開発が凍結されたために、2年前に製作された旧型のエクスペリオンZ/A−10(本来はこのマシンが2020年シーズンを戦う予定だったが、シーズン開始前に行われたアルザードとの比較テストで圧倒的大差を付けられて敗北し、京志郞の命によりそのままお蔵入りとなっていた)しか用意出来ずに開幕戦で惨敗。その打開策を模索していた加賀に名雲がこのマシンの存在と所在を教えた事で、実戦導入に踏み切る事となる。