『この国は滅ぼさねばなりません。神がそうおっしゃいましたので』
概要
CV:上田麗奈
竜の六血族の一つである翼の血族の血主。翼の竜王こと『天翼竜』。
礼服のような白いドレスに身を包み、背から生えた白い翼と頭の上の王冠を模した輪っかも合わせて、その姿は天使を思わせる容姿をしている。
長い竜と人との戦いの歴史の中で何かをしたという記述こそないが、ただ一つ、時を操るという事が言い伝えられている。
物語の序盤、翼の血族を率いてレーゼ王国への侵攻を開始した。
人物
その見た目に違わず、基本的には優しさと慈愛に満ち溢れている。が、それは竜側の視点であり、人間とは相容れない。
竜の神からレーゼ王国を滅ぼすことを命じられた際には、人々に恐怖と苦痛を与えたくないという理由から全国民を王都に集め、存在ごと消滅させる結界で誰にも気づかれないように減らしていく手段を取った。
また、虐殺から一人生き延び、仇討ちにやってきたラグナに対して、「それは神の采配。よくぞ生き延びてくださいました」と発言し、苦しみから解放する為に竜にしようとするなどその優しさは人間の理解からは外れている。
配下である血族に対しても丁寧な物腰で接するが、懐刀である第二位階のウォルテカムイだけは別で、彼に対してだけは辛辣な態度で接し、弱音を見せるなど心を許していることがうかがえる。
戦闘能力
時を操る時操魔法の使い手。
だが、本来この魔法は人の身では限定箇所や物体を停止、巻き戻すだけでも大量の魔力や寿命を消費してしまう。
しかし、竜王である彼女の場合は数十分も時間を停止させた後、一拍休憩するだけで、また同じだけの時間を停止、または巻き戻せるほどの破格の魔力量を有する。
一方で彼女自身は闘争を好まず、戦闘そのものも不得手なのだが、当の本人は己の時操魔法ならどのような強敵でも一瞬で無力化できると絶対の自信を持っている。
逆に、その時操魔法を破られあっさり心が折れてしまい、魔法そのものが使用不可に陥るなど、メンタルそのものが戦いに向いていない。
だが、クリムゾンからも「竜王の中では最弱だが、魔力の総量は最大」と評されており、ただいたずらに魔力の弾を撃ちまくるだけで、周囲一帯を吹き飛ばせるなどその魔力量は絶大。
「世界よ、静止なさい」
言葉通り自分以外の存在の時間を停止させる。大概の敵はこれだけで無力化してしまう。
また、任意で特定の人物だけ停止する対象から外せるため、眷属である翼の血族も動けるように設定している。
「時よ、戻りなさい」
対象の存在の時間を巻き戻す。致命傷どころか死亡した者も生き返らせられる。自分が死亡した場合でも時を戻して復活することが可能。ただし時間停止との併用はできない。
「世界よ、巻き戻りなさい」
世界そのものを巻き戻すアルテマティアの切り札。
この間に彼女への奇襲が成功しても、どれだけ翼の血族を倒しても、これを発動されれば全てが振りだしに戻ってしまう。
だがそれ故に消費魔力は甚大で数回で魔力が底をつく。
過去
竜になる以前は太陽神教の滅竜導士、時の聖女カルラの一人だった。
太陽神教は竜を滅ぼすことを第一としており、その為に時操魔法を持つオリジナルのカルラからクローンを大量に作り、負傷者の治療等に当たらせていた。
生み出されたカルラ達は自らの命を使い捨てることも厭わない道具のような存在であった。
そんな中で生み出されたアルテマティアはカルラの数不足から通常の個体より成長を期間を短くして配備されており、そのせいか他の個体と異なり悲しみなどの人間らしい感情を持っており、自分達の在り方に疑念を抱いていた。
「わたくしは太陽神教の最高指導者の一人、時の聖女カルラ、最も価値の高い人間の一人、だけどわたくしが死んだ時、誰がわたくしを悼んでくれるのでしょう?」
それでもカルラとしての役割に殉じ続けていたが、ある時基地に落下してきた幼き日のウォルテカムイと出会う。
アルテマティアは落下の崩落に巻き込まれたカルラたちを救うために、彼女らの救助と引き換えに治療の提案をするが、一蹴されて恫喝交じりの罵倒を受けてしまう。
だが、彼の罵倒を受けたアルテマティアは今まで溜め込んでいた鬱憤を爆発させる。
「わたくしはわたくしを救います! 巻き込まれたくなければあなたがどきなさい!」
結果的に命を助けられることになったカムイはアルテマティアに対し太陽神教を潰し、「いつかオレがアンタを神様から自由にしてやるよ」と約束を交わす。それからの彼女はその言葉を胸に前向きに生きることを決める。
だが、それが過ちを生んでしまう。
カルラ達の教育を一任されたアルテマティアは「たとえ自分たちが替えのきく存在だったとしても、自分たちの事を悼んでいい。愛していい」という思いで未成熟なカルラ達に接する。
しかしその結果、命令違反を繰り返すようになってしまったカルラは全て太陽神教によって廃棄。さらにはカムイもアルテマティアを餌にすることで捕らえられてしまう。
彼女は心中で何度も神に問う。
別に太陽神教に離反したかったわけではない。
ただ妹である幼いカルラたちに「己を悼んでいい、愛していい」と伝えたかっただけなのだった。
「それがそんなにも罪深いことだったのですか、神よ――」
「呼ンだカ?」
絶望の底にいる彼女に声をかけたのは竜の神だった。
見る者にとって最も無視できない存在となる竜の神は幼いカルラの姿となってアルテマティアに語り掛ける。
「わたくし達を救ってくださいますか⁉ あの人を救ってくださいますか⁉」
「望むならそういう世界にするよ? 名前をあげる、神の翼(アルテマティア)。この世界に私を生み出して、奇跡を望むなら手を――」
幼いカルラの姿を取る竜の神の背後からは一転してアルテマティアに対して、己に痛みを訴え、責め立てるカルラたちの姿があった。
それでも、自分たちとカムイを救って欲しいと願ったアルテマティアはその手をとり、そして神の翼となったのだった。