「ない …と言いたいところだが、世に百パーセントは存在しない」
「…ひとつ問う。お前は本当に、伝承にある“魔王”なのか」
概要
CV:M・A・O(テレビアニメ1期)/橘美來(テレビアニメ2期)
スタープレイヤーと呼ばれるS級冒険者の1人で、相棒のミンクと行動を共にしている。
クールな口調で堅い性格のため、ミンクの中二病には度々呆れている。身長は155cm。
キャラクター詳細
その正体は魔族と人間のハーフである「魔人」。亜人が嫌悪されるこの世界において魔人である彼女は特に悲惨な境遇にいた過去を持ち、普段は被ったローブで素性を隠している。実年齢は400歳を超え、古い時代の事にも詳しい。
父親は戦の絶えない魔族領で幅を利かせ、悪魔王グレオールに最も近いとされる大悪魔「ベルフェゴール」であり、遊び半分でオルガンの母にあたる人間の女を孕ませた。母親は産後甚振られるように殺され、オルガンは幼少期から体を切り刻まれたり魔法で焼かれたりと人体実験の素材として扱われてきた。
そんな過去から父を憎み、その首をずっと狙っている彼女に対して親に関する発言は禁句であり、話に出そうものならたちまち豹変して怒りをあらわにする。
ちなみに、かつての劣悪な環境によって味覚を失っているが、本人は栄養が取れれば困らないと思っている。
混血児である彼女にとって亜人関連はそれだけでナイーブな話であり、例えば同じ亜人でも魔人は忌み嫌われる一方で、神格化され尊ばれている「龍人(たつびと)」の存在は片腹痛く思っている。神都がサタニストの襲撃にあった時も、魔人の娘トロンが龍人(と祭り上げられた)霧雨零に助けられたという話を聞いて、「自分が酷い目にあっていた時は誰も助けてくれず、独りで強くなるしかなかったのに」と逆恨みのような不快感を抱いていた。
魔族領の悪魔たちからはベルフェゴールの「お嬢様」として丁重に扱われてはいるものの、内心では「汚らわしい半端者」「混ざりものの魔族もどき」などと揶揄されており、同胞という意識は皆無に等しい。
また、ベルフェゴール当人も口では「愛娘」「父は悲しいぞ」などと父親のように振舞いながら、自分で生ませたくせに「半端者」呼ばわり、DVを楽しむといった残虐性しか持ち合わせていない。ちなみに母親に対してオルガンは「かあさん」と呼んでいるあたり、産後殺されるまで母娘の間にはいくらか愛情があったものと思われる。
所持品に「便利君」という鞄を持っている。迷宮で見つけた新しい魔道具で、第一発見者のオルガンが命名した。所持者の魔力に応じて容量が拡張する特性をもち、これのおかげでオルガンは他にも無数の魔道具を所持している他、冒険者ながら2人の旅の荷物は少ない。
能力
「闇」と「黒」の魔法を駆使する魔法使いであり、S級冒険者というだけあってその実力は非常に高い。
- 《暗黒獄光線(レイオブダークネス)》
上級悪魔オルイットも使用した闇魔法で最高位の第五魔法で、射線上のあらゆる物体を穿つ黒い閃光。
- 鳥の使い魔
緑色の小鳥のような使い魔を使役する。鳥を介して相手と話したり現地の情報を見聞きすることができ、「大帝国」や「不夜城」といった聞きなれない単語を発する九内を訝しんでいた。
- 《黒鬼の夢枕(ナイトメア)》
九内のスキル《隠密姿勢》と同じように、自分の姿を見えなくする魔法。
- 飛行
魔法で自在に浮遊・飛行することができる。
- 《炎獄絶壁(フレイムウォール)》
近くにいた河童の皿の水が乾くほどの高温で敵を分断、近寄らせない炎の壁。
- 《最後の審判(デイ・オブ・ラス)》
大陸中の迷宮を巡り集めた秘宝“慈悲なき世界(アンノウン)”を全て使用し繰り出される、人類の到達点を超えた第五魔法。
活躍
初登場時は聖光国の神都に寄っていた折、サタニストのテロに巻き込まれた。オルガン自身は人間同士の小競り合いに興味はなかったが、ミンクがノリノリで参戦したため渋々ついて行った。
その後はオルイットとの戦いで重傷を負ったミンクをせかす形で神都を後にする。探索物を売って生計を立てる冒険者にとっての職場たる迷宮がある北方諸国を目指して旅立った。
幕間、手に入れた希少な魔物素材と引き換えに亜人の一隊から逐一ベルフェゴールの情報を得ていた。
その後、魔法耐性のある魔道具を求めて監獄迷宮および「ルーキーの街」を訪れていた九内と邂逅。彼の力量とそれに対して魔法耐性が全くないことに目を付け、取引を持ち掛ける。
それは「父 大悪魔ベルフェゴールを殺す手伝いをしてもらう代わりに、果たした暁にはベルフェゴールの財産(魔法耐性を持った魔道具含む)を全て与える」というもので、楽そうな仕事だと快諾した九内とその側近の藤崎茜、ミンクを連れてその夜中に魔族領へと出立した。
魔族領へ抜けるための道中である獣人国に潜入してからは、広い森をマッピングするため九内・オルガンペアと茜・ミンクペアに分かれて行動。
探索中、九内に訊かれて身の上を話し始めたオルガンだったが、次第に熱が入り≪通信≫で脳内に淡々とエグい過去を聞かされた九内はドン引きしていた。食料調達の過程で味覚がないことも発覚、その姿にアクやトロンと似たような境遇を覚えた九内に、オルガンは魔王らしからぬ優しさを感じ、ここで登場から初めて笑顔を見せている。また、森を見渡すためオルガンが九内を抱いて魔法で飛ぶことになった際は、「これほど力強い肉体に触れたのは初めてかもしれないな…」と実父からは得られなかった安心感にも似た表情を浮かべていた。
それからというもの、何かと女性に懐かれやすい九内にやきもちを妬いたり、≪全移動≫の度に軽々しく密着してくる九内に振り回されたりとクーデレが加速していく。
先行した茜・ミンクと猿人たちの陽動に乗じてベルフェゴールの元へ九内と潜入する途中、奴隷市で人間の奴隷ケーキを嬲っていた悪魔ヘンゼルに遭遇。
紆余曲折あってヘンゼルに「角なしのもどき」と愚弄されたオルガンは怒髪衝天の形相で直ぐに彼を殺そうとしたが、それでは必要な情報が手に入らないと九内が「小悪魔の角」(防御力2 安易に近づき触れれば火傷する)を生成、譲渡してオルガンをなだめる。九内は何の気なしに与えたものだったが、彼女にとってそれは「角の生えない半端者」として生を受けてから今日までずっと諦めきれず求めていたものであり、無自覚イケメンムーブに定評のある魔王様によってまた一人の少女が救われたのだった。
オルイットとの再戦で九内と別れたオルガンは先にベルフェゴールの居城へ赴きミンクたちと合流する。陽動で手薄となった敵の本丸に好機を見出し、慎重になるミンクの制止を振り切って強襲をかけることにしたオルガン。罠すら恐れず踏み倒す九内の姿から、父親という原因から逃げていたこれまでの自分を変えたいという覚悟がそこにはあった。
城の地下深部でついにベルフェゴールと対面した一行は圧倒的な力の前に窮地に立たされるが、オルガンの命を賭けた捨て身の切り札でこれを打ち倒す。全てが終わったと安堵したのも束の間、第五魔法すら無効化する鎧で「効いたふり」をしていたベルフェゴールが復活。絶望する一同の表情を笑うベルフェゴールによってミンクたちは蹂躙され、オルガンは一人拷問部屋に拉致されてしまう。
そこはファラリスの雄牛をはじめとする大陸中から集められた拷問器具が所せましと並び、壁には不気味な表情を浮かべたオルガンの母親の絵が飾られているなど、まさにベルフェゴールがオルガンを弄ぶためだけに用意した私室だった。地獄のような実験と暴力の日々がまた帰ってくることに心の折れかけたオルガンだったが、九内にもらった角がベルフェゴールから彼女を守ったことで立ち直り、「…私はもうお前の玩具じゃない。立派な悪魔だ」と啖呵を切る。その態度が気に入らなかったベルフェゴールに飲まされた体を異形に変化させる特製の猛毒で悶え苦しむ最中、満を持して九内がミンクと共に現着。
静かな怒りを湛えた九内はアイテム「中和剤」を生成し、オルガンの体に回った毒だけでなく嘗ての実験により焼けただれた肌や鱗の生えたような皮膚までも完治させる。ベルフェゴールはというと、九内に「ラスボスでも王でも何でもない」と挑発され猛攻をしかけるも、まるで通用しないまま 九内が展開した彼の“世界”の中で本物のラスボスを前に無様な小物っぷりを晒して敗北。晴れて全ての呪縛から解放されたオルガンは、結局九内任せになってしまったことを申し訳なく思いつつ、彼に溢れてやまない感謝を贈るのだった。
「…時に魔王。お前は子供が欲しいと思ったことはないか?」
九内も当初の目的だった魔道具をいくらか手に入れた魔族領編の終盤、ここまでメインヒロインを務めてきたオルガンはその母性を爆発させる。両親から愛される子をなしたいと思ったそうで、「私が魔王の子を生めば、その子はきっと大陸を代表する魔法の使い手になる」など、文字通り身も心も奪われるほどにデレが限界突破していた。
その後はゼノビアを一応の目的地としつつ、魔族領からの人間奴隷の受け入れなど、九内とも連絡を取りながら北方諸国で活動。その印に九内から与えられた≪名誉戦乙女(ヴァルキュリア)≫という新衣装によって、田原や悠といった側近たちからも“頼りになる味方”として一目置かれている。「ルシファーに選ばれた女」を自称し、名実ともに完全な“悪魔”となったオルガンの目に、もう迷いはなかった。