概要
監督を含めたスタッフを一新して制作された、TVアニメ「ガンバの冒険」の劇場版第2作目。
ベースとなったのは斎藤惇夫の児童文学作品「ガンバとカワウソの冒険」だが、TVアニメ版・劇場版第1作目(「冒険者たち ガンバと7匹のなかま」)の続編として制作されたので、一部の主要キャラクターが原作と違っている。 メインキャラ達の声優はTVアニメ版に準じているが、前作に登場した忠太は本作には登場しない。 今まで海を舞台にしていたが、本作はカワウソや野犬が登場するため山が舞台となっている。
本作にはTVアニメ版・劇場版第1作目のスタッフは参加していないが、「白く波立つ海」といった前作へのオマージュ的な演出が数多く見られる。
他にも、前作でガンバ達を苦しめたイタチの群れを野犬がズタズタに引き裂く場面があり、イタチより強い野犬のイメージを確立させるなど、前作を踏襲した演出が数多く見られる。
原作のテーマは「人間による自然破壊と生態系への影響」であるが、今作でもそれに沿って演出されている。
冒険の合間にも数多くの問題提起のシーンが描かれており、特にエンディング直前のシーンにはカワウソ問題についての意見が挿入されている。
ストーリー
シジンが本格的に医者を始めたという話を聞き、港町を訪れたガンバとボーボは、猫に追われ逃げ込んだドブ川で段ボールに入って旅を続けていたイカサマと再会する。
その頃、ヨイショとガクシャは松茸狩りをするために山へ行くはずが、乗るバスを間違えて海へと来てしまっていた。その途中、シジンを見かけ、シジンの病院へと辿り着く。そこでガンバ達と再会し、喜んでいるところへシジンが戻ってきた。久し振りに仲間が揃った。
シジンは皆に頼みたいことがあるという。先祖のお墓がある南の島へ渡ったきり帰って来ないシジンの婚約者のナギサを一緒に探してほしいと言うのだ。
再びガンバ達は南の島へと旅立っていく。
ゲストキャラクター
ナギサ(CV:南杏子)
シジンの婚約者で今作のキーキャラクター。シジンが港町で開いた病院で看護婦をやっていた。
先祖の墓がある南の島へ結婚の報告をするために向かっていたが、その最中に野犬に襲われていたカワウソの親子と出会い面倒を見ていた。
エンディングでは楽園でシジンと結婚式を挙げて、結ばれる。
ウキクサ(CV:塩屋翼)
南の島にいたはぐれ者のネズミで、臆病な性格。
野良犬に襲われ逃げていたところをガンバ達に助けられ、仲間として同行するようになった。
実は野犬グループ側のスパイで、家族を人質に取られていたために、ブラックの言い成りとなってしまった。
鏡のようなものを使ってブラックと交信し、野犬たちにガンバ達の居場所を教えていたが、カワウソ達に本心を告げたあと交信用の鏡を割って野犬達と決別する。
最期はカワウソ姉弟を守るために自らが盾となって野犬の爪にかかって深手を負い、息絶えた。
「敵側のスパイ」、「自分の命を投げ出してガンバ達を助ける」といったその立ち位置から、TVアニメ版に登場した太一を思わせる。
キマグレ(CV:井上瑤)
いつも達観視しているカモメ。
皮肉屋で礼儀知らずな一面を持っているが、善良な心の持ち主。
釣り糸に絡まっていたところをガンバ達に助けられた後、要所要所でガンバ達を助ける。
なお、「キマグレ」の名前は本名ではなく、前述の悪い態度からイカサマにつけられたあだ名である。
カゲロウ(CV:嶋俊介)
沖に浮かぶ小島から渡ってきたカワウソ親子の父親。
皆が安心して暮らせる「豊かな流れ」を目指して南の島へやってきた。
しかし、川を渡る途中、ブラック率いる野犬グループに襲われ、母親は殺された上に自らも足に怪我を負う。
最期は、カワモとカモクをガンバ達に託し、自らが囮となって犠牲となった。
カワモ(CV:三石琴乃)
カワウソ親子の姉。父親と母親を殺されながらも気丈に振舞う。
カモク(CV:折笠愛)
カワウソ親子の弟。目の前で野犬グループに母親を殺され言葉が喋れなくなってしまう。
中盤では熱を出してしまうが、豊かな流れの源で回復する。
物語終盤、カワウソの仲間を目撃して、感動のあまり「仲間」と叫び、遂に言葉を取り戻す。
オバハンネズミ(CV:鈴木れい子)
南の島にある土産物屋の屋根裏に住むネズミのおばさん。
島の事に詳しく、ガンバ達にナギサが向かった大川の事と、危険な野犬グループの存在を話す。
ミミズク(CV:辻村真人)
食料を調達するために山里へ降りたガンバと出会い、
「『豊かな流れ』は人間たちが破壊した」と告げる
青年カワウソ(CV:島田敏)
真面目で礼儀正しい性格の持ち主。
カゲロウが目指した『豊かな流れ』に代わる『動物たちの楽園』を仲間とともに作っていたカワウソの青年。
イタチ
TVアニメ版や前作劇場版にてガンバ達を苦しめた哺乳類。
今作に登場するイタチはノロイ族とは無関係の野良イタチ。
作中では2匹のイタチが登場するも、いずれも野犬グループによって殺される。
1匹は死骸として登場し、もう1匹のイタチはネズミの墓地付近で野犬達に追われ、必死で逃げるも逃げ切れずなぶり殺しにされる。
野犬グループのリーダーであり、本作における最大の敵。
詳細は該当記事を参照の事。
スタッフ
原作:斉藤惇夫『ガンバとカワウソの冒険』
製作:加藤俊三、野原嘉一郎
プロデューサー:柳内一彦
監督:大賀俊二
キャラクターデザイン:椛島義夫
作画監督:鈴木伸一
絵コンテ:大賀俊二、篠原俊哉
脚本:岸間信明
撮影:長谷川肇
美術監督:田村智博
音響監督:加藤敏
音楽:近藤浩章
音楽監督:鈴木清司
音楽ディレクター:松橋繁
音楽制作担当:島田義三(日本テレビ音楽)
音響効果:サウンドボックス
録音制作:東北新社
助監督:篠原俊哉
編集:鶴渕允寿
現像:東京現像所