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グレイルクエスト

ぐれいるくえすと

「グレイルクエスト」とは、アイルランドの作家ハービー・ブレナン(J・H・ブレナン)による、アーサー王物語と聖杯伝説を題材としたゲームブックのシリーズ。1984年-1987年に発行され、全8巻に及ぶ。 日本語版では、「ドラゴンファンタジー」のシリーズ名で邦訳され出版された。
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概要

「グレイルクエスト」とは、80年代に出版されたゲームブックのシリーズである。
著者は、アイルランドのアイルランドの作家、ハービー・ブレナン(J・H・ブレナン)。
その内容は、剣と魔法のファンタジーものという、当時から人気のジャンルではあるが、皮肉かつユーモアにあふれた内容で、他作品とは異なる魅力と特徴を有している。
内容は、「アーサー・ペンドラゴンの、聖杯探索の伝説」を下敷きにしているが、原典とはかなり異なる内容である。
アーサー・ペンドラゴン王及び、キャメロットの円卓の騎士たち、アーサーの妻・ギネビア王女なども登場するが、あくまでも脇役であり、本作ではあまり活躍もしない。
読者の分身にして主人公は、「ピップ」という名の若者である。ピップは読者であり、本を開きプレイする事で、「アーサー王のこの時代に、マーリンによって召喚される」という扱いになっている。そして、マーリンのサポートにより、冒険行に出発するのだ(正確には、「ピップの肉体に、読者が精神だけを召喚される」という扱いではあるが)。

日本では二見書房より、1985年から出版された。
後に2004年から創士社より復刻版が、五巻まで出版される。

皮肉とユーモア

本作の地の文は、まるで作者が読者に対して語り掛けているかのような魅力を有している。
その文体は、皮肉めいたものであり、いわゆる「デッドパン」と呼ばれるもの。
強烈な皮肉を投げつけられ、沈黙するしかないが、しかし自らを客観視する余裕が生まれた時に、このユーモアの魅力を感じ取ることができる。

友好反応とワイロ

本作では、モンスターと遭遇した際には、当然戦わねばならない。が、場合によっては『相手が友好的になる』ことで戦闘を回避する『友好反応』を試す事も可能。成功すれば、戦闘に勝ったものとして先に進める。
同様に、パラグラフにドルマークが記載されている場合、所有している金貨を賄賂として差し出し、戦闘を回避するという事も可能。
たとえばこれは、地下墳墓から現れたゾンビなどでも、場合によっては通用する事があるので、客観的に見れば実にシュールな光景ではある。が、本作の作風と照らし合わせると、しっくり来てしまうのもまた事実である。

主な登場人物

ピップ

主人公にして、プレイヤーキャラクター(読者の分身)。
養父はジョン、養母はメアリー。ピップ自身はごく普通の農家の若者で、『マーリンが別世界の人間(読者)の精神を召喚し、ピップの肉体へと意識を移す』魔法で、読者と一体化する……という設定である。
なお、名前であるピップ(PIP)は、『サイコロの目』『相手を打ち負かす』という意味がある。

マーリン

キャメロットの宮廷魔術師。毎回冒険のたびにピップを呼び出し、冒険に向かわせる。
魔法の能力は確かであり、アーサー王の相談役として知恵者ではあるものの、どこかお調子者で強欲な老人。
毎回、呼び出すたびに住居が異なる。

デイヴィード・グウィリアム

薬局を営むマーリンの兄。三巻に登場する。マーリンに口調が似ており、マーリンの事を「あの悪党」と呼んでいる。彼曰く「(マーリンは)昔から無頓着な奴だった。よくズボンもはかずに外をうろついていたよ」
若い頃は冒険家で、『魔界の門』に足を踏み入れ、若い娘を助け出した。しかし余りの恐ろしさに、逆に娘に助けられた。それからその娘とは結婚も出来ず、いまだにその事を気に病んでいる。


E・J(エクスカリバー・ジュニア)

E.J.


マーリンがピップに授けた剣。エクスカリバーを模して、マーリンが作り出した。エクスカリバーよりも一回り小さめらしい。しかし、普通の武器以上に強力な魔法の武器である。
最大の特徴は、知性を有し会話が可能という事。そのため、ピップとは冒険中には軽口を交わしている。
ただし、非常にクモが嫌いで、冒険中にクモおよびクモのモンスターに出会ったり切り付けたりすると、ショックのあまりに切れ味が鈍くなったり剣として使えなくなったりしてしまうこともある。

誌的魔神

魔神(再投稿)


毎回必ず(ピップの冒険先に)現れる魔神。詩人であり、詩を歌い、詩作をする事を好む。
ただし、その出来は最悪。しかし自身は最高の詩人であると思い込んでいる。そのため、その詩をけなしたり、低く評価したりして機嫌を損ねる事をすると、問答無用で瞬殺される。
魔神ゆえに普通に戦っても絶対に勝てない。彼の詩をけなすことは即14へ行く事と同意である。
ただし、基本的にはピップに対して友好的であるため、本意では無くともその詩をほめちぎりゴマをすって調子を合わせておけば、解決のための重要な情報やアイテムをくれる。
ピップとは毎回顔を合わせるが、ほぼピップの事を忘れてしまっている(奇怪群島の島で再会した時には、覚えていたが)。
挿絵に描かれているその姿は、クラウス・ノミをモデルにしているらしい。
初期には、『魔神の地下聖堂(ノックされたし)』と書かれた扉の部屋に居り、室内の棺にて眠っている。四巻の奇怪群島では、悪霊(という名の怪物)が多く棲む島で、悪霊たち相手にオペラを披露していた。
五巻ではストーンヘンジという、屋外にて遭遇する。その際にはなぜか髪形がちょんまげになっていた。
八巻では、ある岩山に直接付いている扉の中で、風呂に浸かりながらタイプライターを打っていた。

なお、グレイルクエストではないが、同作者の「ドラキュラ城の血闘」にも登場する。トランシルヴァニアのドラキュラ城内の一室にて、棺の中に眠っていたが、ひどい詩を朗読しつつ目覚めた。ドラキュラ伯爵とは、互いに飼っていた亀からの友人同士らしい。

エセルバート

闘う修道士。二巻に登場した。
ドラゴンの洞窟に挑んだが、自身は封じられてしまった。ラストで真鍮のドラゴンをピップが倒した後に、封印を解かれて自由の身となる。

ぺリノア

キャメロットの騎士の一人。
当初は、『魔界の扉』を開いた悪漢・黒騎士に間違われていた。方向音痴で迷子になったり、冒険中に食料を無くし、お菓子をピップに所望したり、鋼鉄の処女に捕らわれたりと、どこか抜けている。

P・J(ピップ・ジュニア)

六巻のラストに初登場した、自立行動が可能な魔法のカカシ。マーリンが魔法を用い作り出した、いわゆる人造人間のようなもの。ピップの弟分。
初登場時は喋れず、魔法書からページを食べる事で色々と勉強している最中だった。そのまま幻し城の冒険に同行する予定だったが、海水に当てられた事と、食べたページがゾンビの項目だった事から、動作不良に陥りすぐに脱落する。
八巻では冒頭から登場。喋れるようになっており、行方不明のマーリンに代わりピップの冒険行の準備を手伝った。ピップの事を「兄さん」と慕う。

ゴビ・クリシュナ

蛇に空手チョップをするゴピ・クリシュナ


四巻のとある島で出会う、マングースの傭兵。挿絵では直立しプレートアーマーを着こんでいた。
ヘビが嫌いで、自身より巨大な蛇と相対しても、格闘技を用いて瞬殺してしまう。ピップと出会い、雇用するなら一セクションにつき金貨十枚払う事で、冒険行についてきてくれる(金貨が支払えなくなったらそこで雇用は終わるが、それまでに蛇や蛇のモンスターと遭遇した場合、自動的に倒した事にして、先に進めるように)。

セドリック

墓掘り人夫。赤ら顔に髭を生やした、でっぷり太った男。昔は船乗りで、船長や海賊も行い、現在は引退して墓掘りをしているとのこと。
飲んだくれの酔っぱらい。ピップは二巻でドラゴン退治の冒険に出た時、途中で立ち寄ったストーンマーテン村の墓場で彼と出会った。ラム酒をしこたま飲んで酔っ払っていたために、呪いから逃れられたと信じている。酔っぱらって墓穴に落ちて出られず、ピップがそれを助け出すというのがお約束。
七巻で再登場し、魔術師グロット・ザ・ホッドルの墓をピップに案内する。

登場する悪漢やモンスター

アンサロム

一巻に登場する魔術師。暗黒城に住み、ギネビア王女を誘拐した。城内の宝物庫には宝物を溜め込んでいる。金貨や宝石、マジックアイテム以外にも、家畜の豚もどこからか奪って自分のものとしてしまっている。

黒騎士

三巻に登場する悪漢。地下迷宮の深部にある、魔界の門を開いた。七人の小人、ジン、粘液怪物などを配下にしている。

食屍鬼(グール)、ゾンビ

毎回のように登場するアンデッドモンスター。
三巻では、食屍鬼団を創立したグールたちが登場。そのメンバーには少なくとも、船乗りと弁護士を職業としているグールが存在する。他にも、歯医者や兵隊、商人や医者を職業にしているグールもいるらしい。
また、七巻ではゾンビの教師が迷宮内に一室を借りて、そこを教室として授業を行っていた。授業内容は、他のゾンビの生徒たちに、「要注意人物」としてピップの事を取り上げ、警告するというもの。

武装ミイラ

八巻に登場。ある迷宮の十字路の真ん中に立ち尽くしている。普通の包帯ではなく、鉄の包帯を巻いている。
無敵にして不死身のミイラと豪語しているが、動けないため何もできない。そのため、自分が立つ十字路から、誰も通さない事を生涯の喜びとしている。
十字路の先を進むためには、このミイラに合言葉を唱えねばならず、それができない場合は戦うしかない(すなわち、合言葉を知らないか、引き返さない事には14行き)。
なお、ピップが『ミイラはなぜ包帯を巻いているのか』と理由を聞くと、帰って来た答えは、
「他の奴らは知らんが、自分の場合は髭を剃っていてケガをしたのだ」

ネルド

眼鏡をかけた小男の姿をした怪物。
数字や書類仕事などを得意としているらしく、あちこちで受付や執事、事務の仕事などに付いている。強欲であり、賄賂に弱い。
中にはパンクのファッションに身を包んだネルドも存在し、「ピース!」とVサインを出しつつ金貨をせびってくる。

野菜怪物

文字通り、野菜の怪物。巨大なキャベツだったり、手に取れるほどのニンジンだったりと、野菜がそのまま怪物化したような存在。初期に登場した。三巻の、迷宮内のワンダリングモンスターの中にも登場している。また、ピップが用いる魔法の中には、この野菜怪物と友好的になれる呪文も存在している。

シリーズ一覧

「暗黒城の魔術師」

シリーズ一作目。ピップはマーリンに召喚され、ギネビア王女を誘拐した魔術師・アンサロムを倒すべく、その居城である暗黒城へと向かう。
マーリンは丸太の城に住む。

「ドラゴンの洞窟」

シリーズ二作目。ドラゴンの中でも最も危険と言われる『真鍮のドラゴン』を退治すべく、ピップはドラゴンたちが潜む洞窟へ赴く。
マーリンは今回、水晶の宮殿に住む。

「魔界の地下迷宮」

シリーズ三作目。邪悪なる『黒騎士』により開け放たれた『魔界の門』を閉めるため、ピップは地下迷宮に挑戦する。
マーリンは本作では、樫の木の中に住む。

「七つの奇怪群島」

シリーズ四作目。キャメロットからエクスカリバーが消えてしまった。そしてマーリンのかけた魔法が失敗し、ピップはイアソン船長の率いるアルゴ船の一室で目覚める。そのままアバロンに戻るため、群島を航海する。本作のみ、E・J無しで冒険しなければならない。
マーリンは本作では、井戸の中に住む。

「魔獣王国の秘剣」

シリーズ五作目。エクスカリバーが未だ行方不明のため、ピップはマーリンにより「おとぎの国」に旅立つはずが、「魔獣王国」へと到着してしまった。マーリンは今回、ピップの首にボルトを刺してしまっている(何かの実験をしていたらしい)。
マーリンは本作では、サイコロ型の家に住む。

「宇宙幻獣の呪い」

シリーズ六作目。キャメロット中にカビが大量発生し、国ごと覆われてしまった。このカビをはびこらせた何者かを倒すべく、ピップは黒幕を探し出そうとする。
マーリンは本作では、大きな樽の中に住む。

「幻し城の怪迷路」

シリーズ七作目。マーリンの借金取り立てのため、ピップは「幻し城」の迷宮奥に潜む魔術師、『グロット・ザ・ホッドル』の元へと向かう。しかしこの使命には、重要な目的が隠されていた。
マーリンは本作では、ロック鳥の大きな卵の中に住む。

「ゾンビ塔の秘宝」

シリーズ八作目で最終作。アーサー王が奇病にかかり、マーリンは行方不明に。そして、『死の軍団』がキャメロットに襲い掛からんとしていた。ピップは聖杯を手に入れるため、ゾンビ塔へと向かう。

「ドラキュラ城の血闘」

ヴァン・ヘルシングのドラキュラ退治に(半ば騙された形で)参加する主人公は、ドラキュラが住むトランシルヴァニアの城を訪問。ヘルシング教授とともにドラキュラを退治するため城内を探索する。
※同作者のゲームブック。グレイルクエストのシリーズではないが、誌的魔神が登場する、皮肉とユーモアに富んだ文章など、番外編とも言える内容である。

誌的魔神の詩

自分は偉大なる詩人と思い込んでいる魔神だが、その詩は聞くに堪えないもの。
以下に、劇中に登場する魔神の詩を掲載する。

:一巻、セクション87

さあ、わしはいく
そして、鳥の歌をきく
快いそよ風に髪をゆらし
天国にくらし
咲き乱れる花によい
一杯の美酒によい

※ピップに即興詩を書くように頼んだ後、「二行ずつ韻を踏んでもらいたい」と注文を付け、その例として即興で作った詩。本人曰く、「まずまずの出来」。

:二巻、セクション107
 ストーンマーテン村の、魔神の地下聖堂にて。黒檀の棺桶に刻まれた詩。

汝はくたびれはてて旅をつづけ
もはや夢も希望もありはしない
やっとのことでここに来たれり
息もたえだえ目はうつろ
誰かを見つける望みを抱きて
あるいは死に場をもとめて

:二巻、セクション122
 目覚めた魔神が、ある答えを口にしたピップに対し朗読した詩。

それはスフィンクスの謎のよう
木のアヒルはいかに歩みいかに進むか
小さなアヒルは木のおもちゃ
カタカタ、カタカタ車輪で歩く
ガアガア魔法をつぶやきながら
それはずうっと昔のはなし
いまじゃ車輪も朽ち果てた……

:三巻、セクション37
 ボゴルフィットに夢中になっている村の教会。その地下聖堂の扉に張られた、ポスターに書かれた謎かけの詩。

そなたが友であろうと敵であろうと
とにかくこれをいま読んでいるそなたは
アバロンの大詩人とうたわれし魔神の
大理石の地下聖堂へと足を踏み入れたのだ
だがしかし、この扉は開かずの扉……
テストに合格せぬ限り
二度とふたたびここから抜け出られぬ

 暗号を解くと、棺桶が開き魔神が目を覚ます。その時に朗読したのが以下の詩。

安らかな眠りを解かれ、さわやかな寝ざめ
謎に満ちた公式を、よくぞすみやかに解きたり
暗き寒き旅路の果てに、よくぞこられたし勇敢なる冒険者

:四巻、セクション45
悪霊島に上陸したピップは、悪霊たち相手にオペラを披露していた魔神と遭遇。
その際に下記の詩を朗読した。

おお、若き友よ、なんといういたずら者よ
恐るることなかれ
あせることなかれ
最後の一ドルに賭けてでも、
かならずや、おまえを助けてやろうぞ!

舞台は、アバロンよりはるか過去の時代である。当然現代社会の一ドルという貨幣単位も、この時代の存在が知るはずがないが、なぜか魔神はそれを口にしている。
ちなみにピップも慣れたもので、大急ぎで(ゴマすりを兼ねた)下記の返詩をつくり朗読した

恐るるにたるものなし
冒険の旅立ちに際し
あなたにめぐり会えようとは
なんたる幸運
おお、詩的芸術の大家よ!

この時には、魔神もピップの事を覚えていた(とはいえ、「おお、ポッポ!」と名前を間違えていたが)

:四巻、セクション148
ある強力なアイテムをピップに授けた魔神だが、もう一つ重要なアイテムを授ける条件として、以下の詩を朗読し、その悩みを解決してくれと頼む。

ひよこの数を数えておくれ
余のすばらしき詩の朗読会に
青空にはばたかせる魔法のひよこの数を
魔法のひよこは余のペット
ある日ふつうのひよこにまぎれこみ
何羽いたのか見分けがつかぬ
いくらひよこにたずねてみても
ぴいぴいぴいぴい鳴くばかり
魔法のひよこは三本足、ふつうのひよこは二本足
ひよこはぜんぶで300羽、足はぜんぶで703本、
我が友にひよこの鑑定の才あるならば、
魔法のひよこの数を数えてくれ

:五巻、セクション6
「石巨人の踊り」というストーンヘンジの中で、ピップは魔神と遭遇。
その際に魔神は、ある騎士からの依頼について、助けてほしいとピップに話を持ち掛けてくる。
とある騎士が、「愛する女性への恋文を、詩として代筆してほしい」と魔神に依頼。それを受けた魔神だが、その恋文を送る相手の女性が誰かを忘れてしまったため、悩んでいる……というのだ。
それが、以下の「悩みつきぬ詩」

詩心を解す若き友よ、ともに悩んでほしい。くめどもつきぬ我が苦悩……
詩の朗読会は大成功。余の名声は時と所を飛びこえて、あまねく世界に広がった
かくして、舞いこんだひとつの依頼……
愛の詩をつづりし恋文を、余に代筆してほしいとひざまずく騎士ありき
かの男の人を見る目、感動せずにおれようか
かくて愛の言葉を切々と紡ぎ出し、かくて完成したる迫真の恋文……

しかし魔神は、相手の女性の名前を書いたメモを無くし、名前を忘れてしまった。
依頼者は旅に出ており連絡が取れず、女性に送りたくとも送れず困っている、とのこと。

以下の詩の中に、相手の女性の名前を、本人曰く「みごとに、かつ、さりげなく謳いこんでおいた」というので、ピップにそれを解いてほしいと依頼する。
「プライベートな恋文ゆえ、依頼者の名前はいえんがな」

おお
私はそなたにギブアップ
愛のソナチネを捧げよう
ゾンビもバンビも愛さずにいられない
アーサー王よりアイラブユーなのだ
おお、マイ・ラバー!
罪深き愛なれどナイトの位を失っても貫かん
我が心のヒロインよ、そなたへの愛は
夢のメルヘンに終わらせまいぞ

ちなみに、贈る相手の女性の名から、ピップは依頼者の騎士が何者かはすぐに悟った。

:六巻、セクション134
魔神が起こしたとされる、国中を覆った呪いのカビ。
そのカビに覆われ変化した、キャメロット城内の「呪いの迷宮」の一室。席が一つしかない小さな劇場にて、マスクを付けて舞台に立ち、歌劇を披露した。
その時に下記の詩を朗読する。

おお、悩みのつきぬ世なれども、余ほどの苦悩はあるものか
あらぬ濡れ衣に耐えるには、余の両腕はあまりにか細い
おお、余こそ呪いの最大の犠牲、今宵語るはその顛末
されば時をさかのぼり、受難の発端に立ち会われたし……

第二幕、三幕、第四幕と、濡れ衣を着せられた顛末を詩で語り(内容はネタバレになるので省略)、最後にピップを舞台に誘って上がらせる。
この後、クリアに必要な重要なアイテムを授けるが、大事な品の為に飲み込んで保管している。ピップの腕を自身の口の中に突っ込ませ、その品物を取り出させた後に授けた。

:七巻、セクション85
 グロット・ザ・ホッドルの迷宮内に存在する、「魔神の地下聖堂」の扉を開くと、その中の棺桶から現れた。
 地の文の「ワン、ツー、スリー(中略)エイト、ナイン……」のカウントダウンの直後、
「テーン!」と自ら叫び、棺桶から登場。
「そちは、食屍鬼(グール)か?」
 と、ピップの事を忘れた様子で、出会いがしらに以下の詩を朗読する。

残りの人生を、この地下聖堂で送るはめになったのか?
飢えた青白き吸血鬼か、
ドラキュラのいとこか、はたまた幽霊か?
さてもドラマティックな出会いなり
はたまた詩人であるやもしれぬ
このスリムな体つき、余は繊細にして天才
ハンサムで機知に富んだ……誌的魔神なるぞ

この後でピップは詩で返礼するが、その内容はあからさまなゴマすりのため、
「もうよい! おまえはそのゴマすり詩で余の注意をひこうというわけだな」と、珍しく制した(とはいえ、まんざらでもなかった様子だが)。
ピップはグロットの事を魔神に聞くと、魔神は詩を朗読する事で語って聞かせた。それが以下の詩。

かつてグロット幼きころ
やることなすこと”悪”と戯れていた
生長すれども、いっこう善に向かわず
いっそう悪く、誰もが恐れていた以上に悪くなった
さながら魔女にもくらべうるほど
やがてついには、リチとなった
彼の敵は、かく考えり……生きてはいるが、その死をも見たり、と。

「リチ」とは、アンデッドモンスターの『リッチ』の事で、魔神いわく、
「(前略)ふん、自然の寿命以上に長生きする魔法を使うせこい奴らのことよ。ま、きわめてゾンビに近い存在といえような。言ってみれば、生ける屍じゃな(後略)」

この後、グロットを見つけるための『心の四行詩』を作る事を勧められるが、
「あるいは、余がかわって作ってやってもよいぞ」と言ってくる。

自作も可能で、それでもクリアは可能。しかし魔神に作ってもらうと、その四行詩の中にクリアのヒントが隠されている。
詩作を依頼すると、魔神は喜ぶが、作詩料を請求される。しかも、
「しかし余は、金貨などという下賤なものなら手にせんぞ、代金はすべて宝石でいただこう」
安価な宝石を差し出すと機嫌を損ね瞬殺される。金貨千五百枚の価値の宝石なら詩の半分を、三千枚の価値の宝石ならば、四行詩を全て作ってくれる。
その詩が、以下の四行詩。

グロットに怒る(アングリィ)なら
グレイトな叔父(アンクル)に
奴(ヒィ)のねぐら(ベッド)を
聞く(ヒイアー)ならペットに

もしも宝石の持ち合わせがない場合、金目の物全てを差し出そうとすると、
「貧しきことは罪にあらず……」
「ただ、少し辛いだけだ。捧げようとしたものはすべて持っておるがよい」
そう言って、無料で以下の四行詩を作ってくれる。

グロットに負けるな
グロッキーでもなまけずに
三角形(トライアングル)の
アングルに挑戦せよ!

:八巻、セクション67
ある岩山の扉の中で、風呂に浸かりながらタイプライターを打っていた。
扉をノックしたピップの問いかけに「このような辺境の地にありながら、かような礼儀正しき返答を得られるとは、なんたる幸せぞ……」と感激しつつ、以下の詩を即興で朗読。

ヒバリには、ミミズ
ゾンビには、ウジ虫
ネッシーには、チョコ・ドーナッツ
そして詩人には、美しい言葉こそ
なによりのごちそうなのだ
さあ、美しき返答の主にいざ会わん

この時もピップの顔を覚えておらず、勝手に出版社の者だと決めつけ、ピップが名乗っても「ほう、ピップ出版と申すのか」と言う始末であった。
この時には、「モーリンという魔術師がナバロンに若者を召喚し、オーサー王の命を受け冒険の旅に出る」という、どこかで聞いた話の小説を執筆中だった(ちなみに全八巻予定、執筆中の一巻のタイトルは『暗黒街の奇術師』)。魔神いわく、「実話をもとにした小説なのだ」。

この後で、いつも通り魔神はピップに「解いてほしい問題」を問いかけ、それにピップが答えると、クリアに必要なヒントをさりげなく教えてくれる。
その後、礼として詩を打ち、朗々と詠じはじめる。

泣く子もだまる<死の軍団>
されどピップよ恐れるな
これなる頌歌作りしは
今日という日のためなるぞ
恐れあわてず騒がずに
勇気を奮い目を開けて
<死の軍団>に向かうべし
もう心配は無用なり
魔力秘めたるこの詩を
暗唱すればそれでよい
敵に出会いしそのときは
いかなる敵も倒すべし
窮地にあって加護あらん
打たれ強くはならずとも
命救うは保障つき

E・Jいわく、「なんたるクズ!(幸い、魔神には聞こえなかった)」
しかし、「死の軍団」と相対した時。この詩を正確に暗唱すれば、いかなる魔法も無効化するという効果が得られる。

:番外・ドラキュラ城の血闘、人間側セクション42
「グレイルクエスト」のシリーズではないが、同作者の作品で、誌的魔神が登場する。
 棺桶をノックしたら、白煙と共に蓋を開け登場。その際に主人公(プレイヤー)に対し、詩を朗読した。

おお、夢か幻か
悪夢から目覚めると、一匹の巨大な毒虫がおった
良く見れば、それは哀れなただの人間
毒虫ほどに美しくはないけど、耳だけはカタツムリのように立派
ではその耳に、余の甘美な調べをとうとうと注ぎ込もう
三半器官は喜びもだえ、汝は蛾となって天国へ飛んでいく……

主人公に「あなたはドラキュラ伯爵ですか」と聞かれ、「ちがうぞ、余は魔神である」と返した。

関連作品

デーモン・クエスト・シリーズ1『悪魔族の叛乱』
邦訳が二見書房から、文庫で出た同作者のゲームブック。
主人公は蛮族の「ファイア*ウルフ」。行き倒れていたところを、ある隠者に拾われ、封印から解けたデーモンと戦うことになる。
グレイルクエストと異なり、かなりシリアスな文体と作風。「デーモンスポーン」という長編シリーズの一作目だったが、日本では人気が出なかったのか、一巻の邦訳が出ているだけである。

モンスター・ホラーショウ
社会思想社・教養文庫より邦訳が出た、同作者のTRPGルールブック。
グレイルクエストのように、ルール説明も読者を食ったような、語り掛ける文体である。
冒頭部には、ゲームブックと同じ形式の、短い一人用ソロシナリオが掲載されている。このシナリオをクリアすることで、ゲーム自体の雰囲気が理解できるようになっている。
ゲームそのものの雰囲気もまた、グレイルクエストに近い。また、システムそのものにレベルアップという概念自体がないが、「もし望むなら、経験値とレベルアップを取り入れてもいい」と、ルールブックには記されている。
ただしこれは、単に「レベルいくつ」と名乗ってもいいというだけで、成長して能力値が上がるとか、キャラが強くなるとか、そういう事は全く起こらない(要は、経験値を荒稼ぎして、キャラを強力に成長させるRPGそのものを皮肉っているのだ)。

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