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サムライ・ソード

さむらいそーど

「サムライ・ソード」とは、「ファイティングファンタジー」シリーズの第20巻「サムライの剣」のホビージャパン復刻版である。
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「サムライ・ソード」とは、社会思想社から発売されていたゲームブック、「ファイティングファンタジー」シリーズの第20巻「サムライの剣」のホビージャパンにおける復刻版である。2009年に発売された。

 最大の特徴は、「挿絵がアニメやライトノベルのような絵柄になった」事である。

 カラーイラストおよび表紙・挿絵は、榛名まお氏が担当した。


作品解説編集

 タイタンの、三大大陸の一つ。クール大陸の東海岸に位置する、蜂漫国。

 その蜂漫国を治める将軍・馳皮奇兵の住む、紺壱城。

 その最深部の宝物庫より、神剣「鳴海の太刀」が奪われた。


 馳皮は、剣術指南役のサムライ、四根今直を呼び出し、事の次第を伝えた。

 現在、「鳴海の太刀」を手にしているのは、『悪鬼の巣窟』である、御仁駆城に潜む、闇将軍・鋳切である事も判明している。

 馳皮は四根に命じた。鋳切の住む御仁駆城に赴き、鳴海の太刀を取り戻してくることを。

 四根今直は、その命令を受け、紺壱城のダイモンを出た。

 この大門を再びくぐる時は、「鳴海の太刀」を取り戻した時。道中に名誉が失墜した時は、サムライの名誉を守るため、切腹の覚悟も出来ている。


 こうして、四根は旅に出た。目指すは西の山にある、御仁駆城。


デストラップ・ダンジョン」「ハウス・オブ・ヘル」に続き出された、ホビージャパンによる「サムライの剣」の復刻版。現在の所、本作が復刻した最後の作品となっている。

 挿絵が、先の二冊同様に萌え系のそれになっているが、本作はその傾向がより強くなっており、前二冊ではほとんど行われていなかった「モンスターの美少女化」が行われている。

 主人公キャラは、前二作では女性・少女だったが、本作では青年のサムライ・四根今直に。


変更点編集

 ゲームとしての基本的な内容もまた、前二作同様に変更はない。ただし、地名・人物・怪物など、固有名詞の訳が、読み方に若干の変更、もしくは読み方が同じでも、異なる漢字を当てている。

例:旧版⇒新版

:八幡国⇒蜂漫国

:今市⇒紺壱城(都の名が、城の名にされた)

:長谷川喜平⇒馳皮奇兵

:貞信公(ていしんこう)⇒津絵鎮公(つえちんこう)

:新免武蔵(しんめん・むさし)⇒新面武蔵(同じ)

:弓常茂市(ゆみつね・もいち)⇒黄泉爪茂市(よみつめ・もいち)

:余呂銀斎(よろ・ぎんさい)⇒鎧銀星(よろい・ぎんせい 女性化されている)

:カッパ、鬼女(しこめ)⇒喝破、死股眼

:大鬼(おおおに)⇒大鬼(ダイ・オニ)

:鍔鳴りの太刀⇒鳴海の太刀(なるみのたち)


 また、最大の特徴は、原典における「鬼軽城に辿り着く直前に、『戦いの場』で、大鬼とその手下の怪物たちと戦う」という点が、強調されている事である。

 本作では、御仁駆城に辿り着く直前に、大鬼と行う戦いは、「八界相剋戦」と呼ばれ、味方とする存在が潜む扉の名称も変更されている。

(旧版⇒新版)

究極山の頂⇒究極頂点界

大草原⇒古代平原界

神秘の山脈⇒不言神聖界

アコンの果てしなき砂漠⇒無限砂漠界

古代の沼⇒始源沼沢界

永遠の塔⇒久遠尖塔界

魔法の森⇒魅惑森林界

戦いの場⇒決戦闘技界


 そして、味方とするモンスターたちも、全てが美少女の姿をした「召喚闘獣」とされている(下記参照)。


主な登場人物・召喚闘獣編集

四根今直(しね・いますぐ)編集

 本作における、主人公=君。

 原典では、性格的な点は無色透明だったが、本作では外見および、性格の設定が付加された。

「若くして蜂漫国の将軍指南役についた優秀なサムライ。

 ブシドーを信奉し、質実剛健を旨とするマジメな性格。時々、自分や他人に起こっていることをものすごく冷めた目で客観的に見てしまうという長所だか短所だかわからない特技を持っている(口絵のキャラ説明より)」

 また、表紙イラストでは「悪死」の幟を携えている。

 原典の表紙では、アンデッドのサムライが有していた「悪死」の幟だが、本作においては、

「『悪死』、すなわち『悪には死を与えて罰する』という、四根自身の性格を表すもの」

 というものだと説明されている。


鎧銀星(よろい・ぎんせい)編集

 原典における、「余呂銀斎」に該当する女性のローニン。謀反を企て、処刑された大名、戸田家の家臣だった女サムライ。他の家来はハラキリしたが、彼女だけはローニンとなり生きながらえた。

 原典同様に、将軍家を憎んでおり、住んでいる山羊飼いの粗末な小屋の前にて四根に果し合いを挑む。


タツ編集

 原典の「龍(タツ)」に該当する。チャイナドレス風の衣装を着て、頭から(東洋における龍のような)角を生やした幼い美少女。古風で尊大な口調で語りかけ、謎かけに答えられなければ食らうというところも同じ。

キ・リン編集

 原典の「キリン」に該当する。修験者または仙女のような衣装を着て、背中に翼、額から一本角を生やした、ロングヘアの天使、または天狗のような美少女。

 優等生の生徒会長のようにも見えるが、実際の戦いでも毎回瞬殺されるのは原典と同じ。

不死鳥姉編集

 原典の「不死鳥」に該当する。威勢がよく、ヤンキーの姉御のような口調で喋る。腕が翼、足首が鳥の足になっているため、見た目はほぼハーピー

剣歯虎ちゃん編集

 原典の「剣歯虎」に該当する。虎模様のビキニに、虎の手足と尻尾、ケモミミを持つ野生少女(いわゆるケモミミ少女)。

 カタカナで話し、「ハラヘッタ!」「マルカジリ!」と、食欲のみで動いている節がある。口絵での紹介イラストも、肉にかじりついているコミカルな姿が描かれている。

大蛇さん編集

 原典の「大蛇」に該当する。上半身はグラマラスで妖艶な美女、下半身が蛇の、いわゆるラミア。ちなみに上半身は服を着ておらず、当然トップレスである(イラストや挿絵では、を隠すポーズをとっていたが)。

黄金騎士団編集

 原典の「黄金騎士団」に該当する。

 構成員が女性で、団長も女性になっている以外は、原典と同じ。

 リーダーの女性は、前髪を切りそろえ、後ろ髪を三つ編みのお下げにした、実直そうな女騎士として描かれている。

エレオノール編集

 原典の「女魔術師エレノア」に該当する。

 原典と異なる、やや見た目が幼い少女に。髪の毛はリボンで止め、眼鏡っ子で、その言動もどこか自信があまりなさそうな、ドジっ子のようなものになっている。

 服装は、シスターまたは魔法使いの見習いが着るようなワンピースのそれになっており、肩掛けのカバンに、手には水晶球が先端に付いた杖を持つ。

 表紙を開いた一ページ目のカラー口絵には、青銅大巨人を倒した直後、四根へと言葉をかけつつ消えていく姿が描かれている。

大鬼の手下の怪物編集

 大ガマガエルのグラールシュ、大カマキリのクルルク、そして青銅大巨人の三体。

 大ガマガエルの「グラールシュ」という名称は、原典には無かった。しかし本作では、三番手の青銅の巨人「ガルガンチュワ」の名が呼ばれず、なぜか「青銅大巨人」とだけ呼ばれていた。


「背景」と「最終パラグラフ」における追加要素編集

 原典における背景では、長谷川喜平の口から「鍔鳴りの太刀」が盗まれた事を伝えられただけだが、本作では、鋳切の手下が紺壱城の宝物庫に侵入し、「鳴海の太刀」を奪い、馳皮の家来たちと一戦交える様子が描かれている。

 最終パラグラフも、原典にくらべ長くなっているが、内容的な変更点はほぼない。あえて述べるなら、「イキルを倒して戻り、太刀を納める。今後は平和な時代が訪れるだろう」という原典の内容が、多少引き延ばされたものになっている事と、紺壱城で馳皮将軍自らが城門の前で四根を待ち、宴を催しめでたし……というシーンが描かれている事くらいである。


その他編集

 ホビージャパン版の復刻は、本作が最後で、以後は2020年現在出ていない。

 イラストが萌え化し、全体の雰囲気や作風が軽くなって、元々の作品の魅力を削いだため……という意見は散見されるが、実際には決して原典の魅力や長所を削いでいるわけではない。

 しかしそれでも、ファイティングファンタジーというゲームブックおよびテーブルトークRPGの傑作、およびその舞台となる世界「タイタン」の魅力を、新規のファンに対し周知させられなかった点は、残念の一言に尽きる。

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