概要
特撮テレビドラマ『サンダーマスク』のメディアミックスの一環として手塚治虫によってコミカライズされた作品。基本的にオリジナル作品を手掛ける手塚にとっては珍しいコミカライズ(もう一つのコミカライズ作品は「ミクロイドS」。)であり、後年のインタビューでも「自分の(オリジナルの)作品ではない」とコメントしている。
手塚が参加するきっかけとなったのは『サンダーマスク』自体が『魔神ガロン』の実写化が頓挫したことに伴い独立したスタッフが「ひろみプロ」を設立しを製作ことが縁。
かつて『マグマ大使』の特撮版を絶賛していただけに、「SF漫画=お子様向け特撮ヒーロー」という偏見に対する手塚自身の怒りを下敷きに、「変身するのではなく異形の体を隠す為にスーツを装着する」「動物・植物に続き鉱物=ケイ素が意志を持ち他種族の支配を目論む」等と大幅な設定の変更が加えられている。
テレビの放送終了に合わせて連載が終了したため、後半はかなり駆け足の展開となり、ヒロインが事実上死亡するというバッドエンド(ただしいつの日か復活することを匂わせているためビターエンドとも)となっている。
現状、原作の『サンダーマスク』は権利者不明なため封印作品になっているが、この手塚版は手塚治虫文庫全集にも収録され、読むことが出来る。
手塚治虫が漫画を書いたおかげで「全怪獣・怪人図鑑上下巻」のように「原作・手塚治虫」のと勘違いされていた事もあった。
あらすじ
SF作家の手塚治虫は、企画会議の帰り道謎の怪物に襲われる。窮地に陥った手塚を救ったのは鳥に似た異形の怪人だった。怪人は人間に姿を変え、飯田光一と名乗り地球制服を目論むケイ素生命体デカンダーから地球を守るべく、ガス状の宇宙生命体サンダーと合体し戦っているという。
彼に協力することとなった手塚は「ちょっとおっかなくて人に見せられない」として新たなデザインを描き、サンダーマスクというヒーローを生み出すのだった。かくしてサンダーマスクとデカンダーの送り出す怪物の熾烈な戦いが始まる。