一歩踏み出したその先に広がっている世界───
概要
少女終末旅行の完結から約1年、新たに連載が決まったつくみず二作目の商業作品。
2年間の引きこもり生活から脱した主人公、月島しじまと周囲の人々を描く「詩的でシュールなほのぼの日常4コマ」。
ところが日常を過ごしていく中で街に不可解な現象が起こるようになり、やがてほのぼの日常4コマを完全に逸脱した夢のような非日常が展開されていく。
単行本は全5巻(49話+番外編1話)。
登場人物
月島しじま
CV:大空直美
本作の主人公。
中学1年生の時に学校が嫌になり、押し入れに2年間引きこもっていた過去を持つ内気な少女。頭に生えているしめじのような物体は引きこもり生活の際にいつの間にか生えていたもので、それに因んでまじめからは「しめじちゃん」の愛称で親しまれている。
読書と魚が好きな大の面倒くさがり屋。
まじめのことを最初は迷惑に思っていたが、一緒に生活していくうちに少しずつ関係が深まっていき、同棲を許すほど仲良くなった。
実は少女終末旅行のとあるワンシーンに小さく写っている。
「押し入れの中は誰もいない…世界のすべては私自身だった」
山下まじめ
CV:花守ゆみり
しじまのクラスメイトであり、初めての友達(と本人は思っている)。
名前の通り真面目な性格…ではなく人との距離感の測り方が下手な少し間の抜けた、早い話が明るいアホの子。頭の上に乗っている目玉焼きは生まれつきからのもの。
一人ぼっちが大の苦手な寂しがり屋で、傍にぬいぐるみがいないと眠れない。
相手の領域に遠慮せず入り込む姿勢はしじまにとって天敵ともいえるような存在なのだが、面倒くさがりなしじまは「断るのが面倒」と、引き離す素振りを見せない。なんだかんだでしじまとは良好な関係を築けている。
しじまとの交流によって、しじまのことを好きという気持ちが新たな領域に達しつつあり、彼女以外では気持ち良くなれない体質になってしまった。
「どうせ私の長所なんてメガネと目玉焼きくらいだよ…」
しじまの姉
CV:渕上舞
しじまと2人暮らしをしている、親のような存在。
頭脳明晰な変わり者で、大学を辞め夢と世界に関する研究を行なっている。
“名前のある魚”という魚の魂を用いた実験から世界を今よりも自由にしようと試みており、やがて彼女の研究は世界を揺るがすほどの大きな影響を及ぼしていくことになる。
外見は作者の代理としても描かれる白衣を纏うおさげで眼鏡の人物その人。幼い頃は泣いてばかりいた妹を喜ばせようと、妹の好きな魚のヘアピンを身に着けている。
彼女も少女終末旅行のとあるシーンに当時作者が飼っていた犬と一緒に写っている。
「病気かどうかを決めるのは世界だ」
もがわ先生
しじまとまじめが入部した「穴掘り部」の顧問。美術の担任も務めている女性教師。
おっとりした印象でどこか抜けたところがありながら、時に大胆な行動を見せる。
好きなものはお酒とドーナツのような輪の形をしたもの。
特に輪っかに魅入られていて、大学時代から陶器で作ったドーナツを作り続けている。
「みんな幽霊部員になっていく…」
すみだ先輩
穴掘り部に所属する2年生。
物静かな性格で、自分の気持ちは基本的に文字や絵としてスケッチブック越しに伝える無口な少女。
もがわ先生とは抽象的な絵を通じて会話することもある。
かつては学校に通う楽しみを見出せず、よく保健室に行くか早退していたが、もがわ先生の焼き物を真剣に作る姿を見たことがきっかけで学校に通うようになった。その為もがわ先生を慕っている。
「私は絵で描いた方がわかりやすい」
よみかわ先輩
穴掘り部に所属する3年生で、常に頭に本を乗せている自称美少女。
高校は留年していて既に成人済み。しじまの姉が3年生の時に同じクラスだったこともある。
頭の本は少し浮いているために重くないらしい。生まれつき本の存在を感じており、今では街の住人が触れられる以上の本の知識と頭の上で繋がっている。
作中随一の自由人であり、どんな時でもマイペースを崩さない。
「永遠の美少女は永遠の女子高生なのです…」
「モササ犬」
しじまのクラスメイト3人組によるガールズバンドグループ。
名前の由来は穴掘り部が発掘したモササウルスの頭の骨と犬の埴輪をくっつけたものから。
あやか(画像左下)
モササ犬のキーボード兼ボーカル・作曲担当。
授業中に作曲しては曲を録るために教師の制止を無視して教室を飛び出すなど自由奔放な天才肌。
よしこ(画像右下)
モササ犬のベース・作詞担当。
控えめな常識人であやかに振り回されながらも一生懸命な頑張り屋さん。
担任の高橋先生に好意を抱いている。
ゆみ(画像左上)
モササ犬のドラム担当。
リーダー気質で天才肌のあやかと仲裁役で常識人のよしこを繋ぐフォロー役。
博識かつ斬新な視点の批評をすることもあるが、話をする前から驚くなどの天然な面もある。
「どうしたあやか」 「あやかどうした」
「今日たまたまオシロスコープ持ってきてて」 「天才かよ」
庭師さん
しじまが平日の住宅街で出会った小学生のような見た目の白い少女。
見た目とは裏腹に理知的で、西よもぎ市の管理者のような振る舞いをしている。
しじま達が暮らす西よもぎ市は、住人の見た夢が夢の空間となって現れるような「間違い」が稀に生じることがある。
彼女は手に持った刺股のような棒でその「間違い」を直し、影響の少ない形に直す仕事をしている。
「はあ…ここのところますますひどいですよ…」
高橋
しじま達のクラス「1-D」の担任。担当科目は世界史。
少々いい加減な性格であり、授業中であっても晩御飯に何を作るか考えることもある。
よしこに好意を寄せられている。
「今日は帰ったらリンゴを煮てリンゴパイを作ろうかな」
まじめの母
まじめと同じく頭に目玉焼きが乗っているが、まじめのものより少し小さい。
見た目や性格はまじめそのもの。料理上手な料理好き。
空から降ってくる星を材料にした「星のおしるこ」のように変な料理を作ることもある。
「えーでもしめじちゃんもちっちゃくてカワイ──♥」
もがわ巡査
もがわ先生の妹。警察官として働いている。
見た目はもがわ先生と瓜二つだが、性格は姉とは真逆のしっかり者。
「オクラが空を飛んでもこの街は法治国家よ」
たこの人
双子の妹であるタコと共に生活している少女。
タコの人権を認めさせるために活動している。
作者が描いた絵本「たこぐらし」にも似た人物が登場する。
「タコと人間は友達です!」
さめの人
文芸部に所属するサメの被り物を被った少女。被り物は触るとムニっとする。
サメをペットとして飼っており、一緒に散歩することもある。
「………」
伊藤
「1-D」の教室でしじまが座る席の左隣の席に置かれているサボテンのクラスメイト。
担任の高橋やしじまからは学校をサボっていると思われていたのだが…?
生まれつき体がサボテンだが、サボテンの生活も悪くないと思っている。
「サボってると思ってたんだろ?“サボテンだけに”」
店員さん
西よもぎ市にあるファミリーレストラン「HEAVEN」で働く店員。
「HEAVEN」が「HAEVAN」となり、貨幣経済の崩壊に伴って営業を停止した後は別の店で働いている。
「ご注文はお決まりですか?」
校長先生
しじま達が通う西よもぎ高校の校長。
滅多なことでは怒らない温厚な性格だが怒ると怖い。
愛煙家であり校門の外でよくタバコを吸っているからか、校内で飲酒するもがわ先生を諭す程度で容認している。
新任時代は穴掘り部の顧問だった。
「君ら若い生徒たちが元気ならそれでいいと私は思う」
天使の子
しじまの学校で聖書の教えを広めていた信心深い少女。
頭には天使の光輪、背中から天使の羽が生えている。
祈りを込めて空から光の剣を雨のように降らせ、邪な存在を串刺しにする能力を持っている。
西よもぎ市に怪物たちが現れた際には率先して立ち向かった。
「土から来た者たちよ…悪しきものはみな土に還るべし!」 「光よ!」
よしか(画像下)
しじまが愛用するホウボウを模った筆箱。
しじまの姉から贈られたもので、しじまは寝る時も肌身離さず持ち歩いている。
元々名前のない存在だったが、まじめによって「よしか」という名前を付けられた。
後にまじめの深い感情移入によって命を得たことで、しじま達とコミュニケーションが出来るようになった。
「かわいいんだよ」
ぬいぐるみのお友達
まじめの家に置かれている動植物を模った6体のぬいぐるみ。
もちもちのびうさぎのちほ、ひらたいねこのまほ、テトラポッド(消波ブロック)のたろー、オオサンショウウオのじろー、むきえびのゆき、かぶのなおとそれぞれ名付けられている。
まじめの感情移入によって命を得た彼らは、壮大な神話に巻き込まれる。
「まじめちゃんは私たちすべての最初のお友達 一番のお友達なのだから」
しじまの姉(コピー)
しじまの姉が無意識に生み出した彼女の分身。複数体存在する。
本物との違いとしては、目元に大きな隈があり、魚のヘアピンを身に付けていない。
世界と人々を同時に改変可能な状態にして、世界を混沌に陥れようと暗躍している。
「別に人を消したりするわけじゃない ただ鍵を外すだけだ」
しじまの姉に似た女性
しじまが旅の途中で出会った長身の女性。
哲学者のような言動で、自分や世界は何のために生まれて今この場所に存在しているのかに関する研究を行なっている。
性格や佇まいがしじまの姉に似ているが、最後まで関係性が明かされることはなかった。
「私はなぜ一人ここでこうして在るのか」
お隣さん
長髪癖毛の食欲旺盛なアルバイターと、冷静にツッコむおさげ頭の少女2人組。
しじまが暮らす団地の反対端に住んでいるが、間が全て空き部屋なので実質お隣さん。
しじま達とは異なる独立した物語を歩んでいる描写が多い。
外見や性格はあの2人とほぼ完全に一致しているが、作中で名前が明かされず詳しい人物像の掘り下げも描写されなかったため、関連性は最後まで明かされることはなかった。
(公式でグッズ化された際の名義も「お隣さん」という徹底ぶり。)
「天国最高ー!いやー死んでよかったー」
「死んでねえよ」
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