シンドバッド黄金の航海
しんどばっどおうごんのこうかい
本作は、レイ・ハリーハウゼンが特撮監督を担当した、シンドバッド三部作の二作目。
ただし、前作「シンドバッド7回目の航海」とは、内容的にはつながっておらず、シンドバッドのキャラクターや立ち位置などは、別物になっている。
航海中のシンドバッドの帆船に、奇妙な鳥(ホムンクルス)が黄金の刻印を落としていった。それを拾い、自分のものとするシンドバッド。
マラビア王国に着いたシンドバッドは、魔術師クーラとその手下の襲撃を受け、黄金の刻印を奪われそうになる。なんとか難を逃れ、宰相のビジエルに面会するシンドバッド。
ビジエルは世継を定めず亡くなったマラビア国王により、国を任され摂政をしていたが、クーラの魔力による火球で顔に大火傷を負っており、黄金の仮面を付けていた。ビジエルもまた黄金の刻印を所持しており、2つの刻印を合わせると未知の孤島を示す海図らしきものとなった。
ビジエルはシンドバッドに「刻印は3つで一組のものであり、全て揃えば、クーラの野望を排し、マラビアを危機から救えるのだ」と語る。宰相ビジエル、シンドバッドの夢に現われた女奴隷マルギアナ、そしてその自堕落さを叩き直してくれと父親の商人から頼まれた若者ハロウンを船に乗せて、船乗りシンドバッドの冒険が始まった。
海図が示すのは、幻の島・レムリアへの道。霧の海域を通ってクーラを撒こうとするシンドバッドだが、クーラは魔術で、シンドバッドの船、その舳先のサイレン像を動かし、海図を奪い取ってしまった。だが、魔術を使ったため、クーラは老化してしまう。
レムリアに到着するシンドバッドは、番人が番をしている洞窟に辿り着く。そこで井戸の精霊に出会い、三つ目の黄金の刻印が北方に存在する事を示唆する。そして、それに伴う伝説をも口にした。黄金の刻印は、三つの大いなる力を授けるというのだ。
しかし、この事はクーラが新たに作ったホムンクルスによって知られてしまった。
先回りしたクーラは、北方の原住民に対し、彼らが崇める陰母神カーリーの像を動かす事で自分の配下に。そして、駆けつけたシンドバッドたちは、六本腕を持つカーリーの六本の剣と切り結ぶ。
果たして、黄金の刻印がもたらす大いなる力は、シンドバッドとクーラ、どちらが手に入れるのか。
ホムンクルス
魔術師クーラが作り出した、小型の使い魔。
その大きさは、身長20センチ程度で、背中に大きな蝙蝠の翼を持ち、自在に空を飛ぶ(そのビジュアルは、ゲームに良く登場する『ガーゴイル』に酷似している)。
クーラが自身の生命力を用い、薬草などから創造した。劇中にも作り出すシーンがある。
サイレン
シンドバッドの船のへさきに取り付けられた、魔除けの女性像。人間よりやや大柄な木製の像。クーラの魔術によって動き出し、レムリア島に向かうシンドバッドの船から、海図を奪いとった。
陰母神カーリー
レムリアの北方にある、原住民たちが崇める神殿の奥に安置されていた神像。六本腕であり、クーラの魔術によって踊り出し、さらにクーラが投げた剣を取って、六本に増殖。六刀流でシンドバッドたちに襲い掛かった。
本作の代表的なモンスターで、人気も高い。
ケンタウロス
半人半馬のモンスター。ただし、本作のケンタウロスは一つ目で、原住民たちに崇められ、生贄を捧げられていたらしい。人間というより類人猿や原始人のような姿で、優雅さよりも野蛮で獰猛な怪物として登場している。稚拙な棍棒を武器にするが、力任せに叩き付けるため、壊してしまった。
神殿内の奥に潜み、女奴隷マルギニアを生贄としてささげられる。その姿に違わず怪力で凶暴。同じく神殿の奥から出現したグリフォンと戦った。
ビジエル
マラビア国の摂政。前国王が後継ぎを指名せずに死亡したため、摂政として国王代理を務めていた。クーラの秘密を調べている最中に、魔術による炎を顔に浴びて焼けただれてしまった。そのため、黄金のマスクを被っている。焼けただれた顔は、後に窮地を逃れるのに役立つ事に。