概要
特殊医療機構「アスクレピオスの杖」に所属する、史上最強にして最弱の薬剤師・アルツが助手のミラドールと共に人々を苦しめる感染症「疫神(ギフト)」に立ち向かい患者を救おうと奮闘する痛快メディカルアクション。
2012年連載開始。2014年10月現在、単行本6巻までを刊行。6巻で連載は終了した。
登場人物
アルツ
本作の主人公。176cm52kg(体重は一定ではないらしい)。異常感覚(聴覚・嗅覚・味覚・触覚)を持つ白髪の青年。菌・ウイルス科13班に所属する薬剤師。常に体調が悪く、助手であるミラドールからは「軟弱者」と罵られ続けている。誕生日は5月5日で、血液型はO型。疫神との戦闘時には、巨大な注射器を使用する。好物はシュークリーム。世界に存在する「抗」疫神薬の約7割を製造する四薬天<ヒュギエイア>の一人。
ミラドール
アルツの後方支援役。133cm/28kg(食事での大変動あり)。アルツの助手をつとめる少女。普段から無表情で口数は少なく、毒舌。手のひらの刻印からは武器である注射器や、時々輸液や大きな瓶のようなものを出す。その容姿に見合わず大食い。一応ハルシオンの妹とされているが、血の繋がりは無い。
チノ
菌・ウイルス科9班に所属する赤髪の天真爛漫な少女。任務にいく度あちこちを走り回る為、アルツやハルシオンからは猿呼ばわりされている。身長は158cm/47kg。武器は電動ノコギリ。9班は任務により、本部にいないことが多い。アホ毛は気分によって揺れる。任務遂行数最多の四薬天の一人。
ハルシオン
チノの後方支援役である水色の髪を持つ青年。身長は185cm/70kg。腹部にあるミラドールと同様の刻印からノコギリを取り出す。ミラドールを「妹」といって溺愛しているが、当の本人からは距離を置かれている。そして血の繋がりも無い。
ヘイズ
寄生虫科4班に所属する戦闘狂の青年。髪は紫色。身長は170cm/47kg。非常に攻撃的な性格で、疫神を狩る理由にはアルツのように患者を救いたいという想いは一切なく、ただ疫神を狩るのが大好きだからというだけ。常に武器である鋏か好物のチョコかを片手にしている。面倒事が嫌いで、疫神狩りが大好き。疫神駆除率200%の四薬天の一人。
黄連
ヘイズの後方支援役で、黒髪。身長135cm/37kg。外見は少女のようだが、実は男。世にいう男の娘。ヘイズのことが好きで、話しかけて返事をして貰えただけで赤くなる。舌からヘイズの武器となる巨大な鋏を出す。
リーゼ
真菌科に所属する金髪の女性。ハルシオン以上にミラドールを溺愛している。筋肉が好きなのか、アルツとの再会時にはすぐさま尻の筋肉の具合を確かめていた。しかしヘイズのような細身の男の尻には興味がない模様。ウルグート曰く、「今のアルツや俺よりは強い」。薬剤師で唯一包埋術を扱う。圧倒的な強さを持つ四薬天の一人。
ウルグート
リーゼと同じ真菌科に所属。サングラスを掛け筋肉隆々な厳つい容姿をしている男性。左目にはミラドールたちと同様の模様があり、武器の顕微鏡に変わる。アルツがマルクを使用し辛くも勝利した疫神を素手の一撃で倒すほどの実力を持っている。詳しくは最後まで明かされなかったが、どうやらすでに死んでいる模様。
ニトロ・セルロース
薬剤師が捕獲してきた疫神の保存・管理を行っている包埋師。アルツに宿る疫神の事案に関しての責任者となっている。俳句が書かれたネクタイを着用している。
用語
・疫神(ギフト)
病気感染を撒き散らす生命体。動物や人に寄生し、ある程度なら宿主を疫神の棲みやすいように改造することができる。菌・ウイルスを撒き散らすタイプ、寄生虫タイプ、真菌タイプなどがある模様。
・アスクレピオスの杖
特殊医療機構。単純に機構と呼ばれることもある。多くの薬剤師が所属している。疫神による感染病が流行った時は事前に調査を行い、疫神のタイプを見極めてから薬剤師を派遣する。
単行本
2012年9月27日 第1巻発売
2013年1月26日 第2巻発売
6月27日 第3巻発売
11月27日 第4巻発売
2014年4月26日 第5巻発売
9月27日 第6巻発売 最終巻
単行本1、2、4巻では、巻末に番外編である「学園GG」が載っている。
2巻ネタバレ注意↓
実はアルツは、疫神の宿主。薬剤師は通常、疫神の病気に感染こそすれ宿主にされることなど無いとされてきたが、アルツの疫神は異例。薬剤師の血が効かない種であった。
薬剤師の血が効かない=薬が作れないため危険だとしてアルツの殺害が検討されたが、アルツは薬剤師として有能すぎた。
そのため疫神をアルツの眼に包埋して感染を防ぎ、アスクレピオスの杖の監視下に置くこととした。包埋の影響で実はアルツは眼が見えず、それを悟られぬよう生活していた。アルツが異常感覚を持っているのは、失った視覚を補うためアルツの中の疫神が他の感覚を異常なほど鋭くしたから。
これらを戦闘狂のヘイズに知られた時は(ヘイズはニトロに盗聴器を仕掛け情報を得た)、「俺の獲物だ」と殺されかけた(コミックス2巻参照)。しかしその後疫神に遭遇したため、何とか殺害は回避した。しかしその後も、事あるごとに命を狙われている様子。
そしてニトロの包埋も完璧なものではなく、稀に壊されてしまう事がある。その時は疫神の覚醒によって周りの人間が病気に感染しないようにするため、とりあえずミラドールが殺していた。疫神が体組織を再生させ、疫神アルツを生き返らせる前にまた包埋を行えば元通り、という仕組み。
6巻ネタバレ注意↓
アダムを保護すべくグルーベ遺跡に向かった四薬天たちだが、道中四疫獣などに行く手を阻まれアダムのもとに辿り着いたのはアルツとミラドールのみだった(後にヘイズ・黄連・リーゼが合流)。
最深部にいたのは元アスクレピオスの杖所属の後方支援役・ナナエ。(プロフィールは下↓)
そこでナナエはアルツに、アダムというもの、機構の犯した罪、そして自分やミラドール、ハルシオン達後方支援の哀しい過去について語る。
ナナエ達後方支援は、人間でも疫神でもない。過去にアダムを手に入れた機構によって作られた、薬剤師のなりそこないにすぎなかった。
アダムは人の望んだものをそっくりそのまま作り出す物質。りんごを願えばりんごを生み出し、「人を願えば人をつくる」。
機構はそれを利用し、薬剤師を人工的に作り出すことを試みた。
しかし実験は成功せず、実験は中止された。
結果生まれてしまったのが、人間にも薬剤師にもなれなかったナナエたち。
機構はそのなりそこないの人形たちを、後方支援役として使い始めた。
そして、事件が起きる。
ナナエがパートナーと共に任務に出かけた、ある雨の日。
他の事に気を取られ疫神からの攻撃に気づかなかったナナエ、パートナーが疫神を倒しその危機を救う。その時、パートナーは言った。
「考え事なんかしながら戦うとやられるぞ。手間を取らせないでくれ。そんなんじゃ患者を助けられない。彼らを助けられるのは、
薬剤師だけなんだからな」
その後、ナナエはパートナーを殺害。アスクレピオスの杖を抜ける。
以来、機構の守ろうとした世界への復讐を誓って生きてきた。
ナナエ
元アスクレピオスの杖所属の青年。後方支援役。鎖骨の斜め下にある刻印から、巨大なメスを出して戦う。後方支援役達の中では一番自己を持っていたため、自分が機構によって作られた「人形」だということ、なりそこないであること、生まれた時から失われていた存在意義に苦しんだ。
しかしアスクレピオスの杖所属時代、境遇を同じくしたハルシオンに「俺たちが持てなかったつながりを持ちたいんだ」と、「家族」と言われていた。それにはナナエなりに、感じるものがあったよう。