「テッド・ファイヤー! がががっ!」
概要
初登場はメタルマックスシリーズ2作目『メタルマックス2』。本作における最強の賞金首モンスターにして、バイアス・グラップラー四天王の筆頭。巨大な火炎放射器から繰り出す強烈無比な火炎攻撃を得意とする。性格は冷酷非情で、逆らう者はもちろん無能な部下も容赦なく遺伝子のカケラまで焼き尽くされる。
RPGとして比較的ストーリー性の薄い同シリーズの中において際だつ主人公との因縁、世界観とマッチした悪の幹部としての存在感、そして圧倒的な強さから、現在ではメタルマックスシリーズにおけるカリスマボスとしてファンから高い人気を誇る。
その理不尽とも言える強さも、2010年代にもなれば有象無象の笑い話の一つなのだが、ネットの普及していなかった1990年代、しかも当時は『メタルマックス2』が絶妙に不人気だったこともあり、攻略情報を共有出来ない少年達の心に普通にトラウマを残した。
メタルマックス2
オープニング
「ふしゅるるる‥‥。 じゃまする ヤツは ころす!」
「この テッドブロイラーさまが まるやきに してくれるわ! ががが——っ!」
人間狩りを行うため部下を引き連れて「マド」の街を襲撃。
街の住人が雇った名の知れた賞金稼ぎ達がいとも短時間に消し炭にされる。その中には主人公の母親同然の女性も含まれており、ついでに主人公も殺されかける。
リベンジ
やがて幾多の賞金首を倒すほど成長した主人公はリベンジをすることになる。
彼の賞金は最高額の60,000Gとなっている。
だが、本作での戦闘の大半は戦車に搭乗して臨むのが前提であるにもかかわらず、彼との戦いは必ず戦車抜きの生身での白兵戦で臨まねばならない。
「じゃまはさせんぞ!われらにさからう おろかな人間どもめ!」
「ほのおにつつまれて 死ぬがいい!」
「このテッドブロイラーさまが いでんしのかけらまで やきつくしてやるがががーっ!」
強さ
まず、素のパラメータ自体がラスボスクラス。意識して稼いでいない場合、こちらの攻撃はまともにダメージすら通らず、向こうの攻撃は一撃死しかねないという絶望的な戦力(『メタルマックス2』では戦闘中に死亡した仲間を復活させる手段が存在しない)。
LOVEマシン(3-3-2-2)を使って熱バリアを張ることで攻撃の半分くらいはシャットアウトできるものの、それでも一部の攻撃やクリティカルは容赦なく貫通してくる(特に頭部のモヒカンを飛ばす「モヒカン・スラッガー」は非常にクリティカル率が高い)。
しかも、どうやら毎ターンHPが一定量自動回復しているプログラム処理が為されているらしく「少しずつHPを削る」戦い方では絶対に倒せない。
そしてトドメに・・・
まんたーんドリンク!
この一言が、必死に戦うプレイヤーの心を叩き折った。
これはHP全回復アイテム「まんたんドリンク」を使用した際のセリフ。HPが半分を切った辺りで使用し、本当に全回復してしまう。素早く飲ませず倒すことは極めて困難なのでドリンクによる回復分も総HPだと割り切るのが吉。
……以上のような理由で、七英雄らと並び称されるバランス無視級の極悪ボスとして未だに語り草である。フラグ管理の緩い本作において数少ない「倒さないと進めないボス」であることから、コイツに勝てずにクリア目前で投げたプレイヤーも多数。本来は戦車前提のボスだったのではないかというデマまで流れたほどである(ちなみに攻撃力自体はブルフロッグより低いため、そうしたデータが明らかとなった今日では戦車前提ではないことがわかる)。
とにもかくにもソルジャーの攻撃力が頼り。道中も厳しいが、手持ちのアイテムをLOVEマシン/ポチボンベ2台/濃縮メチルに絞り、あとはソルジャー用のドーピング・タブ4〜5個およびありったけの満タンドリンクを携行し、ドーピング・タブで攻撃力にひたすらバフをかけてから攻撃すること。バフの効力は、元のパラメータが高いほど効果的なので、威力の高いオメガブラスターなどがあるとよい。最低でもTNTパラノイアはほしい。
ハウリング砲・プラズマストームは属性耐性に阻まれるので見た目に反して威力は出ない。
余裕があれば濃縮メチルでダメージを稼いだり、あるいはスリープ・ボトルで冷えによるスリップダメージを狙ったりしつつ、あらゆる方向から1ターンあたりのダメージを稼ぎ、自動回復を常時凌駕させていこう。
HPはハンターやメカニックでも1400程度ないと不安しか残らないだろう。モヒカーン・スラッガーなどで瀕死になった場合などは「かばう」で単体攻撃を肩代わりさせつつ満タンドリンクを飲むなどの対応にも追われることとなる。また、破壊されたプロテクタの付け替えは厳禁。装備変更を行うと、熱バリアやバフが全部台無しになってしまう。
痛恨の一発を受けた場合、属性耐性や守備力を全て貫通するうえ、テッド・ファイヤーで痛恨を食らうと後のメンバーの耐性まで無視されるため、対策を万全にしていても事故死は山のように起こる。ただし、レベルを上げれば上げるほど痛恨の発生率を抑えられるため、レベル上げで強化してから以前と同じつもりで臨むと拍子抜けすることもある。困ったら基本に立ち返ろう。
LOVEマシンを3-3-3-2にセッティング(命中率デバフ)して、火炎半減の防具を行き渡らせれば、命中率デバフの重ねがけによって最終的にダメージを半減(火炎半減があるのでトータル1/4)へと抑えこめる。こちらはモヒカーン・スラッガーに対しても有効であるうえ、攻撃役以外はプロテクタの付け直しもできることから、場合によってはこちらのほうが有用とも言える。
本作ではレベルによる戦闘力補正が大きいため、情報がなければ単純なレベル上げこそが最も効果的な手段として単純に機能する。たとえばレベル30とレベル40ではかなり違うし、人間戦車の称号を得られるレベル60まで上げれば普通に回復が追いつく。ダンジョン自体が適正レベルを大幅に引き上げられた難所でもあるため、総じて『ドラゴンクエストⅡ』のロンダルキアへの洞窟のように「難所だがそれは到達レベルが段違いに上がるためなので、レベル上げすればなんとかなる」というパターン。
ポチにわんわんグルメを大量投与し、腕力を255まで高めてからレベルアップすれば、相手がテッドブロイラーといえどダメージ補正で完全に有利になれるため、攻撃をポチに任せて人間3人は生存だけを考えて戦線維持につとめる手も。
「圧倒的な力を持つ暴君」でありながら、その名前に「管理されて飼育される鶏」の名称が含まれているのが意味深。
なお、コードで戦車を持ち込んで戦闘した動画があるが…トラウマ持ちは見ない方が賢明だろう。
どうしても勝てないのであれば、最後の手段としてスリープ・ボトルで睡眠を狙ってみる手段もある。眠っている間なら逃げられる。逃げればイベント上では彼は死ぬ。ただしバトルで勝利してはいないので、賞金は獲れない。
余談
『メタルマックス2』においては、テッド・ファイヤーを使う際に炎の軌道が3筋出ているのがわかる。うち2筋は両手の火炎放射器から出ているのは当然として、残るもう1筋はよく見ると口から火を噴いている。細かく観察すると、火炎放射器のボンベから出ている管が3本あり、うち2本は両手に取り付けているのだが、残る1本が後頭部に接続されているという完全なる改造人間の様相を呈している。もはや彼の体そのものが火炎放射器なのだ。キャラクターデザインの山本貴嗣氏のツイッターによると設定画にもそのように書かれている。
体内を業火が駆け巡っても平気な身体をしているので、外から火をつけても燃えるわけがなく、火炎属性が通用しないことが設定から明確になっているキャラクター。
開発中は賞金が34,000Gに設定されていたらしい(PVより)。もしかすると最後の最後ではなく、もうちょっと前の段階で決着をつける予定もあったかもしれない。
また、特徴的なポーズと「モヒカーン・スラッガー」というド直球かつ脱力ものの攻撃名が重なって、オープニングでは用心棒がバタバタと殺されていくはずの場面なのにシリアスな笑いを生み、当時開発者に「ここ泣くところなんですか、笑うところなんですか」というお便りが寄せられたこともあったとか。ちなみにミヤ王からの返答は「両方です」とのこと。
メタルマックス2リローデッド
「我らバイアス・グラップラーに はむかう者には死あるのみ!」
「ここでオレに出会った不運、悔やみながら死ぬがいい! がががーーーっ!」
2011年に発売されたリメイク作『メタルマックス2リローデッド』にも勿論登場。賞金は一気に上がり250,000Gに。1ターンの内に2〜3回行動してくるようになり、火炎攻撃とモヒカン攻撃の激しさが増している。ちなみに名前が「テッド・ブロイラー」と微妙に変更されている(中点が振られている)。
今回は後頭部のノズルが使われなくなり、身体そのものを火炎放射器に改造したバケモノという描写ではなくなった。
ベイ・ブリッジにおいて、主人公に打ち負かされたグラップラーたちが偶然通りかかった船に飛び込んで、乗っていたテッドブロイラーに焼き殺されるエピソードはそのままなのだが、新たに「地獄にテッド様」というパワーワードを残した。
また、本作ではボスキャラクターにもクラスが設定されており、テッド様は何故かナースのクラスを持っている。ここだけ聞くとギャグに聞こえるが、このクラスを持っているため「禁断の注射器(一定確率で即死、テッド様は1〜2ターンごとにこれを突き刺してくる)」や「オーバードリップ(自動回復、原作の回復用の隠し処理の代わりか)」等の厄介な技を使うようになっている。更にはこちらの実弾系の攻撃を目からビームでことごとく迎撃し、
挙句の果てには上述の「まんたーんドリンク!」を最大3回(しかも今回は回復量が目に見えることもあって人によってはオリジナル版以上に心を折られる)使用してくるなど、全てにおいてSFC版を超える化け物としてプレイヤーの前に立ちはだかってくれる。
…のだが、実は本作ではプレイヤーをそれ以上の化け物として育成できる(SFC版とは違って白兵戦でも使えるスキルやアイテムが充実しており、攻撃力を飛躍的に高めたり、複数回攻撃したり、戦闘中でも死亡した仲間を復活させる事が可能。また物語中盤以降、コツさえ掴めば比較的簡単に仲間をレベル99、場合によってはそれ以上に育て上げられる)ので、SFC版ほどの絶望感は味わえないかもしれない。言うまでも無く、特に稼ぎを意識せず普通にプレイしていればその恐ろしさを再び見せ付けられることになる。
熱バリアについては、メルトタウンにてよりにもよってニワトリからヒントを聴けるようになった。
なお、金輪際ホテル殺人事件のエピソードによると、7年前のどこかの町にて行われた人間狩りにも関わったそうであり、人間狩りにおいてはかなり以前から自ら積極的に部隊を率いて動いていた事が示唆されている。
余談
『メタルマックス2リローデッド』ではLOVEマシンの組み合わせによっては敵をキラ化(別名:キラー化、強くなる代わりに取得経験値が増加)させる事が可能。
キラ化には4段階が設定されており、最大の「最高にキラ化」の場合だと【HP:15倍、攻撃力:2.8倍、耐性:全属性4割増】になる。 これは重ねがけすることも可能で、さらにキラ化の度にHPは全快される。
当然テッド様(HP:4万)も例外ではなく、難易度ゴッド(HP補正:10倍)で2回使用させてキラキラー化させた瞬間、HPウン百万という高さと被ダメージ10000を超える攻撃力になり、もはや論外というべき強さのゴッド・ブロイラーが完成する(キラキラー化したターンから数えて256ターン目に100%フリーズする仕様のため、倒す事は不可能)。
・・・と長年思われていたが、「キラ化前にドリンクを使い切らせる」という戦法により
ゴッド最高キラ2回(HP:9000万)の撃破が確認された!!
簡単に説明すると・・・
- 腕力3816のソルジャー3人(オカマか麗人)と「ゲドーピング・タブ」を7個ずつ用意。
- 犬は腕力2547で8個。
- 装備は、武器【グロウィンの目玉×3】、防具は【ぼうだんカツラ、スタントスーツ、サラトガグローブ、戦国のくつ、バオーバーシールド】。
- 犬は【ポチブリザード×3】、【ぼうだんカツラ、蒸着アーマー、セシルの手袋、戦国のくつ、スーパーポチタンク】
- 前もって犬用回復アイテムは全処分しておく。
- サブクラスはソルジャー(スキル回数増強)、ナース(全体回復)のどちらかを。
- 裏技でクルマを持ち込み、迎撃を何とか突破してセメント弾を当てる。戦闘モード:Eにするとやや成功しやすい。
- この際に持ち込むクルマは【Cユニット:電撃的アミーゴ、穴1:カリョスモーク】にすると時間稼ぎに使えて便利。穴2〜5を使ったS-Eラッシュでも良い。
- 適度にHPを削ってドリンク回復を誘発、3回使い切らせる。HP削りは犬に任せて、この間に「ゲドーピング・タブ」を使ってしまうといい。
- 後はLOVEマシン(3233)で2回キラ化させてから真っ向勝負。
- 「禁断の注射器:10回」が残ってる序盤戦は猛攻がやや緩いので、この間に「ぶっぱなす」でダメージを稼ぐ。スラッガーが当たると痛恨で死亡確定なので、そのたび「最強ローヤルゼリー」で蘇生させる。
なお、「スラッガーを的確に回避」・「犬スキルを的確に使用」できるTASであれば、ゴッド最高キラ3回(HPはカンストの1億3400万)の撃破も可能ではないかと推測される(軍艦サウルスのゴッド最高キラ3回(HP:1億3400万)は撃破が確認されているため)。
誰か試してください。
メタルマックス2以外
- 『メタルマックスリターンズ』では、小型化してDr.ミンチの研究所で飼われている。
- 『メタルマックス4 月光のディーヴァ』Limited Editionでは、DLCコードにて他のバイアス・グラップラーの3人とともに再登場する。担当声優は杉田智和氏。
- 『メタルサーガ〜旋律の連鎖〜』にも登場する。こちらでは2とは彼以外の四天王の顔ぶれが異なる。負けた場合は例外的にゲームオーバー。口調も「ブロロロー!」といった語尾があるので、別人との噂も。
- 『砂漠の空と地を駆ける鋼』では設定が異なり、作中では首領として認識されている。目はレンズ状で、炎では無く電撃のようなエネルギー放つ力を持つ。マーシマーシという魔術師のような部下がおり、主人公エリックとは何か因縁があるようであるが・・・