タイタニアなど、恐れるにたらん!
声優:樫井笙人
概要
田中芳樹氏のSF小説『TYTANIA』に登場するキャラクターの1人。物語の中盤頃に登場する。辺境惑星バルガシュの正規軍人(或いは政府軍)で、艦隊司令官を務めている。階級は少将、年齢は60代。
容貌は、白髪に口髭を生やしているため、軍人と言うよりも老教授という印象が強い。穏健的で部下の意見を尊重するが、ふとした切っ掛けで、熱血戦争老人へと変貌してしまう(もっとも、ザーリッシュ・タイタニアが原因と言えば原因だが)。
バルガシュで軍事力を行使するザーリッシュ艦隊を止めるべく出撃するものの、話し合いで決着できずに決別。先制攻撃を受けたことから戦闘を決意する。挙句に、遂にはザーリッシュ艦隊の半数以上を撃滅するなど、完膚なきまでに叩きのめしてしまう。作中で、ファン・ヒューリック以外にタイタニアを叩きのめしたのは、彼のみである(アニメ版ではドールマンも、タイタニアの要塞を陥落させた実績がある)。
以降、ヒューリックと共にタイタニアとの全面戦争『いんちき戦争』に参加するものの、以後の消息は不明である。
人物
一見すると、軍人ではなく老紳士または大学教授を思わせる風貌の人物で、性格的にも温厚的な人物として通っている。ザーリッシュの横暴を止めるべく、極力は話し合いで解決に徹するなど、その人柄が良く表れている。
同時に部下の意見を尊重しており、戦闘を決意した折に副官のイルク少佐が「開戦責任を問われます、ご自重ください」と忠告をすると、「よく言ってくれた」と称賛さえしている(アニメ版では「わかっておる・・・・・・しかし!」と何もできない立場に苛立ちを見せている)。
冷静さを持っており、威嚇射撃を受けても直ぐに反撃せず踏みとどまって、政府の指示を仰ごうとするなど、シビリアン・コントロールの枠から外れないように行動しているのが見受けられた(ただし、アニメ版での描写であるが)。
しかし、機会を見つけるごとに強行的な姿勢が見え隠れし、遂には、ザーリッシュの旗艦『タイフーン』が撃沈したのを境に、一気に強行的な姿勢へと変貌する。そのギャップは凄まじく、慎重論を唱えるイルク少佐を逆に叱咤し、全面攻撃を命じてしまう有様であった。
それ以降は、先に危ない橋を渡った者の強みとして、完全に吹っ切ってしまったようで、強硬派の筆頭になってしまう。
手腕
艦隊指揮官としては上々の手腕の持ち主であり、攻守双方においてバランスのとれた軍人と思われる。防御戦では、部隊を完全に把握してザーリッシュの包囲網を遅らせるなどの粘り強さを見せつけている。また後退しながら戦うと言う、一歩間違えば全面崩壊に直結する可能性もある中で、冷静に指揮しているあたりからも、その有能さが垣間見える。
一方で攻撃する時は苛烈なもので、ひとたび機会を掴んだ時の攻撃力と破壊力は、ザーリッシュに負けず劣らずという所である(ただし、統制に欠いたタイタニア艦隊が相手であったことも起因すると思われる)。アニメ版では、前衛艦隊と本隊でタイタニアを十字砲火で殲滅するなど、戦術手腕の高さが見て取れている。
経歴
バルガシュの砂漠で、主権を犯して軍事行動を行うザーリッシュ艦隊を食い止めるべく、160隻を率いて急遽出撃した(アニメ版では、海賊が通報し、バルガシュ正規軍を道案内している)。当初はザーリッシュの横暴を止めるべく、話し合いに徹していた。しかし、ザーリッシュが「宇宙の法秩序を乱す者を捉える為」と強弁し、トゥルビルの主張を一方的に撥ね退け、決別されてしまう。
ザーリッシュ艦隊から威嚇射撃を受け、事態の切迫に政府と連絡を取るよう指示。しかし、横暴に地上部隊を展開するタイタニアに業を煮やし、開戦の決意をしかけていた。そこに、自軍の駆逐艦がタイタニア艦の砲撃を受けて撃沈された事を切っ掛けに、戦闘を開始する。
220隻以上のタイタニア艦隊が、三方向からの包囲を目論む中、トゥルビルは後退しながら応戦すると言う危険な戦い方を強いられるが、それでも全軍崩壊を防ぐなど、全部隊を完全に掌握していた。
しかし、ここで転機が訪れた。ザーリッシュの旗艦『タイフーン』が、ヒューリック一党の罠にかかって墜落してしまい、指揮系統が乱れたのである。これを好機として、トゥルビルは全面攻撃を仕掛けるべく攻勢に出る。ここで、イルク少佐から、反タイタニア派と結託されては、後日不利になる、と忠告するものの、それを蹴っ飛ばして言い放った。
「この小心者め! この期に及んで、慎重論など何の役にも立たんわ! かかれ、かかれ!」
ザーリッシュを護ろうとして、地上へ降下するタイタニア艦隊に対し上部から攻撃する形となり、バルガシュ正規軍は徹底した集中攻撃で蹴散らしにかかった。次席指揮官が定まっていないことが致命的とも言え、タイタニアには准将が2人居ながらも真面な組織的反撃が出来ず、その無様な姿をさらけ出してしまった。
この時のトゥルビルは、既に熱血戦争老人へ変貌しており、艦橋でひたすら攻撃的な台詞を吐く(小説とTV版では若干異なる)。
「えぇい、2時方向の巡航艦を仕留めんか! 敵の砲塔に集中砲火を浴びせろと言うに、馬鹿の者が! タイタニアの犬共等、恐れるに足らんわ!!」
と、先ほどの老紳士が消え去ってしまっていた。その後も徹底してタイタニア艦隊を叩きのめし、小説版では半数近くを撃滅。アニメ版では前衛と本隊で十字砲火を浴びせかけて、全滅させてしまったものと思われる。
この時、タイタニアにとってA級戦犯となった我が身に、遺書でも書いておくか、と呟いた。
政府議会で審問を受けた時も、臆する事もなく、「今日死ぬよりも、屈辱に塗れた明日の方が遥かにまし」と言い放つなど、完全に開き直ってしまった。ヒューリックと共に全艦隊を率いて姿を晦まし、その後海中でアリアバート・タイタニア艦隊を退けた後は、詳細不明である。