概要
鱗が変化したノコギリ型の吻が特徴で、この吻の下側には生物電気を探知する小さな孔(ロレンチニ瓶)がある。
小魚やイカが主食で、前述の吻を砂に潜っている獲物を掘り起こす他、獲物を殴打して気絶させたり叩き殺したりする。相手が殴打で気絶し海底に落ちたところを捕食するが、即死の場合はその場で食べる模様。
昔はこの吻で鯨などを切り殺して食べると考えられていたが、吻にそのような威力はない。それでも吻は非常に危険なので、むやみに刺激したりしないよう注意が必要。おとなしくても餌を見つけたときなどは攻撃的になることもあり、船で捕獲されて死んだと思いきや急に暴れだして船員を死亡させた例もある。
夜行性で視界の悪い場所に好んで住むため野生の観察が難しく、生態については未だにわかっていないことが多いが、海と淡水域を行き来して淡水でも繁殖が可能とのこと。実際にニカラグア湖ではオオメジロザメと共に淡水域での生活に適応している。
2024年にノコギリエイと呼ばれていた魚類は、実はPristis pristisとAnoxypristis cuspidataの2種が含まれており、後者はもう既に日本国内においては絶滅していたと判明した。
「ノコギリエイ」という名前はAnoxypristis cuspidataに当てられ、Pristis pristisには「オオノコギリエイ」と命名された。
ノコギリザメとの関係
ノコギリザメによく似ているが、
- ノコギリザメの吻の歯は大きさがまちまちだが、本種では全てほぼ同じ大きさである。
- ノコギリザメの吻の歯は抜け落ちても生え替わるが、本種のものは脱落しても生え替わらない。
- ノコギリザメの吻にはセンサーの役割を果たすヒゲのような器官を持つが、ノコギリエイにはそれがない。
- ノコギリザメの鰓は体側面に開いているのに対し、本種では体下面に開く。これこそ本種がエイである証拠。
- 胸鰭に関して、ノコギリザメ目よりノコギリエイの方が相対的に大きい。
- ノコギリザメは最大でも2メートル位にしかならないが、ノコギリエイは大型で最大8mにまで成長する種類がいる。
なお、ノコギリエイはエイの仲間の中では比較的サメに近い種類が進化を遂げている。
関連項目
スピノサウルス:同じ地層から、最大7メートル以上はあったと思われるノコギリエイに似た魚の歯の化石が数多く発見されている。スピノサウルスの生前の主食だったかもしれない。