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ノビチョク剤(ロシア語: Новичо́к, "新人", "初心者", "新米"の意)とは、1971年から1993年にかけてソ連・ロシアがGosNIIOKhT(ゴスニイオフト)国立化学研究所で開発した神経剤の一種であり、化学兵器である。ノビチョクには固体のものと液体のものがあり、固体の場合は微粉末状にして散布することが可能であると考えられている


概要編集

ノビチョクを開発したロシアの科学者たちは、これまでに作られた中で最も強力な神経剤だと主張しており、いくつかの種類はVXガスの5倍から8倍の効力を持ち、他の種類はソマン(サリンなどと同じ神経毒)の10倍の効力を持つとされている。また同様の神経毒はロシアだけでなく、イランでも生産されていることが知られている。


2018年にイギリスのエイムズベリーで元ロシアのスパイであるスクリパルら2人、2020年にはアレクセイ・ナワリヌイといったロシア政府反体制派の暗殺(いずれも未遂)にノビチョクが使われたことで世界的に有名になった。


また前述のイギリスでの使用を受け、2019年11月、化学兵器禁止条約(CWC)の執行機関である化学兵器禁止機構(OPCW)は、ノビチョクをCWCの「規制物質リスト」に追加した。これは「1990年代に合意されて以来、初めての大きな変更の1つ」とされている。


因みにノビチョクを使った反体制派の毒殺は、英語版ウィキペディアによれば少なくとも20世紀の1995年から起こっているとされている。



特徴編集

ノビチョクはNATOや西側諸国に対抗するため、NATOの標準的な化学検知装置では検知できないこと、NATOの化学防護服で防げないこと、化学兵器禁止条約の規制対象とならないこと、そして何より、従来の化学兵器より安全に取り扱えることを目的に設計されている。


ノビチョクはいわゆる「バイナリー兵器」と呼ばれ、神経剤となる前段階の2種類の物質を隔離して持ち運び、使う直前に混ぜて利用される。一般的に前駆体は神経剤そのものよりも危険性が著しく低いため、この手法を用いることで薬品の取り扱いや輸送が非常に簡単になる。また、前駆体は神経剤に比べて安定化しやすいため、保存期間を延ばすことも可能になる。

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