解説
『ファーゴ』や『レディ・キラーズ』等でお馴染みコーエン兄弟による、コーマック・マッカーシーの小説『血と暴力の国』の実写映画化作品。
主演はトミー・リー・ジョーンズ、ハビエル・バルデム、ジョシュ・ブローリン。
アメリカとメキシコの国境地帯を舞台に、偶然出くわした麻薬取引の現場から大金を持ち逃げしたハンターと、金の奪還を請け負った冷酷な殺し屋、そして老年の保安官の三人による凄惨な追跡劇が描かれる。
第60回カンヌ国際映画祭、第32回トロント国際映画祭などで先行上映された後、2007年11月9日にアメリカの一部の映画館で限定公開された。同年11月21日に全米公開され、大ヒットを記録。
2007年度の第80回アカデミー賞で8部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の計4冠を受賞し、その他の映画賞でも多数受賞した。
日本でも2008年度のキネマ旬報外国語映画ベスト・テン第1位を獲得した。
特に殺し屋アントン・シガーを演じたハビエル・バルデムの狂気じみた冷酷非情な演技ぶりは批評家達からも絶賛され、その圧倒的な暴力描写も話題となった。
あらすじ
舞台は1980年のアメリカ合衆国テキサス州西部。凶悪化する犯罪を憂える保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)の語りを背景に、脱走した殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)が殺人・強盗を繰り返すシーンから物語は始まる。
ハンティングに出掛けていたベトナム帰還兵ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)は偶然にも麻薬取引現場に遭遇する。死体の転がる中を歩くモスは、麻薬を積んだトラックの運転席で息も絶え絶えになっているメキシコ人を発見する。いろいろと質問するモスだが、相手の言う言葉は「アグア」(スペイン語で「水」)のみ。その後、モスは事件現場から少し歩いたところにあった男の死体から札束の詰まったブリーフケースを発見し、自宅に持ち帰る。
その夜、運転席で苦しんでいた男のことが気にかかったモスは水を持って現場に戻るが、不運にも戻って来たギャングたちに発見されてしまう。命からがら脱出したものの現場に置き去りにした車から身元が割れ、モスは金の発見を請け負ったシガーに追われる身となるのだった。