パガン・ミン
ぱがんみん
「何も心配しなくていい。こんなことは忘れる。壮大な旅の始まりだ!予定なら、君のために十分に空けた!」
「これから...二人で...暴れまくるぞぉッ!!」
キラットの王であり、本作においてラスボスの立ち位置。
非常に残忍であり利己的で、パガンの思惑通りにならないと
無抵抗の一般人から味方の部下ですら平気で殺したり利用したりする理不尽な男である。
しかし王立軍を統治するカリスマ性や、慎重に言葉を選んで発言する態度など、
頭脳や気品も持ち合わせている。
ピンクのジャケットに特徴的なツーブロックがトレードマークのちょっと老けたおじさん。
前作で好評だった「悪役をパッケージに堂々と配置する」
を引き継いだインパクトのあるパッケージで購入した人も多いだろう。
独裁者でありながらも主人公エイジェイ・ゲールに対しては非常に友好的である。
上記概要通り、残忍で利己的であるが、とてもユーモアに富んでいる。
「なんでキラットじゅうの蝋燭は常に火がつけられているんだ」や「エイジェイにはなんでそんなポケットが沢山ついているんだ!肉を入れるためか?!」とかなりメタな発言から、「クラブラングーンが不味かったから拉致したシェフの家族を殺した」など洒落にならない発言まで様々であるが、基本的に無線をちゃんと聞いているかわからないエイジェイに対して無線でとても嬉しそうに話すお茶目さんである。
また無線で自らハッキリと「私の見た目からソッチ系だと思われるだろうが、私はある女性一筋なんだ」と同性愛者であることを否認している。一応気にしているらしい。
慎重に言葉を選ぶと言いつつ、英語版だと若干言葉使いが汚い(良く言葉の端端に「fuck」を多用している)。
冒頭のシーンあたりから、パガンは常に英語を話していると思われる。
英語版ではエイジェイをネパール読みの「アジェイ・ガーレ」と呼んでいる。
美容には一際気を付けているようで、朝昼晩、毎日決まったものを食べる。サルの脳味噌やトラの陰茎など珍味や薬味を食べている。とても健康志向のようだ。
その身なりの気遣いぶりも異常で、専属のファッションデザイナーを雇っていたり(しかしダサ過ぎてクビにした)、靴が汚れると怒り、吹き出物が出来た際は潰すプロを雇いたがるほど。
立場上影武者がいるようで、現在二人目の模様。メルボルン出身のエリックという人がパガンの影武者をしており、肖像作りなど表舞台は彼が中心になってやっているらしい。
キラット国民からは尽く嫌われているようで、血の降るアリーナが存在する場所『シャナス』の地でさえ「パガンがアリーナに来たらろくな事がない」と言われている始末。
逆に、王立軍からは崇拝されており、兵士は「ミン様のために!」と言って突撃したり、「パ~ガン・ミン!!パ~ガン・ミン!!!」と本人がいないのにエールを送ったりしている。気になる人は苦しみの町に入るまで進めてみよう。
出身は香港で、中国人とイギリス人の間に生まれたハーフ。父は中規模の麻薬カルテルのボスだった。
若い頃から派手好きで、かつ当時は並外れた野心家でもあったため、保守的な父とは全く性格が合わなかった。父の指示の下に様々な悪事に手を染めていたが、父の事は「時代遅れの遺物」として毛嫌いしていた。
父の“不運な”死後、彼はかつての自分の名を捨て、新たに自分の名をつける。「パガン」――自らが王となるために家族を殺した中世ビルマの王と同じ名に。
パガンは父の遺産の一部を相続し、それを元手に様々な違法ビジネスを展開し成功を収める。巨万の富と小規模な私設軍を手にしたパガンは、ビジネスから得られる利益を独占しようと考え、協力関係にあったほかのカルテルやマフィアを攻撃し始める。しかし、パガンとそのカルテルを以前から危険視していた他の組織は、パガンの攻撃をきっかけに結託。結果、攻撃は失敗に終わってしまい、パガンは多くの組織から命を狙われることになる。また、パガンの腹心の多く(主にパガンの父の時代から組織に属している者)もパガンを殺して事態の収拾を図ろうと考え始める。
パガンは再起を図るために一度香港から離れ、ほとぼりを冷ましつつ新たに資金を蓄えられる場所を探した。そして、好都合な場所を見つける。内戦と混乱の続くヒマラヤの小国、キラットである。
内戦への介入~キラットの王になるまで
1987年の4月中旬~5月中旬、暗殺されたキラット国の王の遠い親戚を見つけたパガンは、その者の保護を口実にキラットの王党派と同盟を結ぶ。
この頃、キラットでは革命を目的とした国家主義者と王党派との内戦が激化していた。王党派は兵と物資の不足により敗北の道を辿っていたが、パガンが兵と武器と資金を提供してからは徐々に形勢を逆転しはじめる。
この際にエイジェイの父モハン・ゲールと母イシュワリ・ゲールが彼に会った。
21歳にして既に今のような上品さと自信に満ち溢れた態度が既に出来上がっていたらしく、モハンは当時パガンが協力してきた事を「あまりにも(話が)出来過ぎている」と評したのだが、彼の真の狙いについては気付けなかった。
同年7月、パガンは王党派が国家主義者から王宮を奪還したその日に幼い皇太子を殺し、自らがキラットの王と名乗るようになった。
パガンと共にやってきたユマ・ラウの活躍と自らのカリスマ性、迅速な広報活動により一気に支持を集める。当時のキラットの民の熱狂ぶりは凄まじく、王立軍には志願する人が殺到するほどであった。
命からがら生き延びたモハン・ゲールは、彼に対抗すべく後のパガンに対する反乱勢力『ゴールデン・パス』を結成した。
キラットの王に~娘の死
1988年、戦局がパガンに有利に立つと、王立軍は強奪を行うようになってくる。
戦局が悪化すると、「女を戦には加えられない」と主張するモハンと「手段を選んでいる場合ではない。私も戦う」と主張するイシュワリは絶えず喧嘩し、非常に仲の悪い状態となっていた。
結局、イシュワリの気勢に折れたモハンは、「パガンを信用させ情報をゴールデン・パスに流し、あわよくば首をとってきてほしい」とイシュワリをまだ乳飲み子だったエイジェイとともにパガンの元へ送る。
パガンは昔からイシュワリの事がとても気になっていたらしく、イシュワリとはいい関係になっていた。
この頃のイシュワリは、モハンにのけ者にされてしまったことから、女性として接してくれるパガンに対して惹かれていった
ちなみにこの時はパガン本人は本気ではなかったらしくエイジェイに対して
「女にはできるんだ。愛していると言うとき本気で言える。だが男は振り返って初めて人を愛する」
と言っておりイシュワリが去ってから彼女への愛に気づいたらしい
イシュワリはパガンにプレゼントとして黄金色に輝いたピンクインクのサインペンをあげている。
1990年、パガンとイシュワリの間に女の子、ラクシュマナ・ミンが産まれる。
ユマ曰く、この頃もうパガンは「自身に満ち溢れた昔のような人」では無く人の愛情を知ってしまい、中途半端に「壊れてしまった人」だった。
同年6月、浮気され挙句の果てに子供を産んだイシュワリに激怒したモハンは代償としてラクシュマナを殺害してしまう。
パガンもイシュワリもショックを受け、イシュワリは最終的にモハンを殺害して、パガンの反対を押し切り海外へ逃亡することになる。
以後
彼はアメリカでポール・”デプルール”・ハーモンと出会い、部下に引き入れたり、
医師として活躍していたヌーア・ナジャーの声明文に怒りを感じ陥れるなどをして部下を増やし、大半の権力をユマに譲り自らは隠居して、世捨て人のようになった。
鎖国制度を取っているにもかかわらず大金を得ているのは、恐怖政治と共にアヘンや麻薬などを大量に輸出していることがあげられる。
エイジェイと出会う~最後まで
ラクシュマナの死から20年以上経過したときの事、イシュワリの遺灰を持った息子エイジェイがバスに乗っているとの通達を受けて王立軍にバスを止めるように命令する。
しかし、折悪くゴールデンパスのメンバーも同乗しており、止められた事を自身らに勘付かれたと勘違いし戦闘状態に突入、いきなり銃撃戦が始まって訳が分からないエイジェイを王立軍は危うく殺しかけたのでパガンは激怒し、イシュワリからもらったサインペンで幹部の首をめった刺しにする。これが成人になったエイジェイとの初めてのコンタクトであった。
パガンはエイジェイを一目見て気づき、テンションが上がったパガンはエイジェイに対してハグとスマホでツーショットをキメている。
以後エイジェイはゴールデン・パスとして活躍しているが、パガンはそれを若干恨みつつも、ラジオなど公の場では具体的にエイジェイの名前を出さずに『テロリスト・ゴールデン・パス』の脅威と濁している。
エイジェイに対しては無線を乗っ取りエイジェイの意にかかわらず気軽に無線で話しかけるなどをしてコンタクトを取っている。
エイジェイがドゥルゲシュに捕まってしまった際にも、パガンは「必ず殺すな、五体満足で」と言い、エイジェイを殺す機会は何度もあったにもかかわらず殺さなかったあたり、エイジェイに期待をいだいていた。
最終決戦時には自ら他の兵士たちを退け、エイジェイと一対一になることを望んだ。エイジェイはここで最終的にパガンを射殺するかどうかを求められる。
射殺しないことを選ぶと、遺灰を置いていく際にパガンはエイジェイに対して事のいきさつを一通りエイジェイに話す。
またエイジェイに対し、キラットの王を譲ると告げる。
その後にパガンはエイジェイが遺灰を置いている隙に「キラットはあげるがこのヘリは貰う」と言いヘリコプターで海外逃亡したのであった。
この際ヘリを撃墜することも可能である。
その後彼の死体を調べると真実イシュワリを愛していた証であるとある物品を見つける事ができる。
つまり、徹頭徹尾彼はエイジェイを殺そうとはしていなかったのである(最終決戦はパガンの応戦である)
発売前から圧倒的に主人公より優遇されている彼。
公式では世界中でパガン様(ただしコスプレ)が街を歩いてはツーショットを求めたり、水を配ったり、悠悠自適な態度でUBIDAYを歩き回ったりしてなんだかんだでインパクトを大きく残した。
また公式で『ファークライ4パガンLOVEコンテスト』なるちょっとしたホワイトデーイラスト企画が開催されたりした。参加賞はこれまた『パガンのウィッグ』。
フィギュアも発売されており、現在三種類存在する。
なおエイジェイと出会った直後、パガンは彼を王宮に招いて食事に誘う。
そして途中でバスでエイジェイと同乗していた男が密かに救援信号を送っていた事、それに対する拷問や、救援信号を受け取ったゴールデン・パスの襲撃を受けたことで「少し待っていてくれ」と言って席を外し、本来はこの隙にエイジェイが王宮を脱出することで本編がスタートするのだが、ここで素直に待つこともできる。
すると15分ほどして戻ってきたパガンはエイジェイを本編クライマックスで辿り着けるはずのラクシュマナの墓所へと招き、イシュワリへの愛と馴れ初めやモハンがエイジェイの種違いの妹を殺害した事を語った後、エイジェイにラクシュマナの隣へイシュワリの遺灰を安置するように依頼する。
その時のパガンの笑顔は、暴君等ではなく娘の元に母が辿り着き、愛した人の息子と手を取り合える事に安堵する晴れやかな顔をした一人の父親であった。
(因みに「俺がやるのか?」「当たり前だろ、君の母さんは自分では歩けないんだから」というジョークも飛ばす)
そして母の遺灰を置いて墓所から出てきたエイジェイの肩を叩き、「これで一緒にテロリストをぶっ殺しに行けるな!」と彼と共にヘリへ乗り込んでエンディングが始まる。
これは一種の隠しエンドではあるが、パガンが出会った時からイシュワリとエイジェイを心より愛し続けており、そして最初からエイジェイを後継者に選ぶ気であったことがわかる、心憎いエンディングである。
また、話の本筋であるゴールデン・パスへの協力ルートの際パガンの後釜に座るのが「なんの罪もない少女を生贄に捧げる人でなしのバカ」か「民を銃で脅し、麻薬を作らせ輸出するつもり満々の劣化パガン」のどちらかになるため、ならば曲がりなりにも国を繁栄させているパガンのままでよい気がしてくる。
「プレイヤーが介入しない」ことで結果的に犠牲が(一応テロリストであるゴールデン・パスの壊滅だけで収まるので)減るというなんとも言い難い感覚も味わうこととなるが