1996年から日産ディーゼル・フィリピン(NDPC)が発売していた大型観光バス。ベルギーのヨンケーレ社から技術供与を受けて誕生し、同社のハイデッカー観光バス「ドゥービル」をベースに開発された。フィリピンでの車名はユーロトランス。車体の素材にアルミやFRPを取り入れ、国産車では実現できなかったコストパフォーマンスの高さを追求している。ただし、ユーロツアーは最終工程の一つ前の状態で日本へ輸入され、輸入後富士重工業伊勢崎製作所で最終工程を行っていた。
型式はJA530RAN(350PS仕様)及びJA520RAN(310PS仕様)。排ガス規制ではKC-に相当するが、逆輸入車のため排ガス規制記号が付かない。
それまでの大口利用者であった修学旅行での貸切バスの使用が減り、バス事業者にとっては低コストの大型観光バスが求められていた時代に登場したユーロツアーは当初注目され、各メーカーの大型観光バスのラインナップに廉価版が加えられるきっかけを作った。大口ユーザーは東京空港交通などで、特に東京空港交通では1度に100台以上を発注したことから年間目標販売台数の40台をあっさりとクリアした。
しかし海外生産という点がメンテナンス面や車両信頼性で不利であり、エアサスとはいえ車軸懸架サスペンションのため、独立懸架を採用する国産観光バスに比べて操縦安定性が劣る点がネックとなり、あまり普及しないまま生産中止となってしまった。なおフィリピン国内向けにはターボチャージャー付きPE6系・PF6系エンジンやリーフ式サスペンションも設定されていた。