概要
全頭類ギンザメ目テングギンザメ科の海水魚。学名はHarriotta raleighana。日向灘の他、南太平洋と北大西洋の1114~2611mの深海に生息している。
アズマギンザメ(H. chaetirhamphus)とともにアズマギンザメ属を構成する。テングギンザメ科らしく、著しく伸長した吻を持っており、感覚器官が詰まっている。海中で確認された例はないが、おそらく砂の中に潜む獲物を探るのに用いると思われる。
アズマギンザメより小型で最大70cmほど。眼が比較的小さい、背鰭が小さく、背鰭棘が第2背鰭起部に達しない、尾鰭上葉が下葉より長いなどの特徴により明瞭に区別される。
本種の学名には長らくH. haeckeiiが用いられ、H. raleighanaの名はアズマギンザメとされる種に用いらていた。東海大学の研究グループは、本種の学名をH. raleighana、アズマギンザメの学名をH. chaetirhampha(WoRMSやFishbaseによるとスペルはのちにchaetirhamphusに変更されたようである)に変更すべきとし、日向灘より得られた個体をもとに新標準和名としてヨミノツカイを提唱した。また、オスの交接器の形状の差や、高速遊泳時の尾部の傾きの差も初めて明らかにした。
画像検索などの際は、従来の学名であるHarriotta haeckeiiを使用すると本種の画像が得られやすいであろう。
文献
Nakayama, N., Matsunuma, M., & Endo, H. (2020). A preliminary review and in situ observations of the spookfish genus Harriotta (Holocephali: Rhinochimaeridae). Ichthyological research, 67, 82-91.
関連タグ
リュウグウノツカイ・・・同じく「ツカイ」とつけられた深海魚。
ヨミノアシロ・・・同じく黄泉の名を冠する深海魚。