名阪特急がこの短絡線を通過している。伊勢中川駅の構内であり、独立した信号場というわけではない。短絡線を通過する列車は伊勢中川駅のホームを通らないが、運賃計算上は「伊勢中川駅で折り返した」と見做して計算する。
短絡線設置の経緯
この短絡線は名阪特急の伊勢中川駅スイッチバック停車をなくし、ノンストップを実現するために設置された。初期の計画では名古屋線久居駅付近から大阪線川合高岡駅付近にかけて全長4.7kmの短絡線を設置する案もあったが用地買収の困難さ、雲出川架橋などの出費を考慮して、伊勢中川駅付近の最短距離を結ぶことに決定した。
1961年3月29日に供用を開始。供用開始から2年程度は名阪ノンストップの甲特急のみが利用し、乙特急は従来通り伊勢中川駅でスイッチバックしていたが、1963年3月21日より乙特急も短絡線経由になった。このため、同日を以って近鉄の特急車の編成の向きはそれまでの「大阪線基準」から「名古屋線基準」に改められた。
名阪特急の通過の他、編成の向きがバラバラになった団体専用車両(あおぞら2、楽など)の向きを直す際や奈良線系統用の通勤車を大阪線・名古屋線系統へ転属する際の方向転換にも用いられる。
近鉄特急の「向き」
先述の通り、近鉄の特急用車両の向きはこの短絡線を通過する名阪特急が基準となっている。そのため、名阪間を直通する特急用車両は必ず中川短絡線を経由し、伊勢中川駅ではスイッチバックしない。
そして伊勢中川-賢島間では名古屋発着の特急と大阪発着の特急で車両の向きが異なり、原則として名古屋から伊勢方面へ来た特急が折り返し大阪・京都方面の特急になることはなく、大阪・京都方面から伊勢方面へ来た特急が折り返し名古屋方面行の特急になることもない。ただし名阪特急の運用に入らない伊勢志摩ライナーとしまかぜは伊勢中川-賢島間が編成の向きの基準になる。
大阪線から名古屋線へ直通する一般列車は必ず伊勢中川駅でスイッチバックする。これは通勤車の向きが伊勢志摩ライナー・しまかぜと同様伊勢中川-賢島間を基準とするためである。