乙羽
おとは
『鴉 -KARAS-』の主人公であり、本来東京を管理しているはずの、鳳春院廻向が役目から大きく逸脱し始めた為、新たに鴉として選ばれた。普段は幻想的な異空間に妖怪たちを専門とした医院を開いており、寡黙で優しい性格もあって鴉の先生と呼ばれ妖怪たちに親しまれている。
本人は記憶を失っている為に後半まで思い出さないが、鴉になる前は極道の首領の息子であり、苗字は不明であるが鷹介という名前であった。それ故に前任者の廻向と異なり、人間性の清濁を併せ呑む事が出来る為、たとえ自分と敵対する人間でも守ると明言している心の広い持ち主である。
また、他のゆりねは鴉と常に距離があるのに対し、乙羽のゆりねは彼に対して特別な感情を露わにしたり、ラストのシーンでぴったりと寄り添っていたりと、好意を寄せているかの様な姿も見受けられる。心も外見もイケメンだもの仕方ないね。
極道であった時代から刀の使い方に慣れており喧嘩に滅法強かった。加えて先天的な無痛症であったため、持ち前の根性と合わせて怪我を気にせず敵陣に突き進んで来るという、鴉になる前から既に常人離れしていた。
鴉に変身すると人間はもちろん機械ですら動きを捕捉する事は困難なまでに速くなり、手にした刀でありとあらゆるものを切断する。また、飛行形態、四輪移動形態、時間停止能力を持つ他、街中の烏の目を通して偵察を行う等、戦闘以外でも多彩な能力を発揮している。
実は、鴉の戦闘能力の高さは手にしている刀の戦闘データから得られるものであり、必ずしも本人の能力だけに依存している限りではない。簡単に言えば、戦い方を知らないものが鴉に選ばれても戦闘はすぐに可能である。しかし、数百年以上鴉を続けてきた廻向や、戦闘において類稀な才能を持つ乙羽がその力を駆使すれば、同じ鴉や御座といえども歴然とした差は出るだろう。
また、本人が遠く離れていても鎧に魂が込められていれば戦闘は変わらず可能である。廻向も老化した肉体が「インビジブルタワー」という高層ビルに安置されており、普段は鎧を通して活動している。乙羽もまた、最終章で傷ついた肉体をゆりねに預け、鴉の鎧に自分の魂を移して決戦に挑んだ。
ちなみに鴉に選ばれるのには、その街に対して相当縁が深い人物、もしくは最高権力者といった特別なごく一部の人間に限られる。故に1話で廻向に倒された先代の鴉や、鴉の共同体より調査として送られてきた炎も、決して実力がなかったのでは言うまでも無い。乙羽と廻向の二人が鴉の中でも突出して強すぎただけである。