概要
称号：墨舟（ぼくしゅう）、角君（かくくん）
「霹靂布袋戲」の登場人物。
「霹靂驚濤」の主要人物の一人。
閻羅鬼獄の武将。女帝・魙天下が作った秘密兵器。
過去の記憶を失い、命令に従うまま、殺戮を行う冷血さを持つ。
その容貌はどことなく人覺に似ているが……。
プロフィール
人物
人覺と同じ容貌を持つ、閻羅鬼獄の黒髪の武将。女帝・魙天下（さんてんか）の改造により、過去の記憶を失い、殺人兵器として育てた。記憶を失うが、感情は残ったままで、黒い傘の下にいると言葉に言えない温もりを感じる。
料理に長じるほか、無自覚に従者の尋夢兒に「角君」と呼ばせるなど、過去の記憶による影響が散見される。その正体は、人覺の鬼体・習煙兒（しゅうえんじ）である。人覺は死ぬ直前、習煙兒の魂魄を送り出し、青隨佛子の引導により閻羅鬼獄に入る。習煙兒を平凡に暮らせるつもりだが、女帝の改造により、「冽紅角」の姿に成り果てた。
経歴
夢裡桃源
女帝は冽紅角の記憶を極力隠ぺいしているが、心の中に残る謎の疑念が、冽紅角を悩ませた。夢裡桃源（むりとうげん）の殲滅任務にて、人覺に似た容姿から、仇討をしに来た甘無恨と交戦。その後、心の疑念を晴らすために、老人の何問津から勧めた交梨樹の実を食べる。人覺と一緒にいた記憶が浮かぶが、記憶回復には至らなかった。それから、冽紅角は人覺という存在に好奇心が湧いた。
女帝の行動で、夢裡桃源の地が消滅され、何問津らも殺されてしまう。自分の過去と関わる地が、女帝の手によりつぶされてしまった。だが何問津が冽紅角にくれた大聖果により、記憶をすべて取り戻す。
出奔
過去の記憶を取り戻した冽紅角は、従者の尋夢兒を連れて閻羅鬼獄から出奔。その後、甘無恨と再戦するが、戦いの中で尋夢兒が重傷を負う。尋夢兒を救うべく、二人は一時休戦して、奇人の瘖重耳に治療を依頼する。ほどなくして尋夢兒の傷が治り、冽紅角と甘無恨の誤解も解かれた。
甘無恨と理念や考え方は違うが、亡くなった大切な人を思う気持ちは共感している。甘無恨は親友の楚天行を失ったことを惜しみ、冽紅角もまた主人だった人覺を失ったことを惜しむ。友人になった二人が瘖重耳に相談したところ、「歲月無憾（さいげつむかん）」という術を使おうとすすめられる。
歲月無憾
「歲月無憾」は、大切な人の過去に戻り、無念を晴らせる術である。ランダムな時間に「赤玉（せきぎょく）」が現れ、過去を介入することができる。ただし、自分の正体を明かした場合、術の反動により肉体が完全に消えてしまう。
一度目の歲月無憾の術により、人覺の過去に飛ばされた冽紅角。そこで、人覺の悲しき過去を目の当たりにする。危害に遭う人覺を助けたいが、介入できる「赤玉」が現れずに、人覺は史実通り九天玄尊に拾われる。
※人覺の過去については、人覺の項目を参照。
二度目の歲月無憾にて、人覺が悪の道へ進む決意をする直前に飛ばされる。「赤玉」で慎重に介入する冽紅角だが、疑い深い人覺に攻撃され、冷静に話し合うことができずに終わった。そして三度目の歲月無憾を迎えて、冽紅角は最初から考えたことを決行する。
三度目の歲月無憾にて、人覺が分身の越驕子と共に、天跡を殺す直前に飛ばされた冽紅角。人覺と越驕子の交戦を経て、習煙兒の介入により、ようやく人覺と話し合うことができた。自分の信念を曲げず、孤独な梟雄の道を歩む人覺に対し、冽紅角はついに正体を明かす。
術の反動が発動され、冽紅角の肉体が消えていく。歲月無憾は、女帝が瘖重耳と共謀して、冽紅角を完全な殺戮兵器に改造させる手段であった。消失を阻止すべく、女帝が突如介入し、冽紅角が残った魂を連れて逃走する。
最後の復讐
甘無恨と尋夢兒は、冽紅角が歲月無憾の発動前に残した遺書を発見する。冽紅角は最初から人覺と行動を共にし、玉砕するつもりでいた。だが今になって、冽紅角は魂がなくなり、完全な殺戮兵器に成り果てた。その後、冽紅角は感情を動じないまま、尋夢兒と甘無恨を斬り殺した。
閻羅鬼獄内部で反乱が続き、忠誠心を示すため、女帝は将兵たちに歃心蠱（そうしんこ）の服用を命令した。歃心蠱は服用すると、女帝に反乱の意思を動じたら、即死する効果を持つ。服用しようとしたその瞬間、冽紅角が女帝の娘・死寂女神を殺し、女帝に重傷を負わせる。
今の冽紅角は、魂のない殺戮兵器ではなく、人覺の魂魄が肉体を支配していた。女帝への恨みから、改造後に反逆を企み続けていた。人覺は習煙兒を平凡に暮らせたいが、女帝の改造により人生が壊された。それに加え、かつて女帝が両親を殺したことが、人覺が復讐する最大の動機となる。冷血に徹して甘無恨と尋夢兒を犠牲にするのも、計画の一環に過ぎなかった。
女帝との決戦にて、敗北してしまう。最後は満身創痍になった体で、魔獣・厭火天獠（えんかてんりょう）と、白骨となった父親と共に養魔池（ようまち）を破壊する。破壊に伴って絶命した。
養魔池は、女帝の傷を癒せる効果がある。冽紅角の犠牲により、女帝の退路はすべて断たれ、のちに女帝が佛劍分說との戦いに戦死するきっかけを作った。女帝を殺すまでには至らなかったが、冽紅角、そして人覺は最後の復讐を果たせた。
関連タグ
関連リンク
- 公式人物資料（冽紅角）※中国語
