概要
付け髭とは仮装の一種で、髭を模した飾りのこと。
ほとんどは接着剤で髭を固定して着用する。
歴史をさかのぼると古代から付け髭は使われていたらしく、古代エジプトではほとんどの男性、特に上位の存在は衛生面に配慮して体毛がなかったのに対し、ファラオは性別に関わらず金属製の髭飾りをつけていた。
古代ギリシャではアリストパネスの戯曲「女の議会」で、アテネの女性が男性に変装した際に付け髭をつけたとあらすじに書かれている。
何千年もの間変装に使われており、特に女性は付け髭で男性に変装し、女性として認められていない自由を獲得することが多かった。
近世初期からは演劇で付け髭をするようになり、特に若手の男優が紳士に見えるように付け髭をすることが多かった。
その反面、19世紀では付け髭は欺瞞や犯罪と関連づけられていた。リンカーン暗殺計画の共謀者の一人であるルイス・パウエルは、ウィリアム・H・スワード暗殺未遂の際に付け髭を生やしていたが、 重要証人のルイス・J・ワイクマンは、「正直者にはつけ髭をつける理由がないと思う」と語った。
にも拘らずヴィクトリア朝時代には髭が流行していたため、美観上の理由から髭を生やしていたという。
20世紀中盤頃から付け髭が商業的に販売された。ニューヨーク・ヘラルド・トリビューンは1963年に、顧客は主に「楽しみのため、または男らしさを演出するために付け髭を生やす少年」と「夫に付け髭をプレゼントする婦人」だったと記載している。
21世紀からはユーモラスでレトロな観点から付け髭の人気が高まっている。