概要
明陀宗の子供らからは「おっさま(和尚さま)」と呼ばれている。
明陀宗17代目当主であり、大僧正。
明陀宗の組織は正十字騎士團に属しているが、彼自身は所属しておらず、祓魔師の称号も持っていない。もし持っていたら詠唱騎士(アリア)、そして手騎士(テイマー)だと思われる。
昔は凄かったが、今じゃ変態の駄目親父。重要な総会にも参加せず、僧侶でありながら昼から酒を飲み、舞妓に頬を緩ませ、いつも何処かへふらふらと行方を眩ませている。
そんな当主らしかぬ行動と放蕩ぶりに不信感を抱く者も多く、陰で「生臭坊主」と呼ばれ、今の明陀宗は揉め事だらけになっている。
仕舞いに、息子の竜士からも反感を買われている始末。息子がサタンを倒すと意気込んだ時には一笑に付し、祓魔塾へ入ると告げられた際には断固と反対した。
それらの行動の理由を問われても、「秘密」と返すのみだったが……。
獅郎とは過去に面識があり、その際に「救いようのないお人好し」と言われている。
第7巻では大活躍し、息子である竜二や明陀宗の信徒たちに己の行動の意味を「秘密」としていた理由が明かされる。
拭えぬ不信感により、裏切り者である藤堂に騙され不浄王の「右目」を盗み出した蝮。辿り着いた明陀宗本山の降魔堂の地下で彼女が目にしたものは、干乾びた不浄王の身体であった。
戸惑う蝮に藤堂は微笑みながら語る。
「明陀宗の祖である不角は迦楼羅の力を借りても不浄王を滅しきれなかった」こと。
「不浄王の右目と左目の正体は、不角によって分かたれた不浄王の心臓である」こと。
そして「自分の目的は不浄王を復活されること」であると。
利用した教え子を始末しようとする藤堂と蝮の間に一つの炎が割って入る。
それは明陀宗17代目座主「勝呂達磨」であった。
獅郎との出会い
本編開始から15年、達磨と獅郎は最悪な出会い方を果たす。
当時、明陀宗では達磨の妻である虎子を含め多くの人々が瘴気に侵され、床に臥していた。
状況の改善を信じ、祈りを捧げていた達磨たち明陀宗の信徒の前に、巨大な鳥類型の悪魔と共にボロボロになっていた藤本獅郎が落下してきたのである。
ボロボロになっていた獅郎を達磨は寺へ運び傷の手当てをし、ここまで来た目的を問いただす達磨。
獅郎の目的は明陀の本尊である降魔剣(こうまけん)・倶利加羅(クリカラ)を奪いに来たことであった。
本尊を奪おうとする獅郎に抵抗しようとした時、獅郎が走り出し本殿で祈りを捧げる僧と床に臥している人々を目にした。それを見た獅郎が患者たちの治療とその方法を明陀宗に教えたことで瘴気に侵されていた人々は体調を立て直す事ができたのだった。
しかし余所者がやってきたことに当時の座主である達磨の父が反発し、獅郎は追われることになる。
達磨はその逃走を手助けし、獅郎に倶利加羅を託してその背中を見送ったのだった。
秘密の真実
獅郎を見送ったすぐ後に青い夜が起き、父が亡くなったことで達磨は明陀宗に伝わる秘密を知ることになる。
それは上記にあるように不浄王は滅しきられなかったこと、そして代々座主は不浄王を封じ続けるために迦楼羅と契約を交わしていたことだった。そしてその契約の代償は「秘密」、正確に言えば秘密を守るための「嘘」であった。
それを知った達磨はこの負の遺産を次の世代に残さないために動き出した。
一人の父が秘めた秘密は、ひとえに愛しい子供への愛ゆえだったのである。