概要
十二単とは、平安時代の10世紀から始まる女性貴族用の正装である。平安装束のひとつ。
同じ形の服を何枚も重ねて着用し、そこに唐衣や裳などが加わる。
なお"十二単"という呼び名が広く知られているが、皇室で用いられる正式名称は"五衣唐衣裳(いつつぎぬからぎぬも)"である。
構成
現代における構成は次の通り(着用順)
- 小袖
- 長袴
- 単衣
- 五衣(袿5領)
- 打衣
- 表着
- 唐衣
- 裳
奇しくも全部で12着だが、"十二単"という呼称はもともと袿姿を表すために用いられた表現であり、枚数の一致は偶然である。
現代の衣紋道では袿を5領と定めこれを五衣(いつつぎぬ)と呼ぶが、古くは増減可能であり、時と場合に応じて枚数を変えたりしていた。多いものでは20領の袿を重ねたことがあるという史料も存在する(『栄花物語』)。
重さ
全体の重さは標準的なもので20kg程ある。袿の襲(かさね、袖口や襟元に見える部分)にこだわる余り枚数を増やし過ぎ、その重さで動けなくなった記録も現存している(前掲『栄花物語』)。
但し、重さ20kgというのはあくまで現代で再現した場合の重さ。
絹の原料である蚕の糸は、平安時代においては現代の品種改良された蚕に比べて糸の太さが40%程しかなく(当時の品種ほぼそのままの姿と言われる小石丸の糸の太さで換算)、その糸で忠実に再現した場合、少なくとも平均的な重さは8kg程になるという。
もっとも、上記のように重ね着に重ね着を重ねれば、流石に重さは相当なものになりそうではあるが。
関連タグ
束帯:平安時代の男性の正装。