概要
日本の在日外国人のうち、ベトナム国籍を持つ人間のことである。2014年安倍晋三政権の政策により、東南アジア諸国のビザ発給が緩和されたこともあって、東南アジア諸国からの来日人数は増加傾向にあり、特にベトナム人の増加は著しく、2022年時点で約49万人。日本で2番目に多い外国人グループである。
主に留学によるものが多く、社会主義国の殻を破ろうとしているベトナムの変革のため、日本で資本経済のノウハウや技術などを学びに、かつての東遊(ドンズー)運動を思わせるほどベトナム人が来日しているようであり、近年では一部小学校で試験的に英語などと同列の第一外国語として日本語が教えられるようになり、ハノイに日本留学と同等の教育が受けられる日越大学が開校するなど、日本との繋がりが強くなっている。
これについて「技能実習制度」を利用してベトナム人を「安価な労働力」として利用する動きが問題となっているとして、「技能実習に来たつもりが、法定を下回る低待遇で、全くスキルの上がらない単純作業に従事させられた」後に帰国しただけでも、日本への印象が好意的な物であり続けることはない上に、最悪のケースであると「ベトナム現地のブローカーに多額の費用を払って実習生となり」「奴隷労働にも等しい『技能実習』に駆り出され」「耐えきれずに失踪」して「不法滞在者」となって「刑事事件」を起こすと言った例もあるという。
しかし、制度に基づく機関に関わったこともある関係者によれば、現場の実情を熟知した上で企業や制度を批判している人はそう多くないという。
実は技能実習生自身が長時間労働を強く希望する場合が多く、入国したばかりであっても殆どの実習生が「残業」という単語を知っており、法令関係講習の際にも「残業」の項目を伝えるときにはとても真剣にメモを取るという。
彼らがそれほど「残業」にこだわる理由が、必ずしも技能実習制度に関してよく言われるような「技能実習生を奴隷扱いしている」ということではない証でもある。
その理由はいくつかあり、1つは海外から招かれるほど特別に熟練したスキルのない外国の若者が、日本で働くためには正規雇用ではない学生アルバイトを除くと技能実習生になるしかないという現状、もう1つは技能実習生の本国での収入が日本に比べて非常に低いことで、祖国において生活困難な貧しい状況を打破するため、給料の良い日本に出向いていること、そしてもう1つは、実習生があらかじめ送出し機関に多額の金を支払っている実態があり、表向きは実習生が送出し機関に保証金を支払うことは法律で禁じられていが、実際は日本渡航前の講習費用などの名目で、ほとんどの実習生は送出し機関(海外機関)にあらかじめかなりの額を支払っている。これは実習生の本国の賃金ベースでは到底返済できないほどで、そうした多額の借金を抱えて来日しているため、仮に体調を崩しても途中で帰国するわけにもいかず、多くの実習生はケガや病気すら隠したがるのだという。
ベトナムも例外ではなく、こうした日本だけではなく海外の事情も重なっているのである。