概要
1995年5月に発表された乙一氏のデビュー作となるホラー小説。執筆当時氏は16歳だったのだから驚き。
子供が見せる無垢さ故の残酷な一面と、死体となった「わたし」目線で語られている大胆な一人称構成から、第6回ジャンプ小説・ノンフィクション大賞を受賞している。
ジャンプJブックスから発行後、集英社文庫として二度刊行。その内2005年版の表紙は屍鬼のコミカライズを手がけた藤崎竜氏が担当している。
あらすじ
九歳の夏休みを迎えたある日のこと。
「わたし」こと五月(さつき)は、友達の弥生(やよい)に彼女の兄・健(けん)をめぐる諍いから殺されてしまった。
弥生は「不意の事故で死なせてしまった」と訴えて健に泣きつき、兄妹は当時頻発していた誘拐事件に偽装して死体を隠すことにしたのだが・・・
主な登場人物
五月(さつき)
物語の語り手となる「わたし」。友人である弥生の兄・健のことが好きだった。
だが、彼女と遊んでいる最中に彼をめぐってちょっとした諍いを起こし殺されてしまう。
弥生(やよい)
五月の友達だが、実兄の健をめぐって彼女と諍いを起こし殺してしまう。
実は健に (どちらの意味でかは不明だが) 兄妹以上の思いを抱いており、彼が好きな従姉・緑のマネをして髪を長く伸ばしている。
健(けん)
弥生の兄。弥生に泣きつかれて五月の死体隠しに協力する。
冷静沈着だが思いを寄せている従姉の緑に対してはからっきしであり、彼女に死体を見られる事をひどく恐れている。
緑(みどり)
健と弥生の従姉。長い髪が似合う美人。