大葉真由
おおばまゆ
主人公の矢口八虎が通う予備校・東京美術学院の講師。
大きな身長と大きな声が特徴の明るい女性で、的確にアメとムチを使い分けた指導で八虎を藝大合格に導いた。
ただ明るいだけではなく人情家で、作中では数々の名言で知られる。
作中では八虎が本格的に予備校に通うようになった高3から彼を担当し、明るく的確な指導で八虎の実力を高めてくれた。
メインキャラである高橋世田介、桑名マキ、橋田悠も大葉先生の生徒(世田介は途中で予備校を辞めたが)。
常に朗らかな雰囲気を漂わせていて、緊張感高まる受験間際でも話の頭に水棲生物のプチ雑学をぶっ込むなど、ハイテンションを崩さない。
ちなみにプライベートでは3児(全員息子)の母で、家でもやはり声はでかい。
大葉先生は高校2年から絵を描き始めた未熟な八虎を、1年足らずで美大の最難関・東京藝術大学に合格させた藝大受験編最大の功労者。足りないものだらけであれもこれもと学ぼうとする八虎に対し、今一番必要なものは何か、課題を明確にしてくれた。
八虎もそれに先生が驚嘆するほどの数の課題をこなすことで応えた。
大葉先生にとっても八虎は印象的な生徒だったようで、八虎の卒業後も予備校でしばしば話題に出しているそう。
「矢口にとって縁は糸の形してた?本当にしてたならそれでいい」
イメージ課題で「縁=糸」と安直な反応を返してきた八虎。
課題を深掘りできていないことは明らかだが、大葉先生はただ問題提起だけをし、八虎に自分で考えることを促した。
藝大合格作品と自分の作品を比較し、どうやったら自分の絵をそこまで引き上げられるか尋ねる八虎。
大葉先生はそれを意味がないとバッサリ切り捨てる。
「1位の絵じゃなくて矢口の『最高の絵』を目指さなきゃね」
良いものを知ることは大切だが、比較し過ぎて自分を見失っては意味がない。絵だけでなく様々なことに通じる至言。
「マジメさに価値があるのは義務教育までよ」
周囲の空気を読み過ぎてしまう、作家としての八虎の悪癖。それを大葉先生は「イイ子でいることを評価してくれるのは、そうだと楽な先生と親だけでしょ?」とバッサリ切り捨てた。
大葉先生にとっても心苦しい発言だっただろうが、八虎に「対応力(=自分勝手力)」を身につけて欲しいと期待を込め、敢えて厳しい言葉を投げかけている。
「努力は運の幅を広げてくれるじゃないの」
「先生たちが生徒の努力認めなくてどうすんですか」
今年の油画は現役生にとって運の良い課題だったなと話題にする予備校講師を笑顔で嗜める大葉先生。
内心ブチ切れてると思われる。
「作品は諦めたらそこで完成よ」
藝大に合格し、これまでの感謝を告げる八虎に送った最後の言葉。某有名バスケ漫画のパロディだが、これから八虎に待つ苦難の藝大生活を案じながら送った言葉なのだと理解しながら読むと、続く言葉と併せて一層その奥深さが理解できる。
「でも受かったときの嬉しさってほんとに一瞬だから」
「今はたくさん浮かれましょ」