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天上天下唯我独尊

てんじょうてんげゆいがどくそん

「天上天下唯我独尊」とは仏教の開祖ガウタマ・シッダールタが発したとされる言葉、その漢訳である。
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概要編集

元々はブッダ(ゴータマ・シッダッタ、ガウタマ・シッダールタ)が出生直後にはじめて発した言葉の漢訳であった。


解説編集

「天上天下」天の上と天の下、つまりこの世界という意味である。

「唯我独尊」の「我」は、発話者である釈迦を指す。仏陀の称号である「如来十号」の一つに「天人師(神々と人々の師)」がある。

仏教における仏とは、悟りを開き、神々を含む衆生を輪廻から解放させる教えを説く、という意味で唯一無二の位置を占める存在である。


仏典での記載編集

パーリ経典編集

パーリ経典の「中部」に収録された経典『アッチャリヤ・アブッタ経(Acchariya abbhuta sutta、希有未曾有経)』で、ゴータマ・ブッダは誕生時に以下の偈を唱えたと書かれている。


「私はこの世界の最上者である(Aggohamasmi lokassa)。

私はこの世界の最年長者である(Jetthohamasmi lokassa)。

私はこの世界の最勝者である(Setthohamasmi lokassa)。

これが最後の出生であり、再び生まれることはない(Ayamantimā jāti natthi dāni punabbhavo)」


漢訳阿含経編集

パーリ経典「長部」に対応する漢訳経典『長阿含経』一巻では釈迦より遙か昔の時代に出現したブッダである毘婆尸仏が誕生時に口にした句として

「天上天下唯我為尊。要度眾生生老病死」が記される。

『雑阿含経』23巻では、尊者や王が「誕生偈」を引用するシーンがある。

「如來初生處 生時行七步,顧視諸四方 舉手指天上,

我今最後生 當得無上道,天上及於人 我為無上尊。」(尊者隆頻林による偈)


律蔵編集

律蔵に収録されたテキスト「大品」では初転法輪前の釈迦がアージーヴィカ教の行者ウパカに対し「我に師もなく我に等しきものもなし、人天世間に我に比倫するものあることなし」と世界において自身が他よりも隔絶した立場にある事を示すという内容を含んだ発言をしている。


日本独特の解釈編集

江戸時代後期の知識人二宮尊徳は唯我独尊の「我」を仏のみに限定しない解釈をした。

『二宮翁夜話』によると、彼はこの句を釈迦だけでなく、自分もひとも世界中のみなが尊いのだ、と解し、更に「犬も独尊ならたかも独尊、ねこもしゃくしも独尊といってよいものだ」と人間以外の生き物にも広げた。


20世紀後半から21世紀初頭にかけての日本においても「一人一人が尊い」「人間に生まれたときしか果たすことのできないたった一つの目的がある」といった解釈が広まった。

この解釈によれば「我」とは、私一人という意味ではなく私たちという意味となる。そこから、「唯我」とは仏教に於ける六道の中で私たち人間に生まれたときだけのことであるという解釈がされている。

「独尊」は「たった一つの尊い命の使い道」という意味である。

これらを組み合わせ、「天上天下唯我独尊」とは「私たちが人間として生まれたときしか果たすことのできないたった一つの目的がある」という意味だと捉えられている。


関連タグ編集

仏教 六道 三界 諸行無常 諸法無我

五条悟:決め台詞として有名

もりやまつる:同名の漫画を著している。

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