概要
天冥の標(てんめいのしるべ)とは、小川一水による大長編SF小説シリーズである。ハヤカワ文庫JAより刊行。
2009年に発表された『天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ』(上・下)からはじまり2019年の『天冥の標X 青葉よ、豊かなれ』(PART3)に至るまで10年間にわたり紡がれ続け、全10巻計17冊で完結した。2020年、第40回日本SF大賞を受賞。
壮大なスケールの時間・空間を舞台に展開される叙事詩、群像劇であり、各巻ごとに異なる時代・異なる地域・異なる人物が登場しながらも一つの通底した壮大な物語を紡いでいく大河シリーズ。
書誌情報
早川書房〈ハヤカワ文庫JA〉、全10巻17冊。
- 『天冥の標Ⅰ メニー・メニー・シープ』上・下(2009年09月18日刊行)
- 『天冥の標Ⅱ 救世群』(2010年3月5日刊行)
- 『天冥の標Ⅲ アウレーリア一統』(2010年7月9日刊行)
- 『天冥の標Ⅳ 機械じかけの子息たち』(2011年5月20日刊行)
- 『天冥の標Ⅴ 羊と猿と百掬の銀河』(2011年11月25日刊行)
- 『天冥の標Ⅵ 宿怨』PART1(2012年5月10日刊行)・PART2(2012年8月24日刊行)・PART3(2013年1月25日刊行)
- 『天冥の標Ⅶ 新世界ハーブC』(2013年12月19日刊行)
- 『天冥の標Ⅷ ジャイアント・アーク』PART1(2014年5月23日刊行)・PART2(2014年12月19日刊行)
- 『天冥の標Ⅸ ヒトであるヒトとないヒトと』PART1(2015年12月18日刊行)・PART2(2016年10月21日刊行)
- 『天冥の標Ⅹ 青葉よ、豊かなれ』PART1(2018年12月19日刊行)・PART2(2019年1月22日刊行)・PART3(2019年2月20日刊行)
作品解説
著者の有するあらゆる引き出しを投入して執筆された大長編作品であり、本作品を一言で言い表すことは難しいかもしれない。各巻ごとに小説としてのジャンルも異なり、ある巻では遠未来宇宙植民地における革命の顛末を描くSF群像劇小説、ある巻では西暦の現代を舞台に未知の感染症の流行によるパンデミックとの闘いを描くハード医療SF、ある巻では宇宙艦隊が太陽系を大暴れするスペースオペラ――、といった具合にバラエティー豊かなSFの満漢全席と言えよう。
その中でも各時代各巻のストーリーに共通して現れ人類を脅かす感染症「冥王班」をめぐる謎や、人類社会の背後に見え隠れする被展開体と呼ばれる超常じみた存在の動きなどが、この作品の大きな物語を貫く鍵となっている。
主な登場人物
あまりにも厖大な数になるため、各巻ごとの、または複数巻にわたりさまざまに活躍する主要な登場人物を網羅的に記載することはできない。そのためここではpixiv上に投稿された本作の登場キャラクターのファンイラストを掲載しこれに代えることとする。
関連イラスト
関連項目
小説 SF小説 ハヤカワ文庫 感染症 パンデミック スペースオペラ SF 宇宙