「こんなクズ共を指揮官にはできない!!勝ったのは俺だ!!」
「戦場で…大手柄を上げれば…大出世できる… 俺は…そうしたいんだよ」
プロフィール
概要
淡路島編においては、物語の中心を担う人物にあたる。
初登場は47話(単行本6巻収録)。紫龍城へと入ろうとする武蔵の前へと立ちはだかり、物理的な一蹴りで、武蔵を地へ伏せさせる。この時は武蔵のことを直江に対し「直江様…こいつは弱い。警戒する価値のある『武士』じゃないスよ…」と、言っていることから、同年代の中でも比較的実力の高い武士であることが窺える。
人物
俺が絶対におまえたちを勝利に導いて見せる
「だから俺がやる…ぜったいに」
島津武士団当主・島津多嘉久の息子。
主人公の武蔵と比べると、やや寡黙的に描かれている。しかし上に立つ者としての役割や素質は高く、実力によって周囲を従えるだけの力はある。
一見残虐で無慈悲なような描写が淡路島編全編では描かれているものの、性根は兄弟思いの青年である。ただし兄弟との関係は作中において決して良いとは言い難いものであり、本人が兄弟間での蟠りから「輪の中に入る」ことができていないためか、大きく誤解を生んでいる。
淡路島編において、島津武士団の空気の悪さの原因のように描写されているものの、刀の試し後に秋弘のみが魂色・赤だったことで島津内の勢力図の変化や、それに伴った秋弘の性格の変化により兄弟間での関係変化によるものであった。
過去の出来事が原因で、兄弟と直接日常会話ができなかったりと、拗らせ気味である。過去に縋っている描写もあり、幼少期に使っていた陣駒を常に持ち歩いている。
本人は刀の試しにおいて、自身が「兄の夢を奪い取ったようなものだ」と、その役割を受け入れながらも、仲間を守ることができない立ち位置であることに焦燥を抱えている。
兄の夢とは『鬼神にトドメを刺す役割』であり、島津においてそれは赤い魂の持ち主であり、当主の役割であったため、それは必然壁に秋弘が行うこととなる。これは結果として、秋弘にとって「兄の夢を奪った」と考えさせるものとなり、次第に「兄の夢を自分が奪ってしまったようなものであるからこそ、己が兄弟の刀気を受け取りトドメを刺す必要がある」とそこに執着する理由になった。
兄弟を守るためならばと自己犠牲的な面もみせ「昔のように戻る?そういう期待はもう………捨ててきた…!!」と、兄弟との関係修復よりも彼等が生き残ることを願いながら「最悪な陣形」を指示しつつ安全地帯へと非難させていた。この行動は兄弟の五人の中では「養分奴隷か何かか」と言わせるほどのものである。
容姿
島津共通の紅葉のような髪の色に、切れ目に灰色の瞳。デフォルメでは双葉のようなアホ毛が作者によって描かれていることから、くせっけである模様。
島津特有のピアスの位置は唇(キャラクターからみて中心よりも左より)。両腕の手首にも同じような形の腕飾りを付けている。陣羽織の羽織紐でたすき掛けをしている。
過去
二番手がいいです
「兄上が俺の兄上なんだから…兄上がやればいいと思う」
兄弟で一番おとなしく、争いごとが嫌いで怠惰な性分だった。そのため跡継ぎとして見込みが薄いと半ば諦めかけられていた。
当時は剣術、弓術に至っても兄に勝てたためしはないほどで、あまり戦闘においての実力は高くなかったと思われる。
母の顔は思い出せないほど顔を合わせたこともなく、父に関してもあまりよい感情は持っていない。
兄である春久のことを敬愛しており、本心から「家督は兄上が継ぐべきだ」と考えていた。
しかし刀の試し後、春久と秋弘の立場が逆転したため、秋弘を除く兄弟たちは屋敷を別に移すなどの冷遇を受けることとなった。
引っ越しの際「赤刀武士の力とか…いらないですよ!!」「欲しいやつがいたらいくらでも上げますよ!!」と兄へ言ったことに対し即座に後悔し、春久からは「俺は 心底欲しかったよ…」と告げられたことにより、役割に対する覚悟を決める。
この出来事により、秋弘の口調の変化のほか兄弟との関係が大きく変わっていった。
容姿
基本的な風貌は、物語本編時と大差はない。
幼いため目が大きく描かれているほか、当時は髪が長くポニーテールのようにまとめている。
鬼鉄刀
扱う鬼鉄刀は天狼鉄脚
これは島津兄弟共通であるほか、作中の描写から島津武士団において赤刀武士・青刀武士共通の鬼鉄刀であると思われる。
靴に仕込むかたちの鬼鉄刀で、下駄が厚底になっており、刃を回転させながら足技で操る。
淡路島編
初登場時、三すくみと武蔵・勝巳との圧倒的な実力差を見せつけ、小隊長の座に就く。
恐怖的な支配力とともに、周囲の状況を冷静に見抜くこともでき、第一小隊の部屋に入ってきた際の武蔵の行動心理を見抜いたり、勝巳の保身的な行動の理由を指摘している。
以上のことから指導者としての実力も高いと見れるが、恐怖政治にも似た命令を下しているため小隊では序盤非常に恐れられていた。
「命令違反は島津の流儀で処罰する」
と、違反内容を問わず斬首という、上下関係の明確化を図った。それは武蔵の反感を買うものとなったが、彼を弱者と評価していた秋弘は「弱い奴に発言権はねェんだよ…」と一蹴りする。
序盤では主に島津としての暴力性が強く描かれていたものの、終盤では島津兄弟との関係決裂により秋弘の心情が強く描かれるようになっていった。
本心では兄弟が何よりも大切であり、掛けがえのないものである。魂の色によって生まれた負い目、兄の夢を背負っている自覚とともに、偽悪的な行動と命令で兄弟たちを守りながら角を折るための布陣を指示する。
結果として秋弘は八岐大蛇に食べられてしまうものの、それが兄弟たちにとって秋弘を再度考えさせるものにもつながっていった。意識ももうろうとし始めたころ、過去との葛藤を経て、春久により一面をとりとめ、救出。本心をぶつけ合いながら兄弟の仲を修復させた後に、打ち損ねた鬼の角をもう一度折ることに成功させた。
復活を阻止した後は、夏樹が陣駒を奪おうとするのを阻止したり、手当を受けたりとしている。
余談
単行本のおまけ漫画
おまけ漫画「島津兄弟のストレス解消法」では、プロのお姉さんのお店において酒を飲み、愚痴をはく夏樹、時雨、忠雪の相手をしていた遊女たちをかすめ取り「いつもの」を行っている。
この、「いつもの」とは、兄弟が何を話していたのかを聞き出し、疑似的に兄弟との日常会話の雰囲気を味わうためのものであった。
この行動はお姉さんたちから「直接お話なさればよろしいのに」「できないんですって」「おかわいそう」と言われていた。
常習犯であるらしく、忠雪は「また総取りかよ!」と怒りを表している。
夏樹には「ド変態なんだよ 寝取るのが趣味なんだ!!」と誤解を招く発言がされていた。
秋弘が『プロのお姉さんのお店』へと訪れることを春久はこの時初めて知り、非常にショックを受けていた。
夏樹と年功序列
己の兄は春久なのだからと、二番手を望んだ際は夏樹に「俺も兄上の次がいい」と言われているが、これにたいして年功序列だと返している。
二人は同じ歳だが、秋弘のほうが1週間だけ夏樹より産まれている。