赦しはいらぬ 敵が欲しい
某はもう人を斬りすぎて頭がおかしくなったのかもしれぬ……
解説
死に様を美しく飾る侍の在り方に強い憧れを抱く少女。
異世界転移時の年齢は17歳。一人称は「某(それがし)」。
剣術の天才にして器量の良さも備えているが、女を捨てて侍として生きるため、横一文字の傷を自らの顔に刻んでいる。
人物
経歴
12歳の時に父親との最期の稽古を経て、戦の中で死ぬために関ヶ原の合戦にて先鋒隊に志願。
刀一本で獅子奮迅の活躍を見せるが、鉄砲に狙われ恐れずに向かった結果、鉛玉が奇跡的に鉢金に当たって気絶。
目覚めた時には戦が終わっており、死に場所を失ったことに絶望。
その後も死に場所を求めて果し合いに明け暮れ、百を超える真剣勝負に全て勝ち残り『剣鬼』と噂される程、名を轟かせる。
死すべき時に死ねない絶望の果てに悟りを求めて仏門に帰依。
しかし転生寺の仏の粋な計らいにより、中世幻想風の異世界へと転移。
異世界に来てからはまだ見ぬ未知の強者達や異世界美食に胸を躍らせている。
性格
強者との戦いと死に場所を求める戦闘狂と言える人物だが、無闇矢鱈に人に斬りかかるような狂人ではなく、困っている人を見捨てない、受けた恩義はしっかりと返すといった純粋な性格。
異世界の魔物や魔法には驚かされることも多く、常識的な感性のツッコミを入れることも。
侍が斬ってよいのは向かってくるものや命の覚悟があるものだけと教え込まれており、無関係の人間を傷つけた場合は、責任を取るために自らの命や腕を捨てることも辞さない。
戦って死ぬのを理想としているためか理由もなくする自害は好まない模様。
能力
武芸全般を修め、身の丈に似合わない剛力も兼ね備えているため、人間の腕力では扱えない武器も問題なく使いこなす。
元の世界から持ち込んだ武器は分銅鎖と、関ケ原で拾った無名の刀に『銀横綱』『銀大関』と名付けた二本の愛刀。
平時でも攻撃が来れば即座に回避して抜刀体制に移る反射神経と、常人離れした瞬発力と剣捌きで相手を一瞬で輪切りにしてしまう。
魔力や魔物が存在しない世界からやって来た人間であるため魔法は使えないが、その戦闘力は異世界でも規格外の領域であり、街の兵隊はおろか、歴戦の勇者ですら敵わない魔物も一蹴するほどの腕前を持つ。また、魔力を持たない体質故に変化魔法の影響を受けにくいらしく、キルケの魔物に変える魔法を受けてもグルニカの治癒魔法でくっ付けられた片腕以外変化しなかった。
余談
同作者の作品『傷だらけのピアノソナタ』の主人公『月鍔ルナ』と苗字が同一である。
人物造形の原型は作者の齋藤勁吾氏が描いた「武士らしく斬られて死にたいのに強すぎて殺した数ばかり重ねてどんどん狂っていく宮本武蔵ちゃん(♀)」であった。斎藤氏は一話の展開にはその名残があると語った。