概要
正規の医学とは別に、昔から民間で使用されてきた病気の治療法のことである。
一般に、生活者の身近にあるものを使って行われる(この点で現代医学の主流である西洋医学に対する東洋医学とも少し異なる)。
特に西洋医学のような、根拠を持って行われる医療とは異なり、明確な根拠はあまりなく主に経験に基づいたものであるが、プラシーボ効果等のまぐれ当たりで有効な場合があることも。
湯治や整体など、明確な医療行為ではないが体の不調を何らかの形で改善する、というものはいくつか存在している。
また当時としては最善だった、複数人が試して一定の効果があったというケースもある。
たとえばホメオパシーは現代では単なるプラシーボ以上の効果はないが、発祥した当時ヨーロッパにおける病気の治療法は瀉血(血液を外部に排出させることで症状の原因となっているものを追い出す、というもの)が主流であり、これは逆に不適切な管理によって感染症や貧血などを誘発するものであった。しかしホメオパシーは症状を起こす原因を限界まで希釈したレメディを服用するだけなので、それ自体は体に危害を及ぼさないということから、瀉血よりはるかに安全な治療法であったため普及した。
日本にも「フグに当たったら砂浜や土に深い穴を掘って患者を埋める」という古い民間療法があるが、これはフグ毒(テトロドトキシン)による血圧の低下、神経麻痺による筋肉の弛緩、呼吸困難などの症状に対し、手足を埋めることで末梢神経を圧迫し血圧を上げる、体を固定することで腹式呼吸を容易にするといった効果があると考えられており、先人がどう思いついたかは不明であるものの一定の効果が存在する(可能性が高い)といえる。
こちらの場合、その後の根拠が証明された最新療法に素直にシフトされれば問題ないのだが(※先に挙げたフグ毒については、解毒方法などは解明されていないものの、速やかな人工呼吸器の装着により神経麻痺を抑え、体内での無毒化を待つというメソッドが確立している)、そうではない「治療のつもりが悪化した」という問題に発展することもある。
なお、Pixivに投稿されているイラストとしては、なぜか「尻に葱」のものが多い。
民間療法の需要
先述の通り、民間療法には根拠の薄いものが大半で、医療保険も基本的に適用されないため高価であるが、それでも需要が一定数存在し続けている。
理由として、西洋医学の治療は大抵の場合薬が使われるが、病気の程度や薬の種類、患者の体質によっては深刻な副作用を伴う。
また患者自身の乱用や医師の管理の不行き届きにより、症状に応じた適切なコントロールが行われず、耐性がついたり症状が悪化したりといった危険性もある。これは漢方など東洋医学も同様である。
さらに、半ば陰謀論と結びついた医師・製薬会社による利権争いや、政府、WHOなど公的機関への不信感などが「西洋医学への忌避感」として現れることも少なからずある。