滝浦和美
たきうらかずみ
18歳の高校三年生でオフィスフィーメ所属のモデル。主人公不動ジュンの数少ない友人。
非常に内気なジュンとは対照的な明るく積極的な性格で、ジュンの大人びた美貌に憧れ、姉のように慕っている。
作中序盤、ジュンの「弱点」としてビーストの頂点に立つ存在であるサトルに目をつけられ、ビーストの襲撃を受ける。和美自身はジュンによって窮地を救われるが、両親を殺害されてしまう。事件後は親戚に引き取られるはずだったが拒否してジュンの住居に押しかけ同居することになる。ぎこちない共同生活がはじまるが、和美に対して自身がデビルマンであるという秘密を抱えるジュンとは頻繁にすれ違い、ある出来事をきっかけにジュンの正体を知り出奔してしまい長らく離れ離れになる。荒んでいく世界を彷徨う中ようやくジュンと再会することになるが、その結末は……。
上述の通りサトルからはジュンの弱点(サトルは「君の恋人」と称する)として認識されており、人質に取ってジュンの正体を和美に暴露させる、和美に擬態したビーストをジュンに差し向けるなど、たびたびサトルからジュンをいたぶるためのダシとして使われる。
ジュンとの関係は複雑で、憧れの対象、疑似的な姉妹・家族関係、そして恋愛感情ともいえる執着などが入り混じって描写されている。二人の関係はすれ違いと葛藤を経て深い愛情として結実し、その愛が最終局面においてジュンを最後の決意に導くことになる。
サトルによって実は和美にもビーストとなる素養があったことが明かされる。
「あなただけは人のままでいて!」ジュンの懇願も虚しく覚醒する和美。
サトル達に痛めつけられ空中に放り出されたジュンは力尽きて落下していくが、
それを翼をはばたかせる影が救い飛び去って行く。夜の海辺で目覚めたジュンを覗き込むのは和美だった。微笑みを交わす二人。
「あたし、ずっとジュンちゃんと一緒にいていいんだよね?だって、もうジュンちゃんと同じ体だもん」
「いいよ。ずっと一緒に、いよう」
美しい夜明けの中で二人は互いの愛を確かめ合い、共に生きていくことを誓う。
安息の場を求めて彷徨うジュンと和美の前にアスカが現れる。
和美はアスカの企みを止めなければという使命感に駆られるが、
ジュンは自分にやらせてほしい、和美には人のままでいてほしいという。
せっかく同じ体になったのにまたジュンの帰りを待たなければならないのかと落胆する和美。
ジュンとサトルの配下ナペリウスの戦い。
ジュンの窮地を救うために割って入った和美は致命傷を負い、ジュンの腕の中で息を引き取る。
かつて二人で暮らしたマンションに帰った後、思い出の海辺で亡骸は火葬された。
最愛の存在を失ったジュンの失意はあまりにも深く、この後長らく戦いから遠ざかることになる。
最終話、アスカに屈服し地獄で磔となったジュンは懐かしい声に巡り合う。
それは死者となった和美の声だった。涙ぐむジュンに、和美は優しい幻想を見せる。
幻想から醒めてジュンはある真実を悟る。自分が本当に愛していたのは誰だったか。
そしてジュンは真の悪魔となり、アスカを滅ぼす決意を固める。
死した獣たちの怨念を自分の身に宿してゆくジュンのために、和美だけは自分の愛を与えるのだった。
そして戦いの終わった世界で、ジュンは愛しながら失った少女の面影を求めて人の中へ消えていった……。