概要
あたしンちシリーズの中で唯一父が人前で涙を見せた話であり、実母の危篤とその死。そして、それに向き合いながら仕事と家族と接していく父親としての苦悩を描いた作品とも言える。
現実にもよくあることなのでかなり胸に染みるものとなっている
これを見て泣いた人が多いようである
母曰く「当時は飛行機代高かった」ようである程度の財産が無いと乗れないとのこと
ストーリー
ある日、みかんはふと思った。
父が泣いている姿を見たことが無い。ドラマを見ている時もみんなが泣いているのに父だけは泣いていない。
みかんは母に父が泣いている時はあったか尋ねる。すると母は一度だけ見たことがあるという。それは父の母親が亡くなった時だった。
話は今から数年前、みかんが幼く、母がユズヒコを身籠っていた頃まで遡る。ある日、父の実家から義母が倒れたという一報が入る。それを聞いた父はすぐ様に九州の実家に帰省。本来なら母も行く予定だったが、父は妊娠中でもある母の身体を気遣い、来ないように止める。
それから、何の連絡もなく3〜4日で戻るはずが6日も経過し、有給休暇を全部使い果たした頃にようやく帰宅。母は何があったか尋ねると父は静かに答えた。
父曰く、直ちに母親の手術が行われたが医師からは患部を確認したところ既に手遅れの状態だと言われ、その時点で父は本人にどう説明すればわからない程憔悴しきっていた。
そんな状態で母はただ啜り泣いていたが、それでもこの時の父はまだ涙を流してはいなかった。
それから三か月が経ち、いよいよ(危篤)という状況を知り、有給を使い果たした父は何とか休みを取れるように会社の部長と電話で相談する。だが、この時の父は電話を掛け間違えたり、ダイヤルを回す指が震える程不安や焦りが見え始めていた。それでも何とか会社から休みを貰い、再び父は九州に帰省。
その三日後に父から電話が入る。父は母親が小康状態を保つ事が出来てしばらくは何とか安定に保てる見込みがあるという。それを聞いた母は安心し、父もこれから帰ると言いそのまま電話を切り、搭乗手続きを済ませて飛行機に乗って行った。
しかし、それから一時間後、父の実家から電話が入った。
それはたった今母親が息を引き取ったという一報だった。
奇しくもそれは父が飛行機に乗っていた最中の頃であり、母はそれを本人に直接伝える事は出来なかった。母が悲しみで涙する中、みかんはひたすらに励まし続け、何とか持ち直す事が出来た。
帰宅した父にその事を伝えると静かに頷き、母親の死に目に会えなかった悔しさからバックの取っ手を強く握りしめ続けていた。
悲しみに浸る中、みかんは父にある物を渡す。それはクレヨンで描いた母親の似顔絵だった。これはみかんが母親が早く元気になって欲しいというみかんなりの思いやりだった。
その絵をみた父は「よく描けてるなぁ…おばあちゃんもきっとよろこんでくれるよ…」と答えた。だが、その姿はあまりのみかんの優しさに耐えられず泣きそうな父があった。
翌日、父は通夜にも葬式にも顔を出さないまま普通に仕事に行った。その後も母親や実家の事も一切口を出さなかった。母曰く恐らく父は帰ってから何度も通帳を確認していた事おり金銭面について、かなり心配していたという。
程なくしてユズヒコが産まれ、喪中という形でようやく年の暮れに休みが貰え、家族揃って父の実家に帰省する事が出来た。
そして、母はある姿を目の当たりにする。
それは母親の遺影が飾られた仏壇の前でただただ泣き続ける父の姿だった。母親の遺影の前にはみかんが描いた似顔絵が飾れており、肩の荷が降りたのかやっと素直な気持ちになれたのだ。
その姿を見た母はよっぽど辛い思いをしながら我慢していた父を想いながら彼女もまた涙を流した。
それが最初で最後であり、あれ以来は父が涙を流す姿は一切無かった。そして母は「『男は親の死に目で泣く以外では人前で泣くな』と父はちゃんと教育を受けていたかもしれない」と悟った。
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