概要
アメリカ独立戦争で使われた世界最初の潜水艇『タートル』に始まり、黎明期の軍用潜水艇は泊地襲撃を用途として開発されていた。
しかし外洋行動が可能な大型潜水艦が開発されるようになってくると、泊地襲撃は潜水艦には不向きになってきた。
一方で第二次世界大戦時には泊地など挟水域における行動に適したサイズと独特の装備を有した軍用潜水艇「特殊潜航艇」が開発・製造され実戦投入された。
各国の特殊潜航艇
日本
真珠湾攻撃やシドニー湾攻撃で用いられた甲標的が有名。真珠湾攻撃では長らく成果を挙げられなかったと言われていたが、近年戦艦「ウェストバージニア」と「オクラホマ」に魚雷を命中させたという分析もされている。
イギリス
ドイツ海軍の戦艦「ティルピッツ」を攻撃したX艇が有名。改良型のXE級は極東での作戦に投入された。
また1950年代にもスティックルバック級という特殊潜航艇を開発している。
ドイツ
X艇による「ティルピッツ」攻撃に影響を受け、ドイツ軍でも特殊潜航艇の開発が行われた。
日英の特殊潜航艇と比べて小型で1人乗りのものが多かった。
ネーガーのように魚雷を改造したものもあるが自爆攻撃を想定して開発されたものではない。
一方でヘヒトやゼーフントなどUボートとして船体番号まで与えられたものもある。
総数1000隻以上が製造されたが、明確に軍用艦艇を撃沈したとされているのはマーダーが護衛駆逐艦「クォーン」を撃沈したのみで、目立った活躍は上げられなかったとされる。
創作における特殊潜航艇
ウルトラシリーズなどの特撮テレビドラマでは防衛チームが運用する戦闘用潜水艇を特殊潜航艇と呼称することがある。
魚雷のほか怪獣との戦闘を想定した特殊な装備を有していることが多いが、水中戦は撮影にコストがかかるなどの事情もあってわずか1話だけの登場になってしまったり、設定のみで1回も登場しなかった場合も多い。