概要
月経時の経血や産後の下血を吸収するために、下着(ショーツ)の内側に取り付ける、布や紙で作られた生理用品のこと。
英語では“sanitary pad”や“menstrual pad”、“feminine pad”などと呼ばれている(“sanitary napkin”でも通じる)。
主に市販されているのは使い捨てタイプの紙ナプキンで、ほかにも洗って繰り返し使用できる布ナプキンがある。
使用方法が簡単で安価なことや、短時間での使い捨てを前提としているため衛生的という点から、日本で一番普及している生理用品であり、タンポンや月経カップなど他の生理用品の使用が進んでいる欧米を始めとする海外でも一般的によく使われている。
日本で市販の紙ナプキンが登場したのは1961年で、それまでは脱脂綿や使い古しの布や、それらにちり紙を巻いたものを主に使用していた。
現在は吸収量や通気性など日々改良された商品が登場しており、日本の紙ナプキンは特に品質が良いと評価されている。
紙ナプキンは、表面が柔らかい紙や不織布などで覆われ、中にコットンや吸水ポリマーといった吸収剤・吸湿剤が入っており、裏面はビニールシートで下着に貼り付けられるように粘着テープ式となっているのが一般的な構造である。
各々の出血量(≒月経の重さ)や、肌質、運動量などに合わせて、長さや素材、羽・ギャザーの有無や形、厚みの違う製品を選んで使う。直接肌に触れるもののため、個人の好みや体との相性の違いが大きく、特定のブランド・製品でないと無理だというこだわりを持つ人は多い。
おおむね20cm〜40cm(取り付けたときの長さ)の製品が売られており、吸収剤の種類や大きさなどもそれぞれ異なる。基本的に、薄い・吸収剤が薄いものは比較的出血量が少ない時に使い、長い・厚いものは出血量が多い、夜寝ている間など頻繁に交換できない時に使う。
また、羽つきの商品も販売されており、ショーツの裏側に羽を折り返して貼り付けることでナプキンを固定する。これにより、横ずれを軽減して血液が漏れるのをある程度防げるため、スポーツなど体を動かす機会が多い人や、立ったり座ったりを繰り返す仕事の人には向いていると言える。他に、サイドに高さのあるギャザーをつけて漏れを防ぐ商品があり、主に夜用に使われている。
出血量が多い過多月経の人向けに、一般的な夜用よりも長く幅広で吸収力を高めているもの、さらに一般的な紙おむつと同じような形状のショーツタイプもある。
ナプキンは長時間使用すると雑菌が繁殖し、臭いやかゆみ、かぶれ、カンジダなどの原因になるため、日中では2~3時間に1回程度のタイミングで新しいものに交換する必要がある。このため、商品1パックにつき10〜25枚入りのものが基本であり、吸収量は確保しつつ持ち歩きに便利なスリムでコンパクトなタイプも人気である。
ナプキンを取り付けるショーツは、普段も履いているような綿等の素材のものでなく「サニタリーショーツ」と呼ばれる防水性の高い素材が使われているショーツの事が多い。
普通のショーツに比べてナプキンがズレにくく漏れを防げること、通気性が良く臭いやかぶれが起こりにくいこと、汚れが落としやすく長く使えるといった利点があり、衣料品店だけでなく一部スーパーやドラッグストアの生理用品コーナーでも購入できる。
また、近年ではサニタリーショーツの一種として、経血の量が少ないときに使いやすい、ナプキンなし・もしくは短くて薄いナプキンでもある程度血液が漏れにくい作りの「吸水ショーツ
」も販売されている。
一部の公衆トイレや商業施設に設置されたトイレではナプキンの自動販売機が設置されており、出先で急に生理が始まってしまった、替えのナプキンがない状態で出かけてしまった場合もある程度対応することができる。
また2021年には、日本国内の女性用の公衆トイレや大学構内のトイレなどで、生理用ナプキンを常備・無償提供するためのスマホアプリ上のサービスが試験的に開始している。
ただし、いずれも全国のどのような場所にも設置されているわけではない。「ルナルナ」などのサイト・アプリで周期をある程度確認したり、低用量ピルの服用で周期をコントロールしたりすることは可能だが、細かな時間や出血量が分かるわけではないため、突然生理が来て対応しきれず困る女性は未だ多く、自販機での販売や配布等のサービスの拡充が求められる。
一部の国では生理用品に係る消費税の無税化を進めている。
関連タグ
ナプキン/布ナプキン 日用品 生理 タンポン おりものシート
日本で著名なブランドなど
- ソフィ(ユニ・チャーム)…肌触りの良い「はだおもい」、ズレにくい「ボディフィット」、夜用の「超熟睡」などのシリーズがある。また「センターイン」などコンパクトなタイプや「スポーツ」などズレに強いシリーズも有名。
- ウィスパー(P&G)…既に日本でのブランド展開を終了しており、2024年現在は軽失禁用のパッドのブランド名となっている。「コスモ吸収」という体にフィットする特殊な吸収剤を使った製品が特に有名だった。
- ロリエ(花王)…肌触りを良くした「しあわせ素肌」シリーズもある
- エリス(大王製紙)…肌触りを良くした「素肌感」「しあわせ素肌」が有名。
- コットン・ラボ(セペ)…100%オーガニックコットンで吸水ポリマーを使用していないのが特徴。