概要
七谷中学に通う中学二年生。
気の小さな性格をしており、基本的に控えめで大人しい。また、口下手な一面も強調され、人前に出ると頭の回転が遅くなる、言葉が出せないといった描写がしばしばある。現実にも口下手で大人しいタイプの人間はよくいるが、信乃歩視点からなる内気な文章はそうした読者の共感を集めやすい。良くも悪しくもリアルな人間味が出ているため、人によっては好き嫌いが分かれる場合もある。
プロフィール
学年 七谷中学二年
性格 口下手で内向的
趣味 読書。ほぼ本を読むことを生き甲斐に毎日を送っている。
身長 低め。長壁駿の登場シーンで、背の低い男子だがそれでも信乃歩よりは高い、と説明する一文があるため、おそらくクラスでも低い方ではと推測できる。
容姿 眼鏡をかけ、髪は腰まで伸ばしている。七屋敷薫の登場シーンでその体つきを見て、ただ痩せっぽっちな自分なんかより、という風に地の文で自分を評しているため、それを信用するなら痩せ型の体格であると推察できる。
制服はセーラー服のため、表紙や挿絵では基本的にセーラー服を着たイラストが描かれている。一巻では長袖を着ていたが、三巻では作中時間の関係からか半袖になっている。
解説
家族関係
家族には父と母と双子の兄があり、双子の真木現人と真木夢人のことはそれぞれ「あー兄ちゃん」「ゆー兄ちゃん」と呼んでいる。
現人のことはあまり好いておらず、どちらかといえば夢人の方を慕っている。というのも、夢人は昔は内向的だったとされており、読書家というのも信乃歩と共通する部分である。内気な信乃歩にとっては夢人の方が自分に近しい存在に映っており、それを悪しざまに言う現人に対しては反感を抱きやすいものと思われる。だが当の夢人は、薫から『自分に無関心なものに対して優しい』と評されている。これを突き詰めていくと、夢人を見る信乃歩、現人を見る現人という風に、ある種の三角関係が成立していることがわかる。
夢人との関係
信乃歩の視点からは夢人の本性は見えていない。これについては、第一巻の冒頭を読めばわかる通り、夢人という人物背景には『鬼』という超常的存在があるからだ。『鬼』の捧げ物という事にされている夢人は、生きたまま悲惨な運命を迎えるよりも、先に自身の命を絶つ方法を探している。かつては内向的だった、暗かったと文中で明言されているのも、おそらくこの『鬼』との出来事が背景である。しかし、そんな不可思議な存在が性格背景の裏に潜んでいるなど、普通に生きている一般人にはそもそも知るチャンスがない。このため、ズレが生じてしまい、信乃歩は夢人を慕っているが、夢人は本当は妹に興味がない、といった状況が生まれている。これらの事情から、むしろ現人の方が夢人への理解度は高い状態にあるが、その現人とて『鬼』については一切知らない。
とはいえ、夢人は表面的には妹に優しく接している。そして、信乃歩としても夢人を慕っているという関係上、二人が一緒にいるシーンは意外と多い。Missingの頃から続く、甲田学人作品の持ち味である『講義シーン』において、しばしば信乃歩が講義の受け手となっている。
学校生活
信乃歩の学校では必ずクラブ活動に所属しなくてはならない。そのため、読書クラブに所属している。元より読書家である信乃歩は純粋に本が読みたくて入っているが、実態としては、延々とお喋りばかりをするお喋り組と、黙って本を読む読書組に分かれている。信乃歩の性格は大はしゃぎでお喋りができるようには出来ておらず、口下手な信乃歩は当然ながら読書組だ。
口下手であることが強調され、さらに『学校で孤立気味』と記したページもあることから、信乃歩には友達が少ないと思われる。しかし、綾芝あゆみとは仲が良く、同学年の長壁命にも懐かれている。その弟である長壁駿にも、苛められている所を一度助けられている。極めて友達は少ないが、人との繋がりが完全に皆無というわけでもない。
振る舞い
強くものを言える相手は家族だけとあるように、外ではだいぶ気が小さい。写真を撮るからシャッターを押して欲しいと頼むだけで申し訳無さそうにしていたり、苛めから助けてくれた相手に何故か謝るなど、肝の小ささが目立っている。言ってみれば苛めを受けやすい性格をしており、前々作のMissingでは木戸野亜紀などが実際に苛めを受けた背景を持っているが、信乃歩の場合は幸い長期的な苛めは受けていない。一巻において受けた苛めも、ほとんど一時的なものである。
その他
一巻目において、「いいな。私も、小説家になりたいな・・・」と口にしており、漠然とした憧れを抱いている。しかし、二巻目や三巻目において、具体的に小説を描いたり夢を目指すようなシーンがない。直後に「そんなにはっきりしたものではない」とも述べていたので、本当に薄っすらとした夢を抱いているに過ぎず、明確な目的意識を持つには至っていない。
主役強奪事件
『ノロワレ』における主人公は真木現人なのだが、記念すべき第一巻において現人には活躍といえる活躍がほとんどなく、せいぜい、呪いを受けた信乃歩の自傷行為(自分の目に釘を刺そうとする)シーンにおいて目潰しを防いだけであり、そのシーンを最後に現人の出番はほぼ無くなった。一巻の物語は全編に渡って信乃歩中心となっており、むしろ信乃歩の方が主人公に見えた。
二巻目のあとがきでは「主人公は持ち回り制」とされており、その後はきちんと現人の出番は増えている。蓋を開ければ一巻目は信乃歩に焦点を当てる回だったというだけの話なのだが、まだ一巻しか出ていなかった当時は「主人公()www」と、現人は少々ネタにされてしまっていた。
関連イラスト