概要
2001年7月から2005年6月にかけて刊行された。全13巻。番外編として夜魔が刊行されている。
「神隠しの物語」のみ電撃hpでコミカライズされ、全3巻で刊行されている。作画は睦月れい。
また、ラジオ番組「電撃大賞」で放送されたラジオドラマのCDも発売された。
電子書籍も刊行されている。
不条理さとリアルさに満ちた、ライトノベルの枠に収まらない本格的現代ホラーファンタジー小説。
日常感知できない「怪異」の恐ろしさを描く。
最初から最後まで『現代ファンタジー』と称されているが、五感を動員した恐怖描写が秀逸でホラー度もかなり高い。扱っている分野は民俗学、昔話、オカルト、黒魔術、都市伝説などと多岐にわたるが、いわゆる「黒い」知識であることが共通している。
学園含む羽間(はざま)市が、「異界」とつながってしまうかもしれない恐怖を軸に物語は展開する。
「恋愛否定論者」だった空目が、どうしたわけか「彼女」(あやめ)を連れてくるところから話は始まるが、それは異様で風変わりな出来事だった───
登場人物
文芸部員
聖創学院大学附属高校「文芸部」のメンバー。この5人が実質上の主人公。
「影」「人界の魔王」
魔王陛下と称され、膨大な量の「黒い」知識と、幼少時の神隠し体験による異界を嗅ぎわける能力を有する。「死」すらも恐れぬ心の強さを備える。どういう理由か分からないが、「異界」に行くことを望んでいるようだ。
「追憶者」
変人を痛快に思っており、異端に憧れ、異界を察知する「鈴」を持つ。
「シェーファーフント」、後に「狼人(ルー・ガルー)」
背が高く、運動神経抜群。幼少期のトラウマから、空目を異界より護ろうとする。
「ガラスのケモノ」
クールな毒舌美少女。過去に受けた苛めの経験から、歪んだプライドを持つ。母方の血筋が犬神筋である。
「優しい鏡」
誰からも好かれる性格で、他人と思いを共有する能力に長けている。
神隠し関連
「人の形を希む風」
臙脂色のケープを羽織ったどことなく古風な少女。神隠し。『捧げられた供犠』であり、空目により異界から現界へと引き戻される。
空目想二
空目恭一が遭遇した幼少期の神隠し事件で、ともに神隠しにさらわれ結局還ってこなかった弟。
常ならざる者
「現代の魔女」
聖大附属高校の三年生で、空目たちの先輩に当たるが、暗号めいた言葉で話す風変わりな少女。奇異な言動から「魔女」とあだ名される。邪悪の欠除した異端者。異界をこちら側に引き込もうと画策している。
「夜闇の魔王」「名付けられし暗黒」「受肉した神の片鱗??」
円縁眼鏡に闇色のマント、明治・大正期の演劇から抜け出てきたような外貌で、神出鬼没。魔法に近づきすぎて自らが魔法となった「人の願望を叶える」存在。武巳に鈴を渡す。
「魔道師」「世界樹に吊るされし魔術師」
最初は多くの怪異本の著者「大迫栄一郎」として登場する。学校に多数の魔術土台を残した張本人。純粋な邪悪の持ち主。
"機関"
「異存在」蔓延の芽を摘み、抹消まで手掛ける謎の組織。
基城
オールバックで、袈裟を着たヤクザにも見える修善寺の住職。1巻で「神隠し」の媒介になりかねぬ空目恭一を始末しようとする。
「黒衣の男」
『機関』のエージェント。
書籍情報
1.「神隠しの物語」 ISBN 978-4-0491-3081-2
2.「呪いの物語」 ISBN 978-4-0491-3457-5
3.「首くくりの物語〈上〉」 ISBN 978-4-0491-3460-5
4.「首くくりの物語〈下〉」 ISBN 978-4-0491-3461-2
5.「目隠しの物語」 ISBN 978-4-0491-3638-8
6.「合わせ鏡の物語〈上〉」 ISBN 978-4-0491-3779-8
7.「合わせ鏡の物語〈下〉」 ISBN 978-4-0491-3780-4
8.「生贄の物語」 ISBN 978-4-0491-4063-7
9.「座敷童の物語〈上〉」 ISBN 978-4-0491-4168-9
10.「座敷童の物語〈中〉」 ISBN 978-4-0491-4362-1
11.「座敷童の物語〈下〉」 ISBN 978-4-04-914501-4
12.「神降ろしの物語〈上〉」 ISBN 978-4-04-914698-1
13.「神降ろしの物語〈下〉」 ISBN 978-4-04-914699-8