概要
社会福祉士とは日本の国家資格、職業の一つ。根拠法は社会福祉士及び介護福祉士法。
福祉における総合的な知識を生かして、児童福祉、高齢者福祉、障害者福祉、福祉行政、保険医療、労働福祉、福祉教育などの相談支援業務など幅広いソーシャルワークにおける実務を行う。生活困窮者の支援や福祉的な政策提言なども業務の一つである。
なお、ソーシャルワーカーの国家資格は公式には存在しない。なので、社会福祉士ではない者もソーシャルワーカーを名乗ることができる。しかし、社会福祉士でない者は社会福祉士を名乗ることは法律によって禁止されている。すなわち名称独占資格の一つであるとされる。
類似資格に精神保健福祉士と介護福祉士がある。精神保健福祉士は精神障害者に対する相談援助などの業務に専門的に携わる資格であり、社会福祉士とは領域が一部重なる。毎年2月に行われる国家資格においても社会福祉士と精神保健福祉士の受験科目は一部重なっている。介護福祉士は主に身体介護に関する資格であり、領域はやや遠く国家試験の試験科目もかぶらない。ただし、この3つの福祉の資格は俗に三福祉士と称され、高齢者福祉、障害者福祉、医療や行政、福祉教育などの分野では必ず3つの資格を持つ人々が共同し一つのチームとなって、医療や法務などの他領域の専門家とともに福祉利用者のサービスを行っている。
社会福祉士の資格を得る為には、大学卒業で一定の単位の取得及び1ヶ月の実地実習を行う必要がある。福祉的な相談支援の実務経験の長い者にも受験資格が与えられるが、その要件はやや厳しい。国家試験の合格率は例年3割ほど。福祉分野の国家資格としては最難間資格であるとされる。
社会福祉士の資格を持つ者は現場で相談援助業務や福祉チームの中心として、専門的な業務を担うことが多い。福祉施設の責任者や行政の担当者にこの資格の取得を要求する場合も多く、それゆえに社会福祉士は福祉職の中でも管理職側に回ることも少なくない。ただし、その業務量に比べて他産業と比べるとやや薄給であり、また社会福祉士のポストも十分とはいえず、社会福祉士の資格を取得した者の中には十分にその資格を活用できない者もいる。
なお、福祉分野には介護保険法等を根拠とした介護支援専門員(ケアマネージャー)や障害者総合支援法を根拠としたサービス提供責任者などの資格が乱立しており、社会福祉の資格を必ずしも取得しなければできない仕事は少ないのも、この資格を十分活用できない者が多い要因の一つである。
もっとも近年は市区町村の地域包括支援センターでは必置資格となり、診療報酬の分野でも専門性を認められており、少しずつ職域を増やしているとする向きもある。
社会福祉士は学究的な資格の一つであるとされ、大卒ではない者が大学院への進学する際にこの資格をもっていることが条件の一つとなる場合もある。
職能団体として日本社会福祉士会がある。日本社会福祉士会は国際ソーシャルワーカー連盟に加入しており、国際的なソーシャルワークの一端を担っている。社会福祉士は専門職としての倫理要綱を有する。それは2014年版「ソーシャルワーク専門職のグローバル定義(GLOBAL DEFINITION OF THE SOCIAL WORK PROFESSION)」に適合したものであり、専門職としての意識が求められている。
同時に本来のソーシャルワーカーは国家や権力とは一線を画して、学問や福祉の理想に忠実に務めを果たすべきであり、国家資格としての社会福祉士も社会福祉士である以前にソーシャルワークの専門家たるソーシャルワーカーであるという自覚を持つことが要求されている。
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日本社会福祉士会編集「地域共生社会に向けたソーシャルワーク ―社会福祉士による実践事例から」(中央法規出版)2018年 ISBN 9784805857564