概要
序幕
彼らの旅は、終わりに差し掛かろうとしていた。
数多の想区を渡り歩き、
数多の物語に触れてきた、
霧の旅人、『空白の書』の持ち主たち…
彼らが最後にたどり着いた場所は、
そこはもはや、想区ではなかった。
なぜならそこには運命がない。
語られるべき物語も、
その役割を担う者もいない。
そこは遥かな昔の文明の残滓。
かつてあった、「古き人たち」の
世界の、最後の欠片…
さながらそれは、墓標の街。
そして、そこで私は、ただ物語を
語り続け、物語を聞き続ける。
私の名は、アルケテラー…
原初の語り部――
そして、原初の聞き手…
ストーリー
生命なき世界
開幕:ドロテアの命をかけた導きによって、アルケテラーへの道を進む一行。何者も存在しないはずの“沈黙の霧”の中を進む彼らの前に現れたのは街であった。空には太陽も星もなく、墓場のように静まり返った、巨大な塔がそびえ立つ世界を、一行はアルケテラーへの手掛かりをもとめ、進む。
うごめく混沌
終幕:一行が街を進んでいたその頃、先んじてこの世界にたどり着いていたデウス・アンデルセンは、謎の敵と遭遇していた。襲いくるそれらに、自らの体内で生み出したヴィランを放ち迎撃する中、何者かが明確な意思をもって、自分の妨害を行っていることを察する。そして、滅びた街のどこかで、その何者かが動き出す。
導きの声Ⅰ
開幕:廃墟の街を進む一行に、何者かが語り掛ける。そして、声の主は、一行の資質を見極めるべく、謎の敵――落ち武者を差し向ける。
終幕:謎の声の主の放った、落ち武者たちに、一行は勝利する。「資格あり」と判断した声の主は、一行に、遠くに見える「双頭の塔」まで来るように告げる。不信感を拭いきれないまま、一行は塔に向かって進む。
イソップの述懐
終幕:一行が「双頭の塔」に向かっていたその時、彼らを送り出した、『グリムノーツ』たちのいる想区に、イソップが現れる。彼らが向かった先は、想区ではなく、かつてあった世界の最後のひとかけらであることを伝える。
ルートヴィッヒの疑問Ⅰ
終幕:イソップは『グリムノーツ』たちに語る。かつてアルケテラーを作った「古き人たち」は、いずれ必ず、アルケテラーに限界が訪れることを予測していた、と。しかし、訪れる限界が一体どういうものであるかは、伝えられなかった。ただ、その時のために、彼らは「ゆらぎ」を用意していた。
ルートヴィッヒの疑問Ⅱ
終幕:『グリムノーツ』たちが議論を交わしている中、ふと、ルートヴィッヒは、アンデルセンのことをあまり知らないがゆえの根本的な疑問を述べる。それは、あまりにも当たり前だと思っていたことゆえに見落としていた、最大の疑問であった。
口伝の者
開幕:一行は、ようやく「双頭の塔」の前にたどり着く。そこで出迎えに現れたのは、謎の男ラフカディオ。彼もまた、イソップと同じく、アルケテラーによって生み出されたものであることが分かる。アルケテラーに会う資格を得てもらうために、ラフカディオは一行との戦いを所望する。
終幕:一行は、アルケテラーの間で、ついにアルケテラーと対面する。しかし、万象の作者であり、万象の読者であるアルケテラーは、外界からの声に応えない。意思を交わすには、完全な『万象の栞』が必要だという。一行は、アルケテラーとの対話を果たすべく、デウス・アンデルセンと戦い、『万象の栞』の残り半分を手に入れる決意をする。
決戦前Ⅰ
開幕:ラフカディオのはなった落ち武者たちによって、動きを封じられているデウス・アンデルセン。次々と襲いくる落ち武者たちを相手にする中、徐々に、なにかを思い出していく。
神騙る者
開幕:デウス・アンデルセンの元に向かう一行。彼らが目にしたのは、ヴィランの大軍と、ラフカディオの放った落ち武者の大軍がぶつかり合う、戦場のような光景であった。そこに現れた、デウス・アンデルセンは、一行に、己の物語、“アンデルセン童話”の登場人物たちをけしかける。
終幕:戦わされ、心に傷を負うレヴォル。怒る一行は、デウス・アンデルセンを問い詰める。「お前は、一体何を企んでいるのか」と。その問いへの、デウス・アンデルセンの答えは、「世界を一つにする」であった。
一つの世界
開幕:デウス・アンデルセンは語る。アルケテラーは不完全だと。それゆえに、かつてのような、統一された世界ではなく“想区”という形になった。だから、自分がアルケテラーにとって代わり、世界を語る、絶対の「理」になるのだと。そのあまりにも暴走した妄想に、もはや決してわかり合えぬ敵と覚悟し、一行はデウス・アンデルセンの放つ、さらなる敵と戦う。
終幕:デウス・アンデルセンの姑息な策略に、レヴォル%は苦しむ。エレナは、人の心を踏みにじり、傲慢に振る舞う彼に、かつてのアンデルセンの面影を見出すことが出来ず、困惑する。そんな彼女に、デウス・アンデルセンはなおも自身の歪んだ目的を告げるのだった。
矛盾、そして崩壊Ⅰ
開幕:ついにデウス・アンデルセンとの直接対決となる。圧倒的な力を持つ、「神」を称する男。だが、エレナは一つだけ、その「神」に、勝利する方法を思いつく。一行は、その作戦に最後の希望を託し、デウス・アンデルセンに挑む。
終幕:デウス・アンデルセンの力はあまりにも強大であった。その力は、まさに豪語する神の如しであり、一行との力の差は歴然であった。そんなデウス・アンデルセンに対し、エレナは『創造』を行う。
矛盾、そして崩壊Ⅱ
開幕:神に等しい力を振るうデウス・アンデルセン。だが、エレナはそれを利用し、デウス・アンデルセンが、数多の想区で長い時をかけ取り込み続けてきたものや、“アンデルセン”であるがゆえに持っていた作品世界そのものを想区に『創造』することで、デウス・アンデルセンを、内側から倒すことに成功する。
接触の時、迫る
開幕:『万象の栞』の残り半分を手に入れ、アルケテラーがいる、「双頭の塔」に戻る一行。その途上で、改めて、デウス・アンデルセン、そして、「お月さま」の不可解さに気づく。なぜ、デウス・アンデルセンは、その正体を隠し続けていたのか?その後ろに、見えぬ謎を、一行は感じる。
なおも、それはあがく
終幕:エレナの『創造』によって、行動不能にされたと思われていたデウス・アンデルセンであったが、内側から引き裂かれそうな激痛の中にありながら、なおも新たに策動する。
語り部とのコネクト
開幕:「双頭の塔」に戻り、再びアルケテラーの間に入る一行。そこで、ラフカディオより、『万象の栞』を用いて、「真のコネクト」を行うことこそが、アルケテラーと意思を交わす唯一の方法であると知らされる。自らが消滅する危険を覚悟し、レヴォルは、その決断をする。
終幕:「真のコネクト」を果たしたレヴォルは、アルケテラーを降臨させる。一行はアルケテラーに、全ての元凶である、「お月さま」の正体を尋ねる。アルケテラーより返ってきた答えは、「かつて、我が内より生まれしもの」であった。
否定するもの
開幕:アルケテラーは語る。アルケテラーを作った「古き人たち」が予見した、「アルケテラーの限界」とは、いずれ必ず、アルケテラー自身から生じる「否定するもの」の存在であった。そして、『空白の書』とは、その事態に対抗するために意図的に生み出された存在であったことがあきらかになる。
終幕:アルケテラーは語る。己の中に生じた「否定するもの」に対処できる『空白の書』の持ち主を待ち続けていたことを。しかしそれは間に合わず、アルケテラーはある者に、あることを頼んだのだという。それがなんなのか話す前に、アルケテラーとのコネクトは解除される。レヴォルは、「ワイルドの紋章」を有するがゆえに、存在を保つことに成功する。
迫る、「なにか」
開幕:「双頭の塔」に――アルケテラーの元に接近する、デウス・アンデルセンは、さらに尖兵を送り込む。それは、ティムとルイーサの兄妹にとって因縁深きカオス・笛吹き男と、ルイーサの“ヘカテー”としての可能性の末路、カオス・ヘカテーであった。自らの現在を否定しようとする過去たちと、一行は戦う。
終幕: カオス・笛吹き男、そしてカオス・ヘカテーを一行は倒す。自分の忌むべき過去を乗り越えたルイーサを、シェインは、姉御分として、讃える。戦いの中、わずかに笑顔が一行の中に生まれるが、それを踏み潰すように、それは接近していた。
悪夢との再会
開幕:少しずつ近づいてくる、デウス・アンデルセン。一行は迎え撃つ準備をするが、その前に現れる影――それは、エレナにとって、因縁深き相手、男爵…カオス・ミュンヒハウゼンであった。だが、しょせん偽りの形だけと看破したエレナは、仲間たちとともに立ち向かう。
終幕:カオス・ミュンヒハウゼンに勝利する一行。エレナは、すでに一体化したモリガンの記憶の大半を、己の体験として根付かせていた。それゆえに、彼が――「男爵」だった男が、自分とどのような関係であったか、思い出していた。
混沌の語り部
開幕:一行の前に、再び現れるデウス・アンデルセンだったが、その体は矛盾による自己崩壊によって、人間の姿を半ば失い、顔も崩れ仮面で隠す有様であった。その姿を前にラフカディオは真相を語る。かつて、この地を訪れたアンデルセンは、アルケテラーと対話しようと試み、『万象の栞』を用いたことで、バラバラになった。そして、バラバラになったアンデルセンの魂が、「否定するもの」に取り込まれたことで生まれたのが「お月さま」だったのだ。
終幕:一行は、カオス・アンデルセンに勝利する。倒れてなお、あがき、もがくカオス・アンデルセンを、エレナは『創造』によってあるべき形に戻そうとする。しかし、あがくカオス・アンデルセンは、自らの“アンデルセン”を捨てることで、自己矛盾の苦しみから脱すると、エレナを殺めようと迫る。だが、その時、その男が現れる―――
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