概要
絵師が表現技法を工夫する中で、好きな作品、人気のある作品から影響を受け、画風が自然と似る、あるいは意図的に似せるのはよくあることである。ところが、先行作品の作風を真似る行為を否定し、「絵柄(画風)を模倣するべきではない」「マネではなく独自の作風で勝負するべき」と主張する人がいる。これは「オリジナルの画風や作風は、それを生み出した絵師が独占するべき」「特徴的な絵柄を真似る行為は全て盗作に当たる」という、著作権の根本を否定しかねない暴論である。
実際のところは、画風を含む作風は著作権法で保護されてはいない。無断で他人の作品を複製・転載する行為と混同して「絵柄パク」という人もいるが、画風が意図的または偶然に似ることは転載でもパクリでもない。
詳細
「絵柄は特定の人物に専有されるべきである」とまでは言わずとも、「創作におけるマナー・モラルとして、特定の絵師の画風に類似しすぎないよう工夫したほうがよい」という考えを主張する人もいるが、そんなモラルは一部の絵師とその取り巻きが勝手に考えただけのものであり守る必要などない。
また、「自分が影響を受けたものについては公言してリスペクトするべき」という考えもあり、そうした考えを個人的に貫くのは自由だが、人に押し付けるのはやめた方がいいだろう。
近年は生成AIにより、誰でも特定の絵柄を模倣することが容易になった結果、「絵柄には著作権が無い」という事実が知られるようになった。反面、反AIの絵師への嫌がらせとして、その絵師の制作物を装ったイラストを生成してネットにバラ撒くなど、逆方向に暴走するユーザーも出てきている。絵柄模倣自体は合法でも、嫌がらせの手段に使うことまで許されているわけでは無い。また作者名を偽って発表すると犯罪になるので注意。