聖マッスルとは
宮崎惇原作、ふくしま政美劇画で週刊少年マガジンに1976年(32号)~1977年(1号)に連載。ふくしま政美のイメージを編集者から伝えられた原作者が、それに沿ったストーリーを考えるという『女犯坊』と同じ手法で描かれている。
人間の自由と尊厳をテーマにした意欲作だが主人公は記憶喪失の全裸男(人格者ではあるが)で描き込みも凄まじく、読者に強烈な印象を与えた。
単行本は1977年に4巻発行され、1997年には太田出版から復刻版が全1巻刊行された(現在は廃刊)。
主な登場人物
聖マッスル
本作の主人公。
自分の名前はわからず、「聖マッスル」は彼に救われた人々が付けた名前。
人間の尊厳を踏みにじるものに対しては怒りを表すなど正義感は強い。
当初は全裸だったが「4の章 北の魔神」より着衣している。
人間城の王
肥満体で全身ヌルヌルした全裸の老人。歩く擬音は「ヌジャッ」「グジャッ」。
石に変えた人間を建材に人間城の完成を目指す。
命の泉の権力者たち(3人)
「黒の帝王」の配下で、常にフードを被って顔を隠している。増えすぎた人口を減らすため、毎年15歳の男女、70歳以上の男女に「死のマラソン」を課す。
命の泉の都市の少女
自分たちを救ってくれた聖マッスルに衣服を捧げるが、聖マッスルは微笑して首に巻き裸スカーフになる。
「黒の帝王」から世界を救うため理想の国づくりに邁進する巨漢。臣民からは絶大な支持を受けている。
巨人王の妹
強権的な巨人王に反発し、同志と共に反政府活動を行うが「黒の帝王」に利用されていた。クーデターに失敗し、自決。
コタンクル
北の海に暮らす老漁師。寒さで行き倒れていた聖マッスルを介抱する。巨大な鯨「北の魔神」と闘い敗死。
奴隷鉱山の長官
「黒の帝王」の配下。奴隷を使役して鉱山を運営し、逆らう者はバラエティに富む処刑方法で始末する。
余談
本作の6年後に連載が始まった「北斗の拳」は、主人公が力ずくで民衆を救い救世主と崇められる、過剰な筋肉描写、主人公が巨大な馬を担いで崖を登って去るラストなど共通点が多く、「聖マッスル」フォロワーではないかという説がある。