概要
中国全土に根を張る裏の厨師集団。
元々は伝説の厨具を生み出したシュウリを長とする太極料理界という組織に属していたが、ある時期を境に太極料理界は分裂、太極料理界と裏料理界の二派閥に分かれ活動を続けた。
裏料理界は犯罪者や資格を奪われた(※)料理人たちが集まり共同生活を行う受け皿や互助組織となっていたが、カイユによって中国全土に絶大な影響力を誇るまでに再組織化され暴走する。
なお、中華一番の世界観として、科学技術が未発達な時代のため、科学鑑定などによる原理の解明や、通信技術が書に遺すか人力の飛脚なので、知識の伝達に難がある。そんな時代に腕のよい料理人が集い、知識や技術の交流が活発なため、修行の観点からすれば裏料理界は喉から手が出るほどの知識や技術の宝庫と化している。同時に不当な罰から世を恨む感情を抱く者の怨念で、毒や負の栄養学も発展していると言うマイナスの側面も抱えるようになり、カイユはそれを悪用するようになる。
言うなれば『中華一番!』における悪の組織であり、この手の組織のお約束なのか、表の料理人に負けたり裏料理界から逃げ出したりした者は容赦なく処刑される模様(ただし、作中では殺さない代わりに屈辱的なペナルティで罰せられるケースもあった)。
※…中華一番の腕がよい料理人は、権力者のお抱えとなったり繋がりから公的に重用される一方で、そのせいで失態への罰が重くなりがち。薬草の扱いを誤って毒として振る舞った栓なき者などもいるが、故郷を追われるなど過剰な罰を受ける者も少なくない。
構成人員は約5000人。
その内訳は総頭領1名、猛厨師5名、鱗厨師1008名、一般厨師4000人弱。
鱗厨師の時点で特級厨師と同等以上の実力とされ、猛厨師は絶対不敗の伝説で知られる。
作中では総頭領が裏料理界からの逃亡により空席、五虎星でも別格とされるカイユが裏料理界の首領として君臨している。
五虎星(猛厨師)
- “入雲竜”カイユ
裏料理界の首領。中国料理界の不敗神話、五虎星の筆頭。薬膳料理と毒膳料理の達人。兵法、風水、易術、あらゆる学問に精通する。男女問わずあらゆる料理人を魅了する圧倒的なカリスマ性を誇り、性悪のシャンですら肩に手を置かれただけで恍惚の表情を見せるほど。
表向きには対等である五虎星からも「恐怖の将星」「裏の総司令」と呼ばれ、五虎星への指揮権を持つ。
表面上は柔和な物腰をとるが、人を人と思わず薬膳と毒膳の実験台にし、操ったり殺すことも厭わず、中国の歴史上に存在した無数の悪党、姦雄の中でも最悪と評されるほどの悪漢。
少年時代は梁山泊で同年代の少年たちに因縁をつけられて袋叩きにされるいじめられっ子だったが、ある時自分をいじめっ子の少年厨師達の食事に実験感覚で毒キノコを混ぜて毒殺したのを皮切りに「料理で人の一生を支配する」快感に目覚め、裏料理会を再組織化、大陸全土を制する事を目指す。
他の五虎星が誇る超感覚全てを兼ね備えており、昇竜の如き膨大な気を放つ事で、本来なら防衛本能として吐き出してしまうはずの猛毒料理さえも極上美味へと変質させる能力を持つ。
- “豹子頭”アルカン
五虎星の一角。カイユの側近。焼、煮込み料理の達人。
能力は超触覚。爆炎厨師の異名に相応しく火工の達人で、炎の中で豪快さと繊細さを兼ねた技巧を振る舞う。彼の手は超正確な温度センサーの役割を持ち、炎の中でも熱の差を感じて的確に火をいかなる炎であっても食材に均一に火を通す事ができる。常に高体温を発する体質のため、燃えぬよう普段の衣服に鎧を纏い、冷却のために水を常飲している。
裏料理界の人間ながら、正々堂々とした気高い武人肌で、下手な小細工を用いず自分の特異技術を活かした「美味い料理」を作る正当派のため、純粋に頂が高く険しい実力者。カイユと共に裏料理界を育て上げた大支柱でカイユに匹敵する尊敬を受けている。
- “青眼虎”ミラ
五虎星の紅一点。インド系中国人。スパイスの達人。
能力は超視覚。カイユの弟子。
真っ向勝負では何人も敵わないと言われる厨師。その正体は、「鏡のミラ」の別名から目の前で相手と全く同じ手順、同じ技を模倣する超技術で相手と全く同一の料理を作り、その料理にスパイスを加える事で常に相手よりも美味な料理を作り出せるという絶対の不等式にあった。
- “浪子”エンセイ
五虎星の一角。飄々と掴み所がない酒好きだが、その実力や器の底を見せず食えない人物。煮物や揚げ物の達人…らしいが特に活躍はなかった。独断行動が多くカイユからは警戒されているが、本人はいたってカイユに忠実に行動している。
新シリーズでは太極調理界も巻き込む伝説の厨具やマオの父マリウに関する戦いに改めて参戦しており、ロウコを従えている。棄権して不戦敗だったフェイとも再戦し、裏の秘伝を駆使して誰の目にも明らかな優勢だったものの、シャンの暗躍で敗北してしまう。
- “飛天大聖”ジュチ
五虎星の一角。モンゴル系中国人。蒙古式サバイバル料理の達人。
能力は超嗅覚。カイユの弟子。
両親を失い途方に暮れていた頃、カイユに誘われ裏料理界入りする。
快活な性格で、その嗅覚で近付かずして食材を見抜く。マオとはメイリィをかけた恋のライバル関係。
カイユの猛教育により料理人として頭角を現した頃に病で味覚障害に陥ってしまい、生き延びるために嗅覚を鍛えた結果五虎星にまで上り詰めた。しかし、そのために自分では味がわからない料理を褒め称えられることで情熱は冷め、「料理は嫌い」と感じている。
長い箸を繰り、食材や幾つもの鍋を操る技術を持ち、大量の注文も難なくこなし、そのパフォーマンスで客の心を掴んで極上の香りで魅了することを得意とする。
鱗厨師
- “仮面料理人”リエン
かつてチョウユに匹敵すると言われていた料理人。
ある誤解により裏料理界に身を投じる。
鱗厨師の中では、才能があるものの修行不足と言われていた。
自身の復讐も兼ねた先鋒としてマオたちの前に立ちふさがる。
- “七星刀”レオン
刀工の達人。
数年前まで陽泉酒家で「早咲きの天才」と謳われていた若手料理人。
少女とみまごう美少年だったが裏料理界での修行でムキムキになって帰ってきた。
- “錦毛虎”ロウコ
スープを極めた太ったおじさん。
異名はスープエンペラー。スープ一本でその地位に達したスープの達人、なのだがコース料理の前菜でいきなり重い濃厚スープを振る舞う愚を犯し、惨敗。そのため『真・中華一番!』では自称しかしていなかったので読者から自称スープエンペラーとも言われていた。得意料理の都合上、鶏肉を素早く骨を取り出し、解体する技術は誰もが一目を置くほど。
しかし、『中華一番!極』ではちゃんと他称されており自称ではない。
- “一丈青”シャン
裏の秘術を網羅した女性料理人。
料理の腕もあるが、料理自体よりも奸計に秀でる。
かなりの美女で、マオから美人なのが特徴と言われるほど。
- “面点王”ラコン
めんてんおうではなく、めんてんキングと読む。
面点一族である白羅家の末裔。110才を越える高齢でまさに生きる化石。
裏料理界の思想に興味なく実力を極めるために裏料理界に身を置く職人肌であり、基本的に正義側が完勝する本作では珍しく実力で引き分けという珍しい戦績を持つ。シェルの自分にはない発想から、10年後に再戦の約束をし、中国全土に修行の旅に出る。
かつてはパイの弟子で、退職金と嘯いて店の金を持ち逃げし、パイはその結果過労死に至ってしまった。その事からマオも珍しく敵意を隠さない相手。しかし、マオに料理勝負で敗北してからは落ちぶれて裏料理界に流れ着き、短期間ながら鱗厨師に登り詰め、マオに復讐を挑む。
- “瓊矢鏃”リコ
アルカンの側近の美少女。
- “双尾蠍”ライホウ
顔と名前だけの登場。
リエンやショウアンより格上の鱗厨師。
アニメオリジナルの最終回では最後の敵として登場し活躍している。
- “青面獣”ヨウシ
顔と名前だけの登場。
リエンやショウアンより格上の鱗厨師。
アニメオリジナルの最終回では最後の敵として登場し活躍している。
- “没羽箭”チョウセイ
顔と名前だけの登場。
リエンやショウアンより格上の鱗厨師。
上の2人と違いアニメにも出てこない。
行方不明
- “玉麒麟”リュウ・マリウ
裏料理界の総頭領となるはずだった人物だが、10代で梁山泊から逃亡した。
主人公であるマオの父。四川料理の達人であり、「川菜皇帝」とも呼ばれた男。
逃亡後は中華大四の一角、玉仙老師の下で修業を積み、菊花楼の総料理長を務めた。
その後、再び裏料理界に引き戻されるが、カイユによる梁山泊崩壊に乗じて裏料理界から再度脱出し、行方をくらました。